日本でのTVドラマ放送で人気に火のついた韓流スターの主演映画が今夏こぞって公開されている。クォン・サンウの『マルチュク青春通り』『恋する神父』、キム・レウォンの『マイ・リトル・ブライド』、キム・ジョンウンの『大変な結婚』等々。どれもなかなか面白い。
当初はここで韓国でもトップの人気を誇る(そして私が大ファンである)クォン・サンウの魅力をとうとうと語るつもりだったのだが、方向転換することにした。あまりにも脇役がいい味を出しているからだ。
まず『恋する神父』のキム・イングォン。飄々としたおとぼけぶりで、サンウ演じる神学生の生真面目さを引き立て、物語の重要な牽引役となる。『大変な結婚』のお兄ちゃん役、ユ・ドングンは、日本の俳優でいうと高倉健がコメディをやっているようなものだとか。実はこっちが主人公?と思わせるほどの存在感で爆笑を呼び、さらには涙をも誘う。
こういうサブストーリーのおもしろさあってこそ、悲恋の切なさが際だち、凡庸に陥りがちな主人公の恋物語にも飽きることなく入っていける。意外にありそうでないオリジナルなラブストーリーを次々と輩出している韓国映画の秘密は、普通の物語を個性豊かに盛り上げる俳優陣の懐の深さもしれない。
『マルチュク青春通り』のエロ本を売る学生(パク・ヒョジュン)しかり、『マイ・リトル・ブライド』のキム先生(アン・ソニョン)しかり、韓国の実力派俳優の支える屋台骨のしっかりした韓流ラブコメを気軽に楽しんでほしい。
(高井清子)
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