カザビー ★★★★★
今回もアルモドバル節炸裂!!!ハートを撃ち抜かれました。間違いなくアルモドバル最高傑作と言えるでしょう。
あまりにも入りこみすぎてこのまま映画が終わってしまわなければいいとさえ思いました。とにかく観てください。
そしてガエル・ガルシア・ベルナルの魅力に溺れ、最後に究極の愛を知ってください。
|
山本聡子 ★★★★
待ち焦がれたアルモドバルの新作、今回のテーマは"欲望"でした。それも男たちの欲望。男の裸オンパレードでよだれもんでしたが、 引き込まれるように見入ってしまったのは、その映像美以上に脚本の面白さゆえです。理性で隠しているけどみんな持っている人間の欲望をえぐり出し、
見事にエンターテインメント化してしまう。欲望と狂気、そして愛は同じものなのかもしれません。やっぱこの監督、人間への洞察力がすごいです。 最後まで真実がわからずサスペンスタッチでテンポもいいし、フランコ時代の修道院の様子は昔のスペイン映画みたいに美しい。
そして、女装も似合うガエル君に、惚れ直しました。 |
高井清子 ★★★★
何だか見終わった後になって、妙にいつまでも男の涙が頭に残る作品だった。神父が愛する少年を見て潤ませる目、
映画撮影のクランクアップで思わず泣き出す弟アンヘル。どれもがどこか歪んだ愛の象徴だ。それでも禁じられた欲望や裏切りや悪意の底にある、
それを突き動かす抑えがたい衝動やある意味純粋な思いの強さに、人間らしい感情を思いっきり感じる。複雑で危険を秘めた愛は、
何も特別ではないのかもしれない。愛の本質的な切なさを教わった。
|
にしかわたく ★★★★
今回は私の好きな『ライブ・フレッシュ』タイプのサスペンス。しょっぱなからいかにもアルモドバルらしいスタイリッシュなタイトルバックで、
早くも映画にひきずりこまれた。単なる自伝的な作品で終わらせたくないという思いが強かったのか、非常に入り組んだストーリー展開で、
ガエル君の品のない女装に見とれてぼーっとしていたら訳がわかんなくなってしまった。
多少のばたつき感はあるものの、今回も映像と演出の力でごり押ししてみせるアルモドバル節は健在。
この人の映画見るといつも、強い酒飲んだときみたいな陶酔感に浸れる。堪能。
|
伊藤洋次 ★★★☆
スクリーンから目が離せない――。それほどこの映画は「見せ方」が冴えていた。 物語の組み立て方が見事で、主人公であるイグナシオとエンリケの2人にどんな過去があり、今後どうなるのか、かなり気になるところ。
さらに荘厳な音楽が映画の雰囲気を引き立て、いや応なく気持ちを盛り上げる。このようにして観客は、アルモドバル監督の作る世界に吸い込まれていく。 ストーリーにはモヤモヤした感が残るかもしれないが、そういう人はぜひもう一度鑑賞を。監督の「演出」から解放されるとともに、
かなり違った見方ができるはず。2度、おいしさが味わえます。 |