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バックナンバー Vol.19

幸せになるためのイタリア語講座
アドルフの画集
ラブ・アクチュアリー

「シネマの達人」 2003年 ベストテン発表! ■ ■ ■
<外国映画> <日本映画>
1.シティ・オブ・ゴッド 1.ジョゼと虎と魚たち
2.戦場のピアニスト  2.アイデン&ティティ
3.トーク・トゥ・ハー  3.ヴァイブレータ
4.小さな中国のお針子  3.座頭市
5.フリーダ 3.ぼくんち
6.ボウリング・フォー・コロンバイン 6.アカルイミライ
6.猟奇的な彼女  7.ゲロッパ!
8.僕のスウィング 7.さよなら、クロ
9.マッチスティック・メン 9.船を降りたら彼女の島
10.キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン 9.わたしのグランパ
10.バティニョールおじさん  
次点:過去のない男
    シェフと素顔と、おいしい時間
    死ぬまでにしたい10のこと
    ラスト・サムライ
次点: 美しい夏キリシマ

投票者(敬称略)

飯沼健一(会社員)、カオリ(会社員)、鍵山直子(構成作家)、カザビー(会社員)、 金澤理奈絵(ディレクター)、 Kozo(映像作家)、古東久人(交通新聞社)、 中沢志乃(映像翻訳)、 にしかわたく(漫画家・イラストレーター) 、 波多野えり子(会社員)、原聡子(会社員)、 増田統(編集者・ライター)、 三笠加奈子(作家)、村瀬素子(ライター)、 山本聡子(ライター)、 ゆきおじさん(会社員)
=1点、=0.5点。最高得点=5点
幸せになるためのイタリア語講座

監督:ロネ・シェルフィグ 
出演:アンダース・W・ベアテルセン、アネッテ・ストゥーベルベック
配給:ザジフィルムズ www.zaziefilms.com/italian/

タカイキヨコ  
★★★★☆
 外国語を学ぶときの、話したい言葉がなかなか出てこないもどかしさ。でも言葉が思うようにならない分、伝えたい思いは強くなり、 ストレートになる。そして伝えられたときの喜び! 「イタリア語講座」の教室に流れるそんなぎこちなさや小さなときめきに象徴されるように、 不器用な大人たちの恋愛が等身大で描かれている(これぞドグマ作品の真髄!)。 等身大という意味では、人生を重ねる上で払いきれないさまざまな<喪失>と、それに向き合う彼らの姿もまた、 誰もが少なからず抱える心の傷に響いてくるのではないだろうか。それぞれが踏み出す小さな一歩が、かけがえのないものに思えてきて、 温かい気持ちに包まれながら、私はしばらく座席から立てなかった。
にしかわたく  ★★★★☆
 わ〜。ほんとに幸せにされちゃった! 「ドグマでラブコメかい!」と斜に構 えていた私が帰り道で思わずスキップですよ。スキップスキップらんらんらんで すよ。「好みの女性のタイプは?」と聞かれるといつも困るんですが、確実にこ れはあるなーと思うのが「字の下手な女性」。私は星座も血液型もあんまり信じ ない人間ですが、変わった字を書く人は確実に本人も個性的です。私と同じ「字 フェチ」の方(かなり少数派だと思いますが)、この映画見るとかなりキュンと 来まっせ。
中沢志乃   ★★★★
 ナイス・エンディング! ちょっとした、でも大切な一言で終わるさりげない 「おしまい」に、無駄にお金をかけないけど可愛らしいクレジット。 こだわり映画製作集団「ドグマ95」の作品だけあり、映画や人間への丁寧な愛情もじんわり と伝わってきた。 効果音や音楽がなくても演技ひとつで笑い、泣き…。アル中の 母親に離婚した父親等の問題を持つ男女が“イタリア語”で繋がる…という、 北欧デンマークの世相を反映したほのぼの、にっこり、でも突っ込みどころも満載のストーリー。 ペットボトルでなく、今でも紙パック飲料を持ち歩くデンマークの素朴さにも注目です!
波多野えり子  ★★★
 さまざまな悩みを持ち不器用に生きる6人の男女が、市役所主催の初級イタリア語講座に通うことをきっかけにポジティブな自分を見つけるまで。 ドグマ・ルールの適用は本作において、何かに悩んでいる人のありのままの姿をうまく映し出しているかも。 ルックスも中身も決してパーフェクトではない登場人物たちに、親近感が持てたりする。 何だか、友達の知り合いの誰かの恋の話を聞かせてもらったような感じ。みんないろいろあるもんだよね、と思っちゃいました。


アドルフの画集

監督:メノ・メイエス
出演:ジョン・キューザック、ノア・テイラー
配給:東芝エンタテインメント www.adolf.jp/top.html

山本聡子   
★★★☆
 600万人ものユダヤ人を虫けらのように殺したアドルフ・ヒトラー。私は今ま で同じ人間とは思えなくて、怪物のように思っていた。 でも、この映画を見て、 ヒトラーも生まれたときから独裁者であったわけじゃないということに、恥ずか しながら初めて気がついた。 彼も画家を夢見るひとりの貧しい青年だったんですね。常に鬱憤を抱えた彼の中で過激な分子が少しずつ目を覚まし、怪物へと変えていく。 皮肉なすれ違いの運命は、ちょっとできすぎたように思えたけれど、ラストはなんだか嵐が起きる前の静けさのような、不気味な感じだった。 それにしてもヒトラー役のノア・テイラーははまり役。白熱の演説シーンには目が点になりました。
Kozo     ★★★
 ヒットラー役のノア・テイラーの存在感はすばらしいのだがジョン・キュー ザックにどうしても目がいってしまったのと、アメリカ映画によくある異文化、異言語を英語で(まぁ仕方がないのだが)制作するのになじめなかった。 戦時中のプロパガンダ映画に出てくる本物のヒットラーが演説する姿に代わるものなどないと思う。脚本が非常にいいものなだけに少し残念だった。 やはりヒットラーを題材にするのはいろんな意味でむずかしいのかと思った。
高野麻結子  ★☆
 「君の目の前にいる大衆がキャンバスで、君の言葉が筆なんだ」。画家として大成を目指していた時、ふとそう言われたら。揺らぐだろうか。 演説によって人を洗脳するのと、1枚の絵によって人の心を動かすことは、本当は大差ないのだ。 それが一人の運命を狂わせ、世界を大きく変えていくのだとしたら、人の言葉ほど怖いものはないと思う。話自体は設定が大きい分、 収集がついていないが、要所要所で拾うものの多い作品ではあると思う。ノア・テイラーとジョン・キューザックの濃厚な演技は見る価値大。


ラブ・アクチュアリー

監督:リチャード・カーティス
出演:ヒュー・グラント、キーラ・ナイトレイ
配給:UIP www.loveactually.jp/

カザビー    
★★★★☆
 「NO MUSIC NO LOVE」恋愛映画には音楽は必要不可欠ってことで、 ここに登場する19人の愛のカタチにもそれぞれ素敵な音楽が添えられている。特に結婚式で参列者達がビートルズの「愛こそはすべて」 を大合唱するシーンなんて自分まで幸せな気分になった。だからといって甘すぎず、ほろ苦くもあり共感しっぱなし。 そして台詞のひとつひとつに伏線がはってあるので聞き逃せない。 これを観たらきっとクリスマス・イブをロンドンで過ごしたくなること間違いなしな一本。
小松玲子   
 私がこの映画をみたかった理由は、マジなラブコメにローワン・アトキンソンが出てるからだった。どんな役で出るのかな。 ローワン・アトキンソンがどんなラブコメしてくれるのか、それが見たかったのだ。 ところがずいぶんつまんない使われ方をしていてガックリ。せめてジョージ・ブッシュ役で使うくらいのユーモアがあれば面白さは倍増したはず。 ヒュー・グラントの英国首相とローワン・アトキンソンのブッシュ大統領。現実もそんなもんのような気もするし凄すぎる。 音楽の使われ方がダサダサなのと、わざとらしい展開が生理的にダメなのだが、ところどころ心に残るシーンもあり。 ヒュー・グラントの珍妙ダンスとか。
コトー日誌 3月某日
イラスト 私の怠慢で2003年のベストテンの発表がすっかり遅れてしまいました。でも、映画雑誌のベストテンよりはるかに面白い作品がそろっています。 みんな自腹で観て、本当に自分が楽しめた作品しか挙げていないから。まあ、映画の観かたは人さまざまですが。 DVD、ビデオ鑑賞の参考にどうぞ。来年は2月1の更新を目指します! (古東久人)
著者プロフィール

タカイキヨコ :  1966年、愛媛生まれ。6年前に脱サラし、映画を中心としたエンタテインメント関連のフリーの翻訳者に。泣けて語れる映画が大好き。

にしかわたく :  漫画とイラスト描いて暮らしてます。映画好きが高じて現在『季刊ロゼッターストーン』に「でんぐり映画館」連載中。 映画とコーラとポップコーンがあれば基本的に幸せ。「飲食禁止のスノッブ映画館を打倒する会」主宰(嘘)。

中沢志乃 :  1972年5月8日、スイス生まれ。小学校時代に映画好きになり友達と劇を作る。一時は別の道を目指すもやはり映画関係の道へ。 5年間、字幕制作に携わった後、2002年4月、映像翻訳者として独立。夢はもちろん世界一の映像翻訳者です。

波多野えり子 :  1979年元旦の翌日という中途半端な日に東京・永福町にて誕生。現在はブライダル情報誌の編集部で修業中。 映画好きかつ毒舌な家庭で育ち、「カサブランカ」からB級ホラー作品まで手広く鑑賞する日々を過ごす。 最近はエモーショナルな韓国映画やドラマがお気に入り!

山本聡子 :  1973年生まれ。2年前に脱OLして編集者を志す。現在は自然の中を歩く本などを製作中。都会の喧騒に疲れると、吸い込まれるように映画館に行く。 見るのはアメリカ映画よりもヨーロッパ映画が多い。映画も男もラテン系が好きです。

Kozo :  1970年、鹿児島生まれ。故·我王銀次主宰の劇団「大阪バトルロイヤル」で俳優として映画、TVに出演。 L.A.C.C.映画科卒業後C.S.U.L.B.に編入しスピルバーグと一緒に卒業。現在は林海象監督と”Cinema Showcase”を主宰し毎月、短編映画を上映中。

高野麻結子 :  1976年横浜生まれ。編集者(助走中)。 専門書店のガイドブック製作中です。本も映画も横丁の飲み屋も、引き返そうかな、と思ったら、もう一歩入るとキラリと輝くモノに出会えるみたいですよ。喜びもときめきも幾歳月。

カザビー :  1978年生まれ。映画とお笑いをこよなく愛するOL。好きな監督は周防正行、矢口史靖、SABU、ペドロ・アルモドバル、セドリック・クラピッシュなど。今年、嬉しかった出来事は矢口監督からサインをもらったことと、田口トモロヲ監督「アイデン&ティティ」のエキストラに参加したことです。

小松玲子 :  1970年生まれ。雑誌・新聞を中心にフリーライターとして活動中。わが心のベストシネマは『さらば我が愛〜覇王別姫』。作家になったら、ああゆう愛憎ものが書けるようになりたい。売れっ子ライター目指して、現在まだ夢の途中。

古東久人 :  1959年生まれ。某出版社勤務。キューブリックで映画に目覚め、1980年代にキネ旬常連投稿から映画ライターへ。 「キネマ旬報」「フリックス」などの映画雑誌に執筆。編著は「相米慎二・映画の断章」(芳賀書店)。 生涯のベスト1はブニュエルの「皆殺しの天使」と長谷川和彦の「太陽を盗んだ男」。「皆殺しの天使」のDVDをぜひ出して欲しい!

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