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Vol.16
バックナンバー Vol.16
女はみんな生きている
阿修羅のごとく
再見・また逢う日まで
Cinema Showcase〜ショートフィルムの世界〜
■ ■ ■
Cinema Showcaseは、林海象監督とKozoこと土持幸三、その他、 少数が企画し進行していくプロジェクトで2003年7月より毎月一回、選び抜かれた短編映画をシネマボカンにて上映しています。 各作品上映後、質問を受け付ける時間を設けます。この討論?こそ制作者にとって貴重な経験と考えますので、このショットはどういう意図があったのか、 このシーンはどういう気持ちで、どのように撮ったのか、どこのカメラでレンズは何mmで絞りは何だったのか等、いろんな質問を受け付けます。 興味のある方はぜひ一度、足をお運びください。(Kozo)
シネマボカン
http://www3.zero.ad.jp/CinemaBokan/
Kozo
http://www.geocities.jp/kozophoto/
★
=1点、
☆
=0.5点。最高得点=5点
女はみんな生きている
監督:コリーヌ・セロー
出演:カトリーヌ・フロ、ラシダ・ブラクニ
カザビー
★★★★
この作品はまさに「私はこれまでの人生で、弱い女と強い男は見たことがない」という美輪明宏様の名言そのもの。 全く境遇の違う平凡な主婦エレーヌと娼婦ノエミが偶然出会い、権力や腕力で自分達を押さえつけ苦しめてきたダメ男達に立ち向かっていくというストーリー。 たくさんの難しいテーマを盛り込んでいながらも笑わせてくれるし恋愛テクも紹介されていてとても楽しい! それでもって夫のマミー役のリーヌ・ルノーがめちゃくちゃいい味だしてる。女性がストレス解消できる一本。
タカイキヨコ
★★★★
フランスの男が女に優しいなんて、誰が言ったのだろう? 思いやりのない夫、わがままな息子、女を搾取する宗教や文化。だが、女を侮るなかれ。 女は目覚め、予測のつかない行動力で、あれよあれよという間に男に仕返しをする。女としてはスカッとする1作だ。 それでも細かい描写がおかしいからか、痛々しさを感じさせない。情けない男たちも憎めない。 ラストの女たちの強くも温かなまなざしは、そのままコリーヌ・セロー監督の人間へ向けるまなざしに重なる。 笑えて、ほっとして、考えさせられる、痛快な社会派コメディだ。
にしかわたく
★★★★
へぇへぇ、面白いです。自立する女たちといかにもフェミニズム的なテーマ設定ですが、説教臭いところが全然ない。 家庭内での女性差別は、現実の暴力と同じくらいヴァイオレントなものなんですな。 マトリックスから目覚めた女戦士がバッサバッサと悪人を斬り殺していくのが爽快爽快。完全懲悪に徹したのがこの映画の勝因でしょう。 男にだって言い分はあるんだ、ほんとの悪人なんていないんだよーなんて日本的大団円を期待していると痛い目にあいます。 観賞後、久しぶりに実家の母親に電話をかけてみる筆者でした。
山本聡子
★★★
女性はスカっとして、男性は恐くなるという前評にもれず、私もかなりスカッとしました! 要するに、女性万歳、バカな男性はくたばれ、という映画。 どんなに社会的地位も財産もある聡明な(はずの)紳士も、性の餌をちらつかせると、ただのオス犬になってしまうという、普遍的な問題。 そこを上手く利用して、悪党どもにギャフンと言わせたのがエレーヌとノエミ。アッパレです。女を舐めると、痛い目に会います。 女性は女神様のように敬い、大切に扱うべし。この映画を見た日本男児諸君は、よく肝に銘じておきましょう。
阿修羅のごとく
監督:森田芳光
出演:大竹しのぶ、黒木瞳、深津絵里、深田恭子
にしかわたく
★★★
うーむ、イマイチ。致命的なのは昭和の匂いに乏しいところ。向田邦子を文庫本で読んでた方がトリップできるなぁ。 これだけ手堅い(悪く言うと新鮮味のない)題材でこの程度ではあかんのじゃないでしょうか。まわりがパッとしない中、一人だけ輝いていたのが仲代達矢。 謎の多いお父さん役をさすがの存在感で演じきっていました。森田芳光には『それから』の輝きを再び、と期待していただけに不発。 しかし劇場に来ていた若いコたちは痛く感動していたご様子。向田ワールド初体験の方にのみオススメです。
波多野えり子
★★☆
東京国際映画祭オープニングで艶やかな着物姿の四姉妹が印象的だったこの作品。4種類のステレオタイプな生き方のどれかに女性は共感できるはずだ。 男性陣もしっかり脇を固めていたが、やっぱり見どころは愛人・大竹しのぶVS本妻・桃井かおりによる取っ組み合いの女優対決。 個性が際立つふたりだからこそ、これはもう笑うしかない。全体的に口当たりよく楽しめたのだが、過去に放映されたTV版を知る世代によると、 女の心の奥底に潜む情念=ドロドロ感が少々物足りないらしい。映画とドラマだと手法もまた異なるのではないか。 しかし、上映後に周りを見回してみると中高年女性率の高いこと、高いこと。ザッツ向田邦子パワー。
カザビー
★☆
すごく物足りなさを感じた。四姉妹の演技がわざとらしくて共感できるはずのシーンでも全く感情移入することができない。 おまけに中村獅童のウド鈴木風キャラが浮きまくっていたし、フカキョン扮する四女が十日間何も食べていなくて倒れたというのに少しもやつれていない事に 違和感を感じた。唯一、卵が割れるシーンがインパクトがあって良かった。もうちょっとドロドロな阿修羅を見せてほしかったなぁ。
再見・また逢う日まで
監督:ユイ・チョン
出演:ジジ・リョン、ツイ・ジェン、シア・ユイ
中沢志乃
★★★★
斬、新。この中国映画を見て、リアリズムを求める欧米映画にいつの間にか慣れ切っていた自分に気がついた。 本作では、「えっ!そんなのアリ??あ、有り得ない…。」と思ってしまうシーンが出てきたかと思うと、「はい、ここで泣くー!」と言わんばかりに音楽が思いっきり感動シーンを盛り上げる。 映画館中の観客が終始、泣きっ放し。しかし!そうかと言って全く陳腐ではなく、時代に翻弄された兄弟と両親の辛さや寂しさ、 苦しみ、そして温かい愛情が確かに心の奥底に伝わり、何よりも大切なものを感じさせてくれる。 どんな感動巨編であろうと現代の多くの映画が忘れてしまっていた純粋な「核」を持った映画だった。
増田統
★★☆
両親の死と貧しさゆえに、一家離散となった兄妹たち。その背景には、文化大革命時代の下放政策と思想弾圧の影が見え隠れする。 そして、現代の中国。東北地方で貧しく育った弟と、北京の消費文化に溺れる妹の対照的な人生、生活格差の拡大。 そして、兄妹愛とは無縁のものとなってしまった一人っ子政策。この映画で描かれる中国は、決してノスタルジーではなく、 一足飛びの近代化のゆがみが生んだ切実な問題だ。しかし、そういった現実をちらつかせながらも、監督ユイ・チョンのまなざしは、 むしろ幸せな家族の記念写真や、団欒の食卓に並べられた水餃子、やんちゃな兄妹の悪戯といった普遍的な記憶を辿ることで、どこまでも実直に共感を誘う。 作家の映画ではなく、ハリウッド映画とも違う、手のひらサイズのつつましやかさに、ユイ監督の中国への愛を感じる。
波多野えり子
★☆
期待しすぎたからか、それともたまたま気持ちがクールすぎたのか。それなりにイイ話なのに、設定が非現実的すぎて何か納得いかない。 この話、両親の事故死で天涯孤独となった兄弟姉妹が20年ぶりに念願の再会を果たすというもののはず。 そのわりには世界的な美人指揮者に成長した長女スーティエンさん、彼らの消息を難なく掴めすぎじゃない?もしかして、もっと早く再会することもできた? と、映画を楽しむことはそっちのけになって、次から次へと突っ込みたくなるのです。唯一の救いは、無垢な子役たちによる幼少時代のエピソード。 だからこそ、20年の時の経過をもう少し丁寧につないでほしかった。
コトー日誌
12月14日、原宿クエストホールでイッセー尾形の「2003年冬の新ネタ」を鑑賞。実は彼のひとり芝居を観るのは初めてだったが、女性キャラ、 親父キャラにいい味を出していて、とても面白かった。ひとり芝居の台本は一体どのように書くのだろう。おそらく相手の台詞も想定して書いているに違いない。 ネタごとに観客の見ている舞台上で着替えるのも意外だった。ロビーのおにぎりも美味しかったし、また行こう!
(古東久人)
Kozo
: 1970年、鹿児島生まれ。故・我王銀次主宰の劇団「大阪バトルロイヤル」で俳優として映画、TVに出演。 L.A.C.C.映画科卒業後C.S.U.L.B.に編入しスピルバーグと一緒に卒業。現在は林海象監督と”Cinema Showcase”を主宰し毎月、短編映画を上映中。
カザビー
: 1978年生まれ。映画とお笑いをこよなく愛するOL。好きな監督は周防正行、矢口史靖、SABU、ペドロ・アルモドバル、セドリック・クラピッシュなど。今年、嬉しかった出来事は矢口監督からサインをもらったことと、田口トモロヲ監督「アイデン&ティティ」のエキストラに参加したことです。
タカイキヨコ
: 1966年、愛媛生まれ。6年前に脱サラし、映画を中心としたエンタテインメント関連のフリーの翻訳者に。泣けて語れる映画が大好き。
にしかわたく
: 漫画とイラスト描いて暮らしてます。映画好きが高じて現在『季刊ロゼッターストーン』に「でんぐり映画館」連載中。 映画とコーラとポップコーンがあれば基本的に幸せ。「飲食禁止のスノッブ映画館を打倒する会」主宰(嘘)。
山本聡子
: 1973年生まれ。2年前に脱OLして編集者を志す。現在は自然の中を歩く本などを製作中。都会の喧騒に疲れると、吸い込まれるように映画館に行く。 見るのはアメリカ映画よりもヨーロッパ映画が多い。映画も男もラテン系が好きです。
波多野えり子
: 1979年元旦の翌日という中途半端な日に東京・永福町にて誕生。現在はブライダル情報誌の編集部で修業中。 映画好きかつ毒舌な家庭で育ち、「カサブランカ」からB級ホラー作品まで手広く鑑賞する日々を過ごす。 最近はエモーショナルな韓国映画やドラマがお気に入り!
中沢志乃
: 1972年5月8日、スイス生まれ。小学校時代に映画好きになり友達と劇を作る。一時は別の道を目指すもやはり映画関係の道へ。 5年間、字幕制作に携わった後、2002年4月、映像翻訳者として独立。夢はもちろん世界一の映像翻訳者です。
増田統
: 1967年、大阪市生まれ。高校時から映画に嵌り、大学入学と同時に上京。卒業後は、 映画雑誌「FLIX」編集部を経て、’97年よりフリーに。 フランス映画をこよなく愛するが、最近はアジア映画に浮気心を刺激されている。
古東久人
: 1959年生まれ。某出版社勤務。キューブリックで映画に目覚め、1980年代にキネ旬常連投稿から映画ライターへ。 「キネマ旬報」「フリックス」などの映画雑誌に執筆。編著は「相米慎二・映画の断章」(芳賀書店)。 生涯のベスト1はブニュエルの「皆殺しの天使」と長谷川和彦の「太陽を盗んだ男」。「皆殺しの天使」のDVDをぜひ出して欲しい!
シネマの達人
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