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第9回 日本の大学とアメリカの大学の違い

5月、6月、12月がアメリカでは主な卒業の時期である。私のクラスでも、 この授業が最後の授業だ!と多くの学生の喜びの叫びを聞いた。日本の大学の卒業とアメリカの大学の卒業、二つを見ようとしている私は、少しながら違いを感じている。

アメリカの大学の勉強はとてもハードだとされている。一般的に言われているように、「入るのは楽だが、出るのが大変」というのが、アメリカの大学である。出るのが大変というのは、勉強をきちんとしないと、単位がもらえないのだ。中途半端な勉強の仕方では、卒業をどんどん遅らせる結果となる。週末以外はまず出かけないのが、一般的だ。学期の中頃になると課題も増えて、生徒の見た目も変わってくる。友達に「元気?」と聞いたものなら、課題の数とそれぞれの課題の量の返事が返ってくる。もちろんその意味は、「課題に追われて寝る暇もないから、元気なわけがない」である。もしくは、「なんとか生きている」という返事をもらう。

こんな状況の中で、就職活動をどうしているのか気になっていた。私のいた頃の日本では、3年生の後半から就職活動を始めている人が多かった。アメリカではそうでもない。ここでは3年生も4年生も、「一に勉強、二に勉強、三、四がなくて、五に勉強」である。

それではどうやってアメリカの学生は仕事を探しているのか、疑問に思う人が多いだろう。アメリカの学生は次の二つを使って仕事を見つけている。一つ目はインターンシップで、もう一つは卒業生である。

インターンシップはアメリカではとても活用されている。私の学部ではインターンシップをしないと卒業できないことになっているくらいだ。ある人は2つ以上のインターンシップを掛け持ちしている。私の住むワシントンDCでは、議員キャンペーン、新聞社、テレビ、政府、大使館、非営利団体、弁護士事務所、シンクタンク、などなど数限りないインターンシップがある。 インターンシップを通じてそのままそこに卒業後も残る、という生徒も少なくない。または、インターンシップをしていたところの関連会社に卒業後に移るというケースもある。私の友達は卒業してもそこでインターンを続け、採用されるのを待っている。

もう一つのアメリカの学生の仕事の見つけ方は卒業生とのコネクションである。日本でもあるが、アメリカでは卒業生と在学生を会わせる、お見合いパーティ的なものが年に数回催される。そこで、同じ学部の卒業生にどうやって今の仕事を見つけたか、その仕事を得るには今何をするべきか、などなどのアドバイスを求める。またはそのパーティで「師」なる人を見つける学生もいる。そこで名刺交換をして、後に採用される人も少なくない。ここでは、コネクションがものを言 う。ネットワーク作りがアメリカの就職活動の最大ポイントと言えよう。

この二つの理由で、アメリカの学生は卒業まで勉強に打ち込むことが出来る。たとえ、卒業の間近でも焦っている様子はあまり見られない。とりあえず、名刺を掻き集めている姿をみる位だ。私の友達のうちの一人で、数社から仕事のオファーが来ている子がいる。私は彼女の就職活動をしている姿を見たことがない。

日本では大学の卒業というと多くの人が惜しんでいる。アメリカでは、多数がやっと卒業できると喜びの声をあげる。その違いが勉強の取り組み方をみて理解できるような気がする。アメリカでは勉強に忙しくて就職活動の暇がない。卒業する時の声の違いを聞いて、大学制度の違いを感じた。

2006.5.18 掲載

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