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第6回  表現の自由

まだ日本にいるとき、アメリカ人の友達がアメリカと言えば「自由」だと言っていた。そのときは聞き流していたが、アメリカに来てから彼の言葉を思い出すことが多々あった。今回は私が感じた「自由」の一つについて書きたいと思う。

アメリカに来て、オープンマイクという言葉を覚えた。オープンマイクとは基本的に誰でも参加できるもので、それぞれが自分の表現を持ち、マイクの前で披露できる。色々なアーティストにとって非常にいい機会だ。

去年の冬、友達に連れられてあるカフェに行った。そんなに広くない店内には小さなステージらしきものが備えられていて、その上には一本のマイクがセットされていた。しばらくすると、主催者らしき人がマイクの前に立ち、これから詩の朗読が始まることを宣言した。カフェでくつろいでいる数人が順番にマイクの前に立ち、それぞれの詩を読み上げていく。ある人は踊るように詩を読み、ある人は血筋が見えるほど感情的に詩を読み上げる。それぞれのスタイルがあってとても面白かった。

去年行ったカフェは詩の朗読だけだったが、オープンマイクはもちろん詩の朗読だけ ではない。歌を歌う人もいれば、楽器を演奏する人、漫談をする人などなど、あらゆる種類の表現を見ることができる。つい最近行ったカフェでは、サインアップすれば、誰でもマイクの前に立って表現することができる。何度かオープンマイクのカフェに行ったが、未だ飛び入り参加の人を見たことはない。みんなこういう機会を大切に使っているのだろう。

私の友達の一人はかつてカフェのオープンマイクの前で楽器を演奏していた。彼はミュージシャンになりたい訳ではない。彼曰く、知らない人の前で演奏することはいい意味で刺激的らしい。マイクの前に立つ理由も人それぞれだろう。何かをひとに伝えたい、さらに大きなチャンスを探している、刺激を求めている、練習の成果を見せたい、理由は十人十色だ。大切なのは表現するということだ。

オープンマイクのいいところは、表現できるというだけではない。もう一つの利点は他の人の表現を聞くことができることだ。メッセージや媒体が違ってもオープンマイクが成り立っているのは、みんなそれぞれを聞いて違いを理解しているからだろう。

オープンマイクのシステムが広がれば、少し世の中が平和になるかもしれない。いつ か何らかの形で私も参加したいと思っている。アメリカに来る機会がある人、オープンマイクのカフェに立ち寄ってみては?オススメです。

2005.8.15 掲載

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