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第5回 夏時間

アメリカに来てそろそろ1年になる。一年を過ごすとやっぱり大分いろいろな物に慣れてくるものだ。今回は季節の移り変わりを知らせるものの一つ、夏時間について書こうと思う。

アメリカでは1年間に2度ほど時計を調整しなければいけない。夏時間から標準時間になるときと、標準時間から夏時間になるときだ。もちろん私には初めての経験だったので、とても混乱したのは言うまでもない。

夏時間は4月の第一日曜日の午前2時に始まる。夏時間の終わりは10月の最終日曜日の午前2時だ。

夏時間から冬時間に変わる時は、時計を一時間遅らせなければならない。うっかり忘れると、授業の一時間前に教室に着いてしまう。私は前もって知っていたので、1時間長く眠れて得をした。

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私に起こった小さな悲劇は、冬時間が夏時間に変わったときだった。変わることは知っていたのに、寝る前に目覚ましを一時間早めにセットするのを忘れて寝てしまった。もちろん時間は待ってくれない。私の時間は朝の8時なのに、世の中の時間は朝の9時。遅刻は間違いなかった。

学校に行くと、たくさんの子が遅刻しているのがわかった。アメリカ人でも慣れない人は慣れないようだ。教授も今日ばかりは仕方ないと言ったものだろう。

多くの人が慣れない理由は分かるような気がする。時間の変わり目でも、テレビで「変えてください、変えてください」と繰り返し言うでもなく、変わってから「変わりました」と言われるだけだ。“警告”がないに近い。慣れているから警告がないのかしら、とも思うが。

日本でも何年か前に夏時間を導入するという話があった。今どうなったのだろう。日本で夏時間が実際施行されたらアメリカのようには、いかないだろう。多くの日本人が「忘れてたぁ」と笑って言うだろうか。そうは思わない。

どちらが良いとか悪いとか言う話ではない。文化にシステムが合っているか合っていないかという話だ。文化の違いというのは色々なものに響く。何でも違うところで成功しているから取り入れよう!というものではない。文化の違いを理解してから、適応できるか考えなければいけない。日本での夏時間の適応が消えたのも、そういう理由なのかもしれない。

2005.6.15 掲載

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