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第2回 楽しんだもの勝ち


10月に入り、景色に変化を感じるようになった。この前まで青々しく茂っていた木々は少しずつ色を変えながら、冬支度をしている。 雨の多いとされるワシントンDCでも最近はずっと秋晴れが続いて、とても過ごしやすい。夏が終わる切なさと心地よさの入り混じる、 一年でもっとも美しい季節だ。一種の芸術品と言えよう。

 芸術といえば、アメリカで言うとNYなどを思い浮かべる人が多いだろう。確かに色々な人が世界から集まるあの都市は多くの芸術家を生み、また育てている。 しかし、そのような行動をとっているのは必ずしもNYだけではない。政治の街、ワシントンDCにも芸術は点在しているのだ。

 DCに来たことのある人なら知っていると思うが、DCの中心部には多くの博物館や美術館がある。 スミソニアン協会のものが多くを占め、そのほとんどが無料で楽しめる。観光客にとっても住民にとっても、入り込みやすい場所だ。 つい最近、the Native American Museumという博物館が完成し、オープン時には大きなお祭りが行われていた。 美術館の中ではときどき静かに模写をしている学生や、授業で来ている近くの高校の学生なども見かける。 アカデミックであり、アート感のあるとても良い空間を創り出していることは言うまでもない。

 今、うちの大学のキャンパスには何十頭ものパンダがいる。もちろん本物ではなく置物だ。 そのパンダたちはそれぞれ個性を持っていて、あるパンダはスイカになり、あるパンダはスパゲッティに浸かり、 また別のパンダはシャッターチャンスを待っているかのようにカメラを持っている。 この個性の強いパンダたちはDCにいるアーティストによって作られたものだ。 それぞれのアーティストがパンダを使って各々好きなように表現している。DCにとっても地元のアーティストにとっても、いい宣伝になる。 補足だが、これらのパンダはもともと先月までDCの街の中に展示されていたものだ。最後の一ヶ月を私の大学で過ごし、 この後は1000ドルからオークションにかけられるらしい。どこまでも合理的な国だと、改めて感心。

 DCと言えば政治の街。こっちに来るまではそう思っていたし、それは今でも変わらない。 しかし、実際街の中に入り込んでみると、意外なものが多く見えてくる。今回はアートと街の共存を見た。 次に見えてくるものが何なのか、とても楽しみで仕方がない。日本に帰ったとき、もう一度自分の町を見直してみようと思う。 意外なものが隠れてるかもしれないから。

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