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2003年6月26日発行
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          女性国会議員メルマガ『ヴィーナスはぁと』第84号

  ***   ***   「不妊治療」や「選択的夫婦別姓」は、人によって期待
 *****v*****  する政策に差があります。また、「国連」に対する評価も
  *********  一定ではありません。今回の号は、広中議員、有村議員、
   *******    千葉議員が、こうした意見が分かれる問題について、それ
     ***    ぞれの持論を述べてくれました。じっくり読んで、あなたは
      *     どう考えるか、教えてください。

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  目次
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■  「野党としての限界を味わいつつ、ベストを尽くすしかない」
    広中和歌子(参議院議員・民主党・千葉)」

■  「万能ではない“国連中心主義”に現実的視点を」
    有村治子(参議院議員・自民党・比例)

■  「法務委員会等の状況」
   千葉景子(参議院議員・民主党・神奈川)

■ 編集後記

■ 「ヴィーナスはぁと」参加議員一覧

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 「野党としての限界を味わいつつ、ベストを尽くすしかない」
               広中和歌子(参議院議員・民主党・千葉)
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 通常国会は終盤にさしかかり、衆議院から続々と送付される法案に、参議
院ではどこの委員会も忙しい。私の参加した武力攻撃事態特別委員会でも50
時間近い審議の末、事態法(通称、有事法)が賛成多数で6月6日本会議で可
決した。

 厚生労働委員会では、労働者派遣事業法、職業安定法が成立。そして、労
働基準法案が審議中である。時代の流れは好むと好まざるとに関わらず、労
働力の流動化である。

 こうした重要法案の審議中は国会周辺ではビラ配り、デモや座り込み、街
頭演説などで盛り上がる。国民の声を聴く良い機会だ。しかし、それが自分
達の判断と反対の場合は心苦しい。わせ、党として賛否の結論に達する。対
案を出し、修正を勝ち取る場合もあれば、徒労に終ることもある。そんな場
合は付帯決議で法案を補完する。

 いずれにせよ、野党としての限界を味わいつつ、ベストを尽くすしかない。
次の選挙で国民の判断に期待しつつ。

 前回、日本EU議員会議で、少子高齢問題について私が行った発言について
要旨を述べたが、このテーマでも政府から少子化社会対策基本法案と次世代
育成支援対策推進法案の2法案が提出された。

 子を産み、育てやすい環境作りのために国も地方自治体も、そして事業主
も具体的に責務や施策を明らかにし、高齢化の時代に女性が育児と仕事を両
立しやすい仕組みを作っていこうとする。遅きに失したとはいえ、当然なさ
れるべき方向であり、今後この基本法に基づいてどれだけ具体的に施策が生
まれるかだ。

 尤も、不妊治療に対して情報提供や相談などを施策としてとり入れたこと
に、一部の女性達は「性の自己決定権を侵害する」という危惧を表明してい
る。「結婚、出産は個人の自由」という戦後の女性運動の潮流に逆行されて
は困るということなのだろう。しかし、ホモサピエンスという種の継続と繁
栄にとって、子どもを産み育てることは基本であり、それは健全な社会と家
庭の中で行われなければならないことは確かだ。

 そうした中、先週和歌山県庁、農林水産部の緑の雇用促進局の方々が私の
事務所を訪ねて来られた。

 過疎、人手不足で放置された荒れた森林を、「緑の雇用事業」で生き返ら
そうという取り組みについて、話を伺った。平成14年度県外、それも都市部
から、133名を受け入れ、間伐、植林などの森林育成に従事してもらったとこ
ろ、そのほとんどが田舎の生活に満足し、子育てにも良いと定住を希望して
いるという。

 給料は年間200万。収入は下がるかもしれないが、心の所得がある。つま
り、澄んだ空気、のびやかな自然、温かい人間関係、精神的なやすらぎや充
実、都会生活では味わえない、すばらしい暮らしがあるという。


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 「万能ではない“国連中心主義”に現実的視点を」
                有村治子(参議院議員・自民党・比例)
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《聞こえの良い「国連中心主義」だが・・・》

 こんにちは!有村はるこです。今日は、国連の機能について、考えてみた
いと思います。イラク危機を契機に、私の事務所にも、連日のようにアンケー
ト調査の依頼が、マスコミ各社から殺到しました。調査結果を、統計的に処
理するための便宜上、AかBかの極端な二者択一を迫ってくるアンケート設問
が多く、YESかNOかの二項対立的な設問に対して、持論の意図を正確に伝えら
れないもどかしさを感じることも少なくありません。

 例にもれず、全国の新聞社に記事を配信される大手通信社から受けたアン
ケートの設問に、「今後の日本の外交方針としてあなたは、国連中心主義と、
日米同盟の結束と、どちらをとりますか」という主旨の質問がありました。
この問いに関して私は、「日本の安全・安定を図っていくためには、どちら
も重要な国家戦略であり、両者は、決して取捨選択できる問題ではない」と
の考えを持っています。基本的には、「取捨選択の問題」ではなく、国際情
勢における日本の立場と国益を勘案してウエイト付けする、「優先順位の問
題」だと、とらえています。

 以前野党のヴィーナスはぁと議員が、「イラク危機は、国連を中心に解決
せよ」という論旨の寄稿をされていましたが、「国連こそは、信義や公正に
よって、正常に機能してほしい」という私たちの思惑とは裏腹に、「どうい
う選択が、自国の将来的な国益になるか」と各国がしたたかに思案し、国連
が、その利害対立を露呈させる場と化している現実にも、目を向けなければ
なりません。

《国連は、各国の国益が露骨にぶつかりあう交渉の場》

 最近の例で言えば、国家的に拉致をしてきた北朝鮮の人権状況に対する非
難決議が、国連人権委員会にて提案されたところ、拉致問題を「許されない
人権侵害だ」とする決議に賛成したのが、当事国の日本を含む28ヶ国(Aグ
ループ)。驚くべきことに、この非難決議に反対した国が、ロシア・シリア・
中国を含む、10ヶ国(Bグループ)。そして、この決議の採決に対して棄権
し、立場を明らかにしなかったのが、パキスタン・タイ・インドなど14ヶ国
(Cグループ)ありました。

 このBグループ・Cグループに属する国は、武器輸入を通して北朝鮮と相互
依存の関係にあったり、北朝鮮による国家的な拉致を非難すれば、自国内に
おける少数民族への人権侵害まで問題視され、国連で非難されることをおそ
れるなど、それぞれの「個別事情」を抱えた国であり、(北朝鮮自身が認め
た)国家的拉致すら、非難しない立場をとっています。

 一般的な日本人の感覚からすると、本人の意図とは関係なく突然日本国内
で誘拐され、家族や祖国と四半世紀も隔離され、北朝鮮で住まわされた人々
が、著しい人権侵害を受けてきた被害者だと判断するのは、当然のことです
が、こんな正論すら、まかり通らないのが、自国の国益を軸にして動く国連
加盟国の実態だということを思い知らされます。

《日本が多額の税金を拠出する国連と、その加盟国の現実》

 さらに驚くべきことに、中国・ベトナム・マレイシアなど、拉致を非難し
ない(できない)国に対して、日本からは100億円単位の巨額のODA(政府開
発援助)をしているケースも、少なくありません。私も含め、この事実に対
して問題意識を持つ自民党の「安全保障政策議員連盟」が、各国の駐日大使
館を通して、「国連の人権侵害決議にどうして賛成しないのか」を調査中で
すが、拉致問題の国際的認知度を上げていくことは、(北朝鮮による核疑惑
等への対応ばかりに追われて、国際交渉の議題から拉致問題が、かき消され
るような事態を未然に防ぐためにも)重要で、日本の国益にかなう行動です。

 国連の安全保障理事会(安保理)の常任理事国は、国連が創設された当時、
構成員となった第2次世界大戦の戦勝国───米・英・仏・ソ連(現=ロシ
ア)・中国となっていますが、日本が税金を使って国連に拠出している年間
の金額約321億円(2003年)は、米国以外の常任理事国4カ国の拠出金を全て
合算した金額よりはるかに多く、現在191ヶ国が加盟する国連の経費の約2割
を、日本からの拠出金が、まかなっているという計算になります。

 しかも国連憲章には、日本・ドイツ・ハンガリー・フィンランド等、約60
年前に連合国と交戦状態にあった国々を「敵国(enemy state)」と定め、そ
れら敵対国への対応について、当時のままの姿勢が明文化されている、いわ
ゆる「旧敵国条項」なる条文が、現存されたままになっています。

《万能ではない国連に抱く「幻想」を乗り越えて》

 誤解が生じないように明言しますが、私は今でも、理性を以って、国連の
機能を高めてもらいたいと願う日本国民、議員の一人です。しかしイラクを
めぐって国連の安全保障機能が空転し、機能しないことを世界に強く印象付
け、(国連による協働歩調が取れなくとも)アメリカ主導の一国主義によっ
て、「一定の結果(『勝ち組』・『負け組』)」が出された現実が世界的に
認知された以上、「この難題は国連主導で解決せよ」と決まり文句のように
唱えてみても、問題解決への手順を示し正論を述べたと評価される時代では
ありません。この現実を、与野党共に受け入れ、国際政治において日本が持
つ現実的な交渉力を高めていく方法を打ち出していくべき時期に来ています。

 日本から発信可能な国連改革の具体例を考えると、

●「旧敵国条項」の明確な削除も含め、日本の国連拠出金に見合った、発言
 力を持っていくこと

●発言力が勝ち取れないのであれば、日本の国連拠出金の是非についても、
 活発な議論を醸成していくこと

●国連が国際問題を解決する上で、難民救済や教育・医療分野など、人道的
 な貢献で効果を挙げている分野は評価・支持する一方、「政治的解決を図
 る場」という国連の機能に関しては、希望的な過大期待を持たず、万能で
 ない国連に求める機能を、現実的に選別していくこと

 等が挙げられます。国連と日本の関係については、観念や印象論だけでは
なく、事実に基づいた検証を交えて、最善の有り方を探り、今後とも引き続
き発信していきたいと思っています。


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 「法務委員会等の状況」
               千葉景子(参議院議員・民主党・神奈川)
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 しばらくご無沙汰しておりました。言い訳ではないのですが、最近の法務
委員会は難題を数多く抱え(あまり派手ではありませんが)仕事をやっても
やっても追いつかぬような状況なのです。国会は延長になりましたが、それ
でも予定されている法案のすべてを審議することはまず困難だと思われます。

 このような中ですが、皆さまからも強い要請のある選択的夫婦別姓等の民
法改正案を、民主、共産、社民の共同で参議院へ提出いたしました(5月
27日)。

 提出まで時間を費やしたのは、自由党へも参加をお呼びかけしていたこと
もあったからです。自由党では、呼びかけを率直に受け止めていただき、党
内で熱心な議論をされたとお聞きしておりますが、残念ながら党で決定する
までには至らず、共同提案に関しては、お断りのお返事を頂きました。ご努
力には心から感謝するとともに、今後引き続きのお誘いをしていきたいと思
います。

 又、自民党でも、野田聖子議員が中心になって踏ん張っておられるようで
すが、いまだ厚い壁は突破できない様子。タメ息モノです。

 更に厳しいことに、この問題に熱心に取り組んでこられた森山法務大臣。
大臣としての決断を期待し、チャンス到来と思っていたのですが、刑務所に
おける不祥事発生等で自らの座も危うい状況…。民法どころではないご様子
です。

 以上のような実情ですので、道は依然として厳しいですが、皆さまと力を
合わせて、粘り強く頑張ってまいりたいと思います。

 なお、法務委員会に関係する法案としてご報告しておくことが何点かあり
ます。

 ・「性同一性障害者の性別の取り扱いの特例に関する法律案」が超党派の
  議員立法で成立の見通しです。いくつかの問題点を残してはいるものの、
  新たな第一歩が踏み出されます。

 ・いわゆる「児童買春、児童ポルノ処罰法」の見直しの議論があります。
  条約の要請による国内法の整備とのことですが、この間、幅広い議論が
  欠けていた面があり、まとまるには多少時間を要するのではないでしょ
  うか。

 ・司法制度改革に関する取り組みは急ピッチで進んでいます。国民の司法
  参加という点で重要な裁判員制度。議論もいよいよ大詰めを迎えます。
  是非、ご関心を!


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  編集後記              ロゼッタストーン・弘中百合子
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 前回、「有事法制について意見を聞かせてほしい」と呼びかけたら、早速、
読者の方々から反応がありました。ありがとうございます。みなさん、決し
て関心がないわけではなく、自分の意見を表明する場がなかっただけなのか
もしれませんね。

 今回の「少子化社会対策基本法」についてはいかがですか? 「個人的な
ことに国は口を出さないでほしい」と感じる人もいれば、「国及び地方公共
団体は、不妊治療を望む者に対し良質かつ適切な保健医療サービスが提供さ
れるよう、不妊治療に係る情報の提供、不妊相談、不妊治療に係る研究に対
する助成等必要な施策を講ずるものとする」と明記された法案を歓迎してい
る人もいると思います。また、ご意見を聞かせてください。

 ご意見、ご質問はvheart@rosetta.jpまでお願いします。

※お手数ですが、お寄せいただくご意見に
   1)「掲載可」か「掲載不可」か

 掲載してもよい方は
   2)「匿名希望」か「実名可」か
   3)「事前連絡必要」か「事前連絡不必要」か

をお書き添えいただけると、大変助かります。なにも記載がないものを紹介
する場合は、要旨だけを匿名でご紹介する形にしたいと思います。



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  「ヴィーナスはぁと」参加議員一覧
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 「ヴィーナスはぁと」に参加してくださったのは、次の15名(敬称略)の
方々です。

 ◇衆議院
  川田悦子 (無所属・東京)    小宮山洋子(民主党・東京)
  瀬古由起子(共産党・東海)   武山百合子(自由党・北関東)
  水島広子 (民主党・栃木)    山内惠子 (社民党・北海道)
  山口わか子(社民党・北陸信越)

 ◇参議院
  有村治子 (自民党・比例)    井上美代 (共産党・東京)
  岡崎トミ子(民主党・宮城)    千葉景子 (民主党・神奈川)
  八田ひろ子(共産党・愛知)    広中和歌子(民主党・千葉)
  福島瑞穂 (社民党・比例)    吉川春子 (共産党・比例)

詳しいプロフィールを知りたい方、顔写真を見たい方は、ロゼッタストーン
WEBページで公開しています。⇒ http://www.rosetta.jp/
各議員のWebページにもリンクしています。

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■次号予告
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 次回の発行は、6月26日です。

 有村治子議員(自民党) 千葉景子議員(民主党)
 広中和歌子議員(民主党)が登場する予定です。

 ※登場する議員の顔ぶれは、変更する場合もあります。ご了承ください。

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〒171-0021 東京都豊島区西池袋5−27−9−101 株式会社ロゼッタストーン
発行人・編集人:弘中百合子
Copyright(C) ロゼッタストーン 許可無く転載することを禁じます

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