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2002年10月31日発行(毎週木曜日配信)
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          女性国会議員メルマガ『ヴィーナスはぁと』第50号

  ***   ***  先日の衆参統一補選では、女性の当選者はいません
 *****v*****  でした。辻元清美議員、田中真紀子議員の辞職に伴う
  *********  選挙でもあったので、女性議員は完全に2人減ってしま
   *******  いました。一方、30代の男性候補者が4人も当選。世代
     ***  交代が進んでいます。政治家をめざす若い女性も、もう少
      *  し、増えるとよいのですが……。

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  目次
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■ 「選択的夫婦別姓の現状」
   千葉景子(参議院議員・民主党・神奈川)

■ 「身近なところで楽しみを見出す知恵」
   広中和歌子(参議院議員・民主党・千葉)

■ 読者からのご意見

■ 編集後記

■ 「ヴィーナスはぁと」参加議員一覧

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 ●「男と女」どこまで近づけるのか?
   松島みどり議員、小宮山洋子議員、八田ひろ子議員、福島瑞穂議員が
   登場!
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 「選択的夫婦別姓の現状」
               千葉景子(参議院議員・民主党・神奈川)
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 選択的夫婦別姓の論議は相変わらず決着がつかぬまま推移しています。

 先日、働く女性のみなさん(嬉しいことに男性も参加して)と意見交換の
場があり、選択的夫婦別姓の法制化を求める意見が数多く出されました。そ
の際、職場や周辺の実情について報告がありましたので、二、三ご紹介しま
す。

 まず、航空関係の職場では、希望すれば旧姓使用が認められるようになっ
たとのこと。取引先との関係を有する女性社員も増加していることが背景に
あるようです。しかし、それができるのは、あくまで空港勤務以外の地上社
員だけ。なぜなら、例えば客室乗務員の場合には、パスポートとの整合性が
とれなくなるとの理由からです。旧姓(通称)使用では限界があることが明
白なのです。

 また、放送関係の職場の紹介もありました。放送関係の職場では、はじめ、
女性アナウンサーから通称使用が認められるようになったとのこと。氏が変
わると視聴者からの問い合わせが殺到し、業務に支障をきたすということが
発端だったようです。現在では既婚者の37%が通称使用しているとのこと
で、社会の実態は、既に夫婦別姓が違和感なく受け入れられているというこ
とではないでしょうか。

 その他、周囲には事実婚も増え、家族の形態や考え方にも大きな変化が存
在することも報告されました。

 にもかかわらず……

 私は先日、参院で代表質問に立つ機会を得ましたので、小泉総理の決断を
促しました。

 しかし答弁は10年一昔の内容。「選択的夫婦別姓についてでございます
が、この問題は、婚姻制度や家族の在り方と関連する重要な問題であり、い
ろいろ議論のあるところでありますが、社会の変化を踏まえ、国民の意識動
向に注目しつつ、各党各会派のご議論を頂き、対処する必要があると考えま
す。」というもの。「改革」を唱える総理とはとても思えず、また「自民党
をブッ壊す」と豪語される方に似合わず、しおらしい。

 このような政府の姿勢ですから、法制化へ向けた道のりは未だ険しいもの
と思いますが、引き続き頑張っていきましょう。

 なお、この懇談のなかで、地域によっては根強い「家」意識が残っている
こと、「家父長制」的慣行が存続していることも知らされました。例えば、
夫より先に死んだ妻は、夫に尽くし最後まで看取る役目を果たさなかったと
され、その葬儀に夫は参列しないという慣習がある地域の話もありました。
これには一同唖然となりました。

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 「身近なところで楽しみを見出す知恵」
                広中和歌子(参議院議員・民主党・千葉)
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 機会を見つけては東北を旅することが多い。春には盛岡から花巻に。そこ
で新渡戸稲造と宮澤賢治の記念館を訪れた。折から新緑が美しく、のびやか
な自然の中で、われらが先輩達のそれぞれに高貴な魂が育まれた土壌を感じ
させられた。

 一人は世界の平和を願って国際連盟の設立に関わり、一人は農業問題に取
り組み、地域の生活向上に一生を捧げた。共に文人として深い教養が感じら
れる書や絵、著作が展示されていた。

 そして一昨日は仙台市を訪れた。道路は広く、街路樹によって見事に彩ら
れ、街には落ち着きとゆとりが感じられる。宮城県知事 浅野史郎氏にお目
にかかったが、NPOボランティアの活動が盛んであること、この地の歴史・
文化・人材・自然を活かした地方分権を推進していきたい旨、話をされてい
た。

 戦後、日本各地で猛烈なスピードで開発・生産・消費が展開され、今それ
がようやく曲がり角に来ているとき、そうしたムードから一呼吸間を置いた
東北地方が、自らの持つ自然の美しさをそれほど破壊することなく、ゆっく
りと、しかし着実に生活を向上させている。スピードレースのビリを走って
いたものが、気がつけば時代の先頭に立っていたという感じである。

 東京に戻り、テレビをつけると、ニュースは相変わらず銀行の不良債権問
題、不況、失業、自殺など暗い話ばかり。

 しかし、人々の顔はそれほど暗くは思えない。デパ地下は食料品であふれ、
街には活気がある。何といっても日本はGDPベースで世界第2位の経済大国。
少々生活を切り詰めても、まだまだゆとりがあるということなのか。それに
デフレで物価が下がったことの恩恵もある。

 しかしそれだけではない。人々は新しい価値観を持ちはじめているのでは
ないか。日本には“もの”ではない心のゆとりに根ざした文化、伝統がある。
茶の湯、華道、書道、それに和歌に俳句とそれに伴う旅。

 産業構造の点でも、年齢構成の上でも、成熟社会を迎えている日本、人々
はこれまでのような成長の夢を求めるより、身近なところで楽しみを見出す
知恵で、自分や日本を再発見し始めているのかもしれない。


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  読者からのご意見
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●武力に武力で対抗することが悲劇を生む

 皆さんの文書を読んでいつも思うことは、国内・国際政治に関わらず、政
治というものに最も重要な理念とはなんだろうか、ということです。または、
今の日本の政治に最も欠けているものはなんだろうか、と言ったほうが良い
のかもしれません。それは、他者への理解であり、想像力であり、思いやり
であると思うのです。

 ふと夫に、従軍慰安婦の問題や、イラクへのアメリカの臨戦態勢のことな
ど「問題だと思わない?」と話し掛けますと、例えば従軍慰安婦問題なら「終
わったこと、過去のことばかり話しても仕方がない」、イラクへの攻撃の問
題なら「悪いことをしたのだから攻撃されても仕方がない」という返事が返っ
てきます。

 夫一人が全国民の代表だと言うわけではありませんが、非常に端的に今の
日本の政治の問題が表れているように思えてなりません。

 過去を清算しないがために、現在にどのような悪影響を及ぼしているのか、
武力を押さえるために武力で対抗することが、目的を達しない上にどれほど
の悲劇を生むのか。そういったことを訴えようとする語りかけは、想像力を
持とうとしない人々にどれほど伝わらないものかを実感し、伝える言葉をも
たない自分の無力に涙してしまうことも少なくありません。

 「人を殺すのはいけないことだ」という単純明快なこの言葉がなぜ政治に
なると意味をなさなくなるのでしょう?

 自分にできる最低限の努力は「興味、関心を失わないこと」と信じてでき
るだけ関連記事やヴィーナスはぁとのようなメールマガジンを読んだりもし、
次にできることは「一人でも多くの人と話をすることだ」と思って夫にも語
りかけたりしましたが、どうにも想像力欠如の壁は越えられません。

 どのような努力をすればこの壁を越えられるのか・・・ヴィーナスはぁと
を読みつつ、学んでいこうと思う毎日です。


●戦争は必要悪ではないのか?

 さて、終戦の8月が過ぎ、9.11から1年ということで、「平和と戦争」に関
する議員の方の意見が多くなりました。それについて、意見を寄せたいと思
います。

 ほとんどの人と同じように、私は戦争がなくなり平和になればよいと考え
ます。しかし、それは簡単なことではありません。平和はみんなが望んでい
るようでいて、いまだ実現していないのです。

 それはなぜでしょう。つまり、「戦争」は必要悪だからです。もっと言え
ば、「戦争」がなければ「平和」にならないのです。

 「平和」というのは、戦争がないことだけではありません。最低限の衣食
住、そして言論や政治活動、就職、移動の自由などの人権の保障があって、
初めて平和といえるのです。

 アフガニスタンは、タリバン政権になってから、確かに秩序を取り戻しま
した。しかし、決して平和と呼べるものではありません。徹底した言論弾圧、
性差別、娯楽の禁止、食糧難、そして公開処刑。どこが平和でしょうか。タ
リバン支持者以外のアフガン人のほとんどは、タリバンを追い出したアメリ
カを歓迎しています。歓迎していなくても、最低限、タリバンを追い出した
行為そのものは評価しています。

 確かにタリバン後、病気や食料難で多くの方々がなくなっています。しか
し、タリバン時代より悪化したわけではありません。そして、国際社会はそ
れを援助します。さらに、アフガン人はかけがえのない「自由」を手にしま
した。前よりは、平和になりました。

 同じことは、ほかの国にも言えます。フセイン、金正日の独裁に苦しめら
れている民衆は、タリバン時代のアフガニスタンと同じく、まさしくこの世
の地獄に生きています。悪魔の独裁者は、まさに「悪の枢軸」と呼ぶにふさ
わしいものです。
 イラクの、北朝鮮の民衆を救うために、アメリカの行動を支持します。

 戦争の後には、民衆は平和を手にします。しかし戦争がなければ、民衆は
平和を手にすることはできず、独裁のもとに苦しめられます。

 アメリカの民主主義を守った偉大な反対者、バーバラ・リー議員は、「平
和とは、緊張がないと言う状態だけでなく、正義が存在することである」と
述べました。今のイラクと北朝鮮には、正義は存在しません。戦争をせず、
正義がもたらされるのであれば最善ですが、必要悪としての戦争は仕方ない
と思います。

 ヴィーナス議員の皆さんには、フセインと金正日の独裁に苦しめられて、
人権弾圧を受けている人々をどうやって助けるのか、それとも助ける必要が
ないのかを、おうかがいしたいと思います。


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  編集後記              ロゼッタストーン・弘中百合子
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 今回の「読者意見」は、対立するふたつの意見を紹介しました。誰もが「平
和」を望んでいるのですが、「ヴィーナスはぁと」には、いつも、「暴力の
連鎖が心配」という声(主に女性)と、「平和を維持するためには、ある程
度の武力が必要」 という声(主に男性)が届きます。

 アメリカのイラク攻撃は時間の問題とも言われています。北朝鮮の核開発
も明らかになりました。日本はどうやって平和を維持するのか、どうすれば
戦争に巻き込まれなくてすむのか。難しい問題ですが、逃げないで考えるべ
き時期かもしれません。


 ご意見、ご質問はvheart@rosetta.jpまでお願いします。

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  「ヴィーナスはぁと」参加議員一覧
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「ヴィーナスはぁと」に参加してくださったのは、次の次の16名(敬称略)の
方々です。

 ◇衆議院
  川田悦子 (無所属・東京)  瀬古由起子(共産党・東海)
  武山百合子(自由党・北関東)  松島みどり(自民党・東京)
  水島広子 (民主党・栃木)  山内惠子 (社民党・北海道)
  山口わか子(社民党・北陸信越)

 ◇参議院
  有村治子 (自民党・比例)  井上美代 (共産党・東京)
  岡崎トミ子(民主党・宮城)  小宮山洋子(民主党・比例)
  千葉景子 (民主党・神奈川)  八田ひろ子(共産党・愛知)
  広中和歌子(民主党・千葉)  福島瑞穂 (社民党・比例)
  吉川春子 (共産党・比例)

詳しいプロフィールを知りたい方、顔写真を見たい方は、ロゼッタストーン
WEBページで公開しています。⇒ http://www.rosetta.jp/
各議員のWebページにもリンクしています。

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■次号予告
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 次回は、川田悦子議員(無所属) 瀬古由起子議員(共産党)
 山内惠子議員(社民党)、水島広子議員(民主党)が登場します。

 ※登場する議員の顔ぶれは、変更する場合もあります。ご了承ください。

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〒171-0021 東京都豊島区西池袋5−27−9−101 株式会社ロゼッタストーン
発行人・編集人:弘中百合子
Copyright(C) ロゼッタストーン 許可無く転載することを禁じます

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