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2002年11月7日発行(毎週木曜日配信)
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          女性国会議員メルマガ『ヴィーナスはぁと』第51号

  ***   ***  雪印食品による牛肉偽装事件で、事件を内部告発した
 *****v*****  西宮冷蔵が廃業に追い込まれたそうです。自分の中の
  *********  「正義」と「経済的利益」を両立することは、本当に難しい
   *******  のだなあと、なんだか寂しい気がしました。
     ***  今回は、瀬古議員と、川田議員から原稿が届きました。
      *  忘れかけていた記憶を呼び戻すような内容です。

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  目次
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■ 「ふるさとへ帰る 拉致事件被害者とハンセン病元患者」
   瀬古由起子(衆議院議員・共産党・東海)

■ 「医薬品医療機器総合機構法案に強く反対!」
   川田悦子(衆議院議員・無所属・東京)

■ 読者からのご意見

■ 編集後記

■ 「ヴィーナスはぁと」参加議員一覧

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季刊ロゼッタストーン第11号 10月9日発売!
 ●「男と女」どこまで近づけるのか?
   松島みどり議員、小宮山洋子議員、八田ひろ子議員、福島瑞穂議員が
   登場!
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 「ふるさとへ帰る 拉致事件被害者とハンセン病元患者」
             瀬古由起子(衆議院議員・日本共産党・東海)
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 拉致事件の被害者がふるさとに帰り、家族や友人たちの暖かい心で、
24年間の「空白」が埋められていく場面をテレビなどの報道で観ながら、
私も熱いものを感じます。ふるさとの山、川、人々は時間も空間も包み込ん
でしまう偉大な力をもっているんですね。

 それだけに、一人ひとりの愛する人々に囲まれた暮らしを突然破壊した北
朝鮮の犯罪への怒りが湧いてきます。粘り強い「交渉」で一刻も早い解決が
望まれます。

 先日、ハンセンの元患者さんたちの集会がありました。みなさんは、この
拉致事件の報道を観ていて「納得がいかない」「しっくりこない」というの
です。話を聞いてハッとしました。

 「僕たちは90年間、強制隔離で手錠までかけられて日本の政府によって
“拉致された”」といわれるのです。「今だにふるさとに帰れない」と訴え
られたのです。恥じました。

 昨年、歴史的な裁判に勝利したというのに、24700の遺骨は「流され
ず」引き取り手もないまま日本の療養所の納骨堂に今なお眠ったままなので
す。4000人余の入所者の、亡くなった両親のお墓参りが許される人はわ
ずかです。「帰ってこないでくれ」「もう、お前は死んだことになっている」
と家族が反対しています。

 拉致事件の被害者の親、親戚とくらべて、ハンセンの家族がとりわけ冷た
いのか。そうではありません。同じ国家犯罪なのに違いは何か。ハンセン病
の撲滅の運動に国民が徹底して動員されたことです。「無らい県運動」と言
います。戦前は「天皇の軍隊にこんな“醜い”人間を入れてはならぬ」とし
て国民あげて“患者探し”がおこなわれました。家中を真っ白に消毒された
家族は転居し、転職。自殺者まで出したのでした。政府はこの病気には遺伝
性もなければ、感染力も弱い病気だとわかっていたのにです。

 「ふるさとに帰りたい」せめて「ふるさとのお墓にだけは入りたい」とい
うのが元患者さんたちの願いです。そのためには政府は家族に謝罪し、国民
の中に根付いた差別・偏見をなくさなければならない責任があるのです。

 未だに家族は息をひそめて生きているのです。今なおふるさとを想う人々
を、そして遺骨を一人ひとりふるさとに帰す事業はこれからです。

 どんなにうつくしいふるさとも国家のおこした犯罪を包み込むことはあり
ません。


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 「医薬品医療機器総合機構法案に強く反対!」
                川田悦子(衆議院議員・無所属・東京)
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●医薬品の審査安全対策は国が主体になってやるべき

 今回、独立行政法人化の一環として、医薬品医療機器総合機構法案が出さ
れている。国家公務員定員削減政策(25%削減)の流れの中で、独立行政法
人化したほうが定員増もはかることができ、弾力的運用ができるとの意見も
あるが、医薬品関係の業務に関しては国が責任を持ってやるべきものであり、
独立行政法人化はたいへん危険な考えである。

 独立行政法人通則法の第2条に、独立行政法人というのは、「国が自ら主
体となって直接に実施する必要のないもののうち、」で民間に任せても構わ
ない業務のために設立される法人であるという規定がある。

 私は、医薬品・医療用具の審査や安全対策は、そもそも国が自ら主体となっ
て直接に実施する必要のあるものであり、通則法2条の独立行政法人の定義
には当てはまらないものであり、独立行政法人化そのものに強く反対する。

●薬害エイズの教訓を踏みにじる安全対策と振興対策の結合

 薬害エイズの教訓を踏まえて、1997年に旧薬務局の組織再編が行われ
た。

 旧薬務局は廃止され、医薬品等の安全対策と振興対策とを組織的に分離さ
せるために、研究開発振興課と経済課が医政局の所管となり、その他の部門
が医薬安全局の所管となった。

 このことについては、2000年の「望ましい医薬品提供のありかた」と
いうシンポジウム(鹿児島)で、当時の医薬安全局企画課課長補佐の
山本弘史氏は以下のように発言している。

 「薬事法の改正に伴いまして、単に名前を変えただけでなく、企業活動の
支援、研究開発の振興というようなアクセルの部分と、医薬品の審査、監視
といったブレーキの部分を分離し、医薬安全局はそのうちのブレーキの権限
に限定してこれを正確に行使する体制としました」

 このように、山本氏がアクセルとブレーキにたとえたように、「研究開発」
と「審査・安全対策」というのは互いに相反する業務である。これを組織と
して分離することは制度としてぜひとも必要なのである。

 その後、行政改革、財政再建の流れの中で厚生労働省になった際に、医薬
安全局は生活衛生局と統合されて、安全対策の体制は後退してしまった。こ
の点についても、山本氏はシンポジウムでこう発言している。

 「今、行政改革ということで、必ずしも安全対策の強化充実ということを
全ての部門において実現させていただくような環境が整っているとはいえず、
それへの逆風も吹いているわけです」

 この山本氏の発言からもわかるように、安全対策の体制については、現場
からも懸念の声が上がっていた。

 そして、今回の新法人化では、研究・開発、審査、安全対策、救済の4業
務がひとつの組織によって行われる仕組みになってしまった。

 薬害エイズという甚大な被害という代償を払って、ようやく分離された安
全対策と振興対策が新法人において一つの組織の中にいとも簡単に復活しよ
うとしているのだ。

●少なくとも研究・開発だけは他の業務から独立させて別法人とするべき

 研究・開発を審査、安全対策、救済と同じ組織で行えば医薬品の安全性は
確保されない。

 私はこのような理由から独立行政法人化そのものに強く反対するが、百歩
譲ったとして新法人の4つの業務のうち、少なくとも研究・開発だけは独立
させ、他の法人に行わせるべきであると考える。

 人的な側面、最終的な判断の責任の所在という側面からも分離を図るべき
である。日本には責任の所在が不明確であるために様々な問題が次々と発生
している。この責任を明確にすることは日本にとって不可欠である。

●製薬会社の元役員も簡単に新法人の役員になれてしまう

 「人事」についても大きな問題を持っている。新法人の役員人事について
は、適正かつ公正な人物が採用されるべきことは当然である。

 過去においても、薬害が繰り返し起きてきた原因はまさに企業と官僚の癒
着にある。薬害の悲劇を繰り返さないためには、企業と官僚の癒着を断ち切
ることがぜひとも必要だ。

 この点について、法案11条1号は、機構と取引上密接な利害関係を有する
者などは、新法人の役員になれないと規定している。

 また、11条2号では、製薬会社等の役員も、新法人の役員にはなれないとさ
れている。

 しかし、製薬会社等の元役員については何ら規定がなく、例えば、一旦辞
めてしまえば、直前まで製薬会社にいた役員も自由に新法人に入ることがで
きる。

 そして、新法人では、従来の機構よりも人員が100人程度増員されることに
なっており、審査体制強化として多数の職員が製薬企業から採用されること
が予定されている。このような職員に対して支配力・影響力を行使しうる役
員が採用されれば、新法人全体として、公正さが確保されるとは思えない。

 少なくとも条文上、製薬会社等の元役員も一定の期間は新法人の役員とな
れないことを明記すべきである。

 現役員と元役員では、その支配力・影響力に差があるという指摘もあるが、
会社を辞めてからの期間が短ければ、新法人の業務を通じてその支配力・影
響力を行使することは十分可能だ。

 この点に関しては、職業選択の自由との関係で、非公務員型の法人におい
て過度の就業の制限を設けることは憲法上問題があるのではないかとの指摘
もある。

 しかし、非公務員型の法人であるとはいえ、行政権の一端を担うことには
変わりなく、行政権が適正・公正に行使されるべき要請はこれまでと異なら
ない。また、会社を辞めた後、新法人の役員となれない期間を一定の合理的
な範囲に制限すれば、職業選択の自由にも抵触するものではない。

●企業の研究・開発の推進で、新法人と企業の癒着がすすむ

 今回の新法人では、審査期間を短縮するために審査手数料を引き上げ、製
薬会社などから人材を採り入れる。また、研究・開発に補助金が出されるだ
けでなく、いわゆるバイ・ドール方式(特許権を企業に与えるもの)を導入
し、企業の育成を一層推進しようとしている。

 これらの措置によって、新法人と企業との関係が密接化し、医薬品行政全
体にとって非常に危険な状況になることは目に見えている。

 最近アメリカにおいても、製薬業界からの資金依存で審査を急ぐことにな
り、審査が甘くなり問題を引き起こしていると、FDAの新薬承認システムに対
して危惧が出てきている。

 そのことは最新のイギリスのBMJ誌でも指摘されており、前FDA審議会委員
も、「FDAは製薬会社のしもべとなった」とFDAを批判している。

 日本においても、人的な面、経済的な面において、新法人と製薬会社との
関係が密接になることは避けられない仕組みになっている。

 補助金の支出、企業の育成・優遇が行われるのであれば、企業と新法人の
癒着を今まで以上に厳しくチェックできるようにしなければならない。

 研究・開発に関しては、何をどのように研究・開発し、それにいくら補助
金を出したのかを絶えず明確にし、外部から客観的にその適正さを判断しう
るような状態で透明性を確保する必要がある。報告書を出させるなどという
ような方法など考えてほしい。

●売れない薬は作られなくなる

 今回の新法人は、企業にインセンティブを与え、研究・開発を促進するも
のである。

 一方で、企業にとって収益の期待できない希少な医薬品については、その
研究・開発がないがしろにされる可能性が出てくる。

 新法人としては、企業の手の届きにくい希少な医薬品にこそ、その研究・
開発が促進されるように十分な補助をしていくべきである。

 また、海外に目を向けると、アフリカ諸国などの発展途上国では薬を買え
ないばかりにたくさんの人がエイズやマラリア等で日々命を失っている。

 日本が、医薬品の分野において、欧米に追いつくような技術を開発するこ
とも重要である。しかし、薬は売るためにあるのではなく、人の命を救うた
めにあるのだという原点に立ち返って、本当に薬を必要としている人のため
に何ができるかを日本は考えるべきではないかと思う。

 アジア諸国との連携を図り、薬を必要としているアフリカ諸国の人たちの
ために薬を供給していく、それこそが本当の意味でのグローバル化であるの
ではないか。


◇◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  編集後記              ロゼッタストーン・弘中百合子
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 瀬古議員は、議員のなかでも、もっとも熱心にハンセン病対策に取り組ん
でいる人です。けれど、一時、あんなに盛り上がったハンセン病問題も、い
まや、日本人の多くが忘れかけています。思えば、中国残留孤児の時もそう
でした。いま、こんなに関心を集めている「北朝鮮拉致問題」も、いつか潮
が引いていくように、みんなが目を向けなくなるのではと心配です。物事は、
最後まで関心を持ち続けることが大事なのだと自戒をこめて思います。

 川田議員が命がけで取り組んできた「薬害エイズ問題」も、治療薬の進歩
とともに、人々の関心から遠ざかっています。それとともに、「薬の安全対
策が後退している」のだとしたら、問題です。厚生労働省の方のご意見も、
ぜひ、聞いてみたい気がします。

 読者からも、いろいろ興味深いご意見やご質問が届いています。そのなか
で、私自身、勉強不足で知らなかったのは、「住民基本台帳ネットワークシ
ステム」に記載されている住民の「氏名、生年月日、性別、住所」は、役所
に届け出てお金さえ払えば、いまでも業者が自由に閲覧できるということで
した。

 例えば小学校に入学する児童へのダイレクトメール、成人式を迎える人へ
のダイレクトメールなどは、業者が裏で取引されている名簿で調べているの
かと思っていたら、役所で合法的に獲得できるのだそうです。

 「住民基本台帳の閲覧は、世論調査、学術調査、市場調査等に多く利用さ
れている状況から、全面的に廃止することは不適当」と考えられているのだ
とか。

 住基ネットでのプライバシー保護を問題にするのなら、まず、こんなとこ
ろから考えるべきなのかなあ、と思いました。

 ご意見、ご質問はvheart@rosetta.jpまでお願いします。

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  「ヴィーナスはぁと」参加議員一覧
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆
「ヴィーナスはぁと」に参加してくださったのは、次の次の15名(敬称略)の
方々です。

 ◇衆議院
  川田悦子 (無所属・東京)  瀬古由起子(共産党・東海)
  武山百合子(自由党・北関東)  水島広子 (民主党・栃木)
  山内惠子 (社民党・北海道)  山口わか子(社民党・北陸信越)

 ◇参議院
  有村治子 (自民党・比例)  井上美代 (共産党・東京)
  岡崎トミ子(民主党・宮城)  小宮山洋子(民主党・比例)
  千葉景子 (民主党・神奈川)  八田ひろ子(共産党・愛知)
  広中和歌子(民主党・千葉)  福島瑞穂 (社民党・比例)
  吉川春子 (共産党・比例)

※松島みどり議員は、多忙のため、しばらくお休みすることになりました。

詳しいプロフィールを知りたい方、顔写真を見たい方は、ロゼッタストーン
WEBページで公開しています。⇒ http://www.rosetta.jp/
各議員のWebページにもリンクしています。

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( http://www.rosetta.jp/ )
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■次号予告
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 次回は、井上美代議員(共産党)、山口わか子議員(社民党)、岡崎トミ子議員
(民主党)が登場します。

 ※登場する議員の顔ぶれは、変更する場合もあります。ご了承ください。

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発行人・編集人:弘中百合子
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