2002年10月24日発行(毎週木曜日配信)
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女性国会議員メルマガ『ヴィーナスはぁと』第49号
*** *** 秋の臨時国会が始まりました。ヴィーナス議員としては
*****v***** 千葉景子議員が、参議院本会議で、民主党を代表して
********* 総理所信に対する質疑を行いました。来週あたり、その
******* 報告が聞けるのではないかと楽しみです。
*** 今回は、吉川議員から「従軍慰安婦問題」、有村議員から
* 北朝鮮との交渉」についての原稿が届きました。
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目次
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■ 「オランダの“慰安婦”をたずねて」
吉川春子(参議院議員・共産党・比例)
■ 「したたかな外交現場で問われる日本の交渉力」
有村治子(参議院議員・自民党・比例)
■ 編集後記
■ 「ヴィーナスはぁと」参加議員一覧
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●「男と女」どこまで近づけるのか?
松島みどり議員、小宮山洋子議員、八田ひろ子議員、福島瑞穂議員が
登場!
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「オランダの“慰安婦”をたずねて」
吉川春子(参議院議員・日本共産党・比例)
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●はるかな国から問う日本の戦争責任
私は参議院憲法調査会ヨーロッパ調査の後、一行と別れてパリから国際列
車でオランダのハーグに向かい、日本の戦争責任を追及している「対日道義
請求財団」を訪ねました。
第二次大戦で日本がインドネシアを占領した当時、オランダが植民地支配
していました。日本はオランダ人を収容所に入れ、映画「戦場にかける橋」
で有名な泰緬鉄道や日本の炭鉱で強制労働をさせ、多くの犠牲者が出ました。
「慰安婦」とされた女性は2〜300人に上ります。日本政府に対して元兵士や
「慰安婦」が提訴し最高裁に係属中です。
コーヒーとインドネシアのケーキで私を歓迎してくれたデェユーベンボデ
副会長は「日本軍による様々な行為も『慰安婦』もジュネーブ条約に違反す
る。戦犯国際女性法廷でも有罪判決が出ているのに日本は従わない」「日本
の裁判所では日本軍の虐待を認めながら損害賠償を否定しているが不当だ。
吉田・スティッカー書簡では個人請求権を認めている。日本軍人が犯した犯
罪は天皇に責任がある」と。
調整担当のラーマン氏は「ドイツは、ワイゼッカー大統領が過去の過ちを
認めた。ブラント首相もナチの行為について国民に謝り、ロッテルダムの教
会で謝った。日本政府の対応は全然違う。日本は過去に目をふさがないでほ
しい」といわれました。
●被害者を分断した「アジア女性基金」
日本政府が発足させた「アジア女性基金」の金を受け取るか否かで元「慰
安婦」も運動団体も2つに割れました。「慰安婦」担当のデ・パイジャーさん
は「『対日道義請求財団』では、『アジア女性基金』を最初から拒否した。
慈善であるから。天皇の名で『慰安婦』にさせたのだから、政府の名で補償
してほしい。オランダ政府はサンフランシスコ条約、吉田書簡に署名したの
で関与できない。事業実施委員会の名で96年9月、関係者は名乗り出よと
広告した。しかし『慰安婦』の中には拒否している人も相当数いる。何も言
わないで死んでいった人もいる」と。
私はオランダで78人の『慰安婦』がアジア女性基金のお金を受けとる事業
を担当したハマーさんとも会いました。彼女は「対日道義請求財団」の一員
でした。野党三法案に賛意を表明し私たちの努力に熱い言葉でお礼を述べ、
そして「『慰安婦』の孤児の行方を捜すまで仕事は終わりません」と言いま
した。
政府はこの夏「アジア女性基金」事業を終了させました。韓国・台湾では
ほとんどの被害者が拒否し、被害者や運動団体でも対立が生じました。オラ
ンダ政府は、法的には解決済みだが感情問題が残るといいました。日本への
厳しい感情をそのままでオランダ国民との友好が築けないことは明らかです。
●日本人は歓迎されないモニュメント
9月18日、日本軍の強制労働や捕虜虐待の犠牲者をしのぶヒットインデ
ヒ・モニュメントを訪れました。木々に囲まれた広々としたグリーンの一角
に、痩せ衰え苦しみにゆがんだ人々の大きな銅像があり、たくさんの花が供
えられています。かつてここを訪れた海部総理の捧げた花束は池に投げ込ま
れました。
「日本人は近づけない場所」との通訳の説明に緊張が走ります。離れた所
の碑の除幕式に100人ほどの人が集っていました。「あの日本人は自分達が招
待した、と説明したら皆分かってくれた。心配いりません」とラーマンさん。
足下の花を少し寄せて、カサブランカとバラの花輪を置く場所をつくってく
れました。
マスコミの取材を受け、私が献花する大きなカラー写真と記事が載った地
元新聞が後日郵送されてきました。「何故日本人を来させたのか」と抗議の
電話が入り、ラーマン氏が説明して納得した、とのこと。
●秋の臨時国会への決意
昨年8月、国連・経済社会文化委員会が日本政府に「慰安婦」問題につい
て、「『アジア女性基金』は問題は解決していない。被害者の納得いく方法
を、時機を失しないように取る事」を勧告しています。ILO専門家会議も、
「『慰安婦』は日本が1930年に批准している[LIO強制労働条約]に違反す
る」と賠償責任を認定しています。
日本政府がいくら「解決済み」と主張しても、被害者も国際機関も納得し
ていません。国際社会は日本に21世紀にふさわしい対応を求めているので
す。「『慰安婦』問題解決促進法案」は再び臨時国会で審議されます。オラ
ンダで「法案が発効するまでにどれくらいかかるか。関係者が高齢者である
ことを念頭に入れてほしい」といわれました。被害者の参考人質問など審議
を行い可決することが国会の責任です。
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「したたかな外交現場で問われる日本の交渉力」
有村治子(参議院議員・自民党・比例)
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●外交とは、利害関係が異なる外国人同士の、一見紳士・淑女的に見えるし
たたかな駆け引き
参議院で議席を与えていただいてからのこの1年間、外国の政府要人の方々
とご一緒する機会が、多々ありました。先方VIPから「有村治子のご指名」が
あって同席しているわけでは(残念ながら全く)なく、友好議員連盟に参加す
る議員の一人として、通訳が無くても一定の「サバイバル」コミュニケーショ
ンができる若手の議員として、末席にいることばかりです。今の段階での私
の最大の関心事は、各国を代表する彼らがどう外交を進めていくのか、その
アプローチの仕方やノウハウを、少しでも体の感覚で学び取っていくことで
す。
先日マレーシアからナジブ国防大臣が来日され、懇談会にご一緒したとき
にも、イギリスに留学して高等教育を受けられた大臣は、流暢な英語で温厚
に語られましたが、発せられる言葉は、それはそれは戦略的に「したたか」
であることを痛感し、外交現場でのシビアな駆け引きを生き抜いてきた方の
強さを感じました。(この件にご関心をお持ちの方は、有村のホームページ
「はるこのときドキ!日記10月2日号」
http://www.arimura.tv/nikki200210.htm#20021002 をご参照下さい)
● 国民感情と国家戦略を明確に区分した日本の世論
小泉首相の訪朝についての歴史的な総括は、後の世論を待つことになると
思います。しかし現在の国内世論を見る限り、「死亡と伝えられた」拉致被
害者の数が多く、拉致は許せないと怒りが込み上げた国民感情がある一方で、
北朝鮮との国交正常化交渉を再開して、「アジアの安全のために北朝鮮を交
渉のテーブルにつける」という今回の国家戦略には、与野党共に一定の評価
がなされ、世論調査でも、小泉首相率いる内閣支持率が、目に見える形で回
復しました。国民の多くが、国民感情と国家戦略とを別々に、冷静に評価さ
れたということになります。
●反体制の世論が無い国との交渉には、それなりの術(すべ)が
その一方で、「ヴィーナスはぁと」に寄稿された議員の中にも、「もっと
ねばって日朝共同の平壌宣言をすべきだった」という指摘がありましたが、
この平壌宣言の内容は、「日朝が国交を持つかどうかの『交渉を再開する』
ことに合意」したのであって、国交を樹立することを合意したわけではあり
ません。
また、「小泉総理が平壌に宿泊して交渉にあたるべきだ」との声もありま
したが、基本的に金正日体制に異論を唱える世論がない先方の社会情勢や、
情報が漏れる可能性をかんがみ、北朝鮮が誇る「10万人のマスゲームによる
熱烈歓迎」などの儀礼的祭典を受けずに、交渉に専念した今回の判断は、妥
当だと思います。
ただ拉致情報が明るみに出てくる過程で、それを拉致被害者のご家族に報
告する際の配慮は、もっともっと気を遣うべきだったという反省は残ります。
● 二国間関係の背景にある、多国間の複雑な利害関係を認識すべき
連日の報道で、ともすると日朝関係ばかりに焦点があたる現状ですが、今
回の日朝トップ会談の実現も、また拉致問題の解決への第一歩についても、
日朝「2国間」の外交努力のみならず、アメリカが北朝鮮に対して強い姿勢で
迫り、ロシアのプーチン大統領が、日米との対話再開を直接金正日総書記に
働きかけるなど、多国間の協調による外交努力がなされてきた結果です。
北朝鮮には、ロシアや中国が強い影響力を持つ一方で、朝鮮半島の安定を
めざす日本・韓国・アメリカは連携して、1994年に北朝鮮から核開発停止合
意をとりつけた経緯があります。国際的な合意に背信し、北朝鮮が秘密裏に
核開発を進めてきたことが判明した現在、アメリカでは、従来敵対視してき
たイラクと共に、北朝鮮に対しても強い脅威論が出はじめています。
経済支援や安全保障について、各国の複雑な思惑がからむ国際情勢を考え
ると、拉致問題の真相解明と、核開発現場への無条件の査察を受け入れる姿
勢があるかどうか…など、今後の国交正常化交渉の展開も、日朝の「2国間」
ではなく、「多国間協調」による複眼的な外交展開が考えられます。
日本との国交を早く成立させ(て経済援助を得)たい北朝鮮の思惑がある
一方、日本は、北朝鮮がからむ重要懸案を全て交渉のテーブルに上げさせる
ことに全力を注ぎ、「必要であれば正常化交渉の中断もやむなし」という強
い姿勢で、日本の立場を貫くべきだと考えます。
●北朝鮮を国際的に孤立させないという戦略
この夏私は、鹿児島県奄美大島沖に行き、不審船引き上げ現場を見てきま
した。今回北朝鮮の工作船と断定された、武装船に装備された武器は、地対
空ミサイルやロケット砲・対空機関銃など、飛行機を打ち落としたり戦車に
対して攻撃を行うほどの重火器です。精鋭化された北朝鮮の特殊部隊は、こ
れほどまでの異様な重装備を「一体何に使う予定だったのだろう」と、警戒
感を強めました。
北朝鮮が国際社会の脅威にならないように核開発の即時凍結など、外交的
なプレッシャーをかける一方で、北朝鮮に住む大多数の人々が飢餓の心配か
ら解き放たれるように外交努力を進めることは、人道的見地のみならず、北
東アジアの安定を勝ち取っていくためにも、重要な意味を持つでしょう。も
し北朝鮮周辺で大量の「避難民」や「脱北者」が発生したら、北朝鮮の対岸
に位置する日本にとっても、深刻な事態になるからです。
● 拉致で十分に苦しんだ被害者の方々を、日本社会が温かく迎えられるように
先日、拉致被害者5名が日本に帰国され、彼らの表情が日に日に柔和になっ
ていく中で、「死亡したと報道され」、愛する家族の安否さえ正確に判明し
ていない状況にあっても、いたたまれない寂しさをこらえて、にこやかに他
の家族の帰国を歓迎されていた横田さんご夫妻等のひたむきな姿勢を目にし
て、私自身も胸が締め付けられるような気持ちです。
近い将来において、子どもも含めた拉致被害者の永住帰国がいよいよ現実
味を帯びてきた今、四半世紀のギャップを超え、被害者やご家族の方々のプ
ライバシーを尊重しながら、日本の暮らしに再適応される環境を日本社会と
してどう整えられるか、私達の人間性が試される、大事な課題だと考えてい
ます。
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編集後記 ロゼッタストーン・弘中百合子
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吉川議員、有村議員の「Wハルコ」の原稿はいかがでしたか?
昨日、福島県の読者が、ノルウェー労働党が作成した「Women can do it!」
というテキストのコピーを送ってくれました。
内容は、「女性政治家研修プログラム」なのですが、ファッション誌のよ
うなおしゃれな写真が使われているのに驚きました。内容もなかなか面白そ
うなので、誰か日本語訳して、出版してくれないかしらと眺めています。
女性議員がもっと増えるためには、「女性政治家はカッコイイ」というイ
メージづくりも必要なのかな……という気もしました。
ご意見、ご質問は
vheart@rosetta.jpまでお願いします。
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「ヴィーナスはぁと」参加議員一覧
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「ヴィーナスはぁと」に参加してくださったのは、次の次の16名(敬称略)の
方々です。
◇衆議院
川田悦子 (無所属・東京) 瀬古由起子(共産党・東海)
武山百合子(自由党・北関東) 松島みどり(自民党・東京)
水島広子 (民主党・栃木) 山内惠子 (社民党・北海道)
山口わか子(社民党・北陸信越)
◇参議院
有村治子 (自民党・比例) 井上美代 (共産党・東京)
岡崎トミ子(民主党・宮城) 小宮山洋子(民主党・比例)
千葉景子 (民主党・神奈川) 八田ひろ子(共産党・愛知)
広中和歌子(民主党・千葉) 福島瑞穂 (社民党・比例)
吉川春子 (共産党・比例)
詳しいプロフィールを知りたい方、顔写真を見たい方は、ロゼッタストーン
WEBページで公開しています。⇒ http://www.rosetta.jp/
各議員のWebページにもリンクしています。
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■次号予告
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次回は、千葉景子議員、広中和歌子議員が登場。
また、読者の意見も紹介します。
※登場する議員の顔ぶれは、変更する場合もあります。ご了承ください。
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発行人・編集人:弘中百合子
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