2002年3月21日発行(毎週木曜日配信)
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女性国会議員メルマガ『ヴィーナスはぁと』 第18号
*** *** さてさて、お待たせいたしました。
*****v***** 気になる方が多いと思いますが、今回は「景気対策」
*********** がテーマです。自民党の松島みどり議員と、民主党の
********* 岡崎トミ子議員が、それぞれの景気対策案を披露して
******* くれました。
*** 「3月危機」はどうやら乗り越えられそうですが、なか
* なか出口が見えてこない、この不景気トンネル。果たして
打つ手はあるのでしょうか。
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目次
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■ 経済の活性化についての意見
松島みどり(衆議院議員・自民党)
■「景気回復」に必要な公共事業とは?
岡崎トミ子(参議院議員・民主党)
■「ヴィーナスはぁと」参加議員一覧
■編集後記
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質問1:「経済の活性化」について、御意見を聞かせてください。
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【読者の意見】
お金を使う政策も必要ですが、お金を生み出す政策、つまり経済の活性化
については、皆さんは、どう考えているのでしょうか。
物作りが給与の安い中国へ出ていき、日本の労働市場は空洞化しつつあり
ます。
物価が安いことは、喜ばしいことですが、結局雇用の機会が奪われ自分の
首を自分で絞めているような結果にならないか。
かっての日本の技術力も色あせつつあることから科学振興、教育など息の
長い取り組みも必要かと思いますが。
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「裕福な高齢者が子や孫へお金をあげられる仕組みを」
松島みどり(衆議院議員・自民党・東京)
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【生前贈与の無税枠を増やす】
不況で大変ななか、日本国民の金融資産は1400兆円にのぼります。国
民におカネを使ってもらうこと、これこそ経済の活性化につながります。そ
して、金融資産の多くは高齢者が持っています。
もちろん、「ひょっとしたら何年も病床につくかもしれない。カネがなけ
ればちゃんとした老人ホームにも入れない。それどころか、年金だけでは食
べていけない」というふうに老後の心配があるから、大事に預貯金している
というケースも多いでしょうが、お金はあるけれど特に買いたいものがない、
というお年よりも大勢います。
この人達におカネを使ってもらう方法として、私は、生前贈与を相続の一
部と考えて、同じ税制を適用することを提案しています。これは、現在、政
府税調でもテーマのひとつになっているようです。
今の日本では、人が亡くなった場合、いろんな控除の制度により、亡くなっ
た100人に5人の割合でしか相続税が発生しません。しかし、生前贈与の
場合、贈与税がかからないですむのは1年に110万円の贈与までと非常に
限定的です。これも、平成13年の税制改正でやっと60万円から110万
円に引き上げられました。
また、このときの改正で、子どもや孫が住宅を買ったり、改築をしたりす
るために贈与する場合に限り、550万円まで無税で生前贈与できるように
なりました。ただし、もらう方が年収1200万円までといった制約があり
ます。
いずれも、平成12年末の自民党税調で結論を出したのですが、私はこの
とき、「住宅に関する生前贈与はせめて1000万円、できれば2000万
円まで無税にすべきだ」と主張しました。
というのは、私は当選前に、地元の墨田区の70代の男性から「お金を持っ
ていても買いたいものがない。40代の子どもは、教育費も大変でなかなか
家を買う決心がつかない。私は子どもに家を買うためにおカネをあげたいが、
税金をいっぱい取られるのではいやだ」と言われ、なるほど、と考えついた
政策でした。
周りの何人かの高齢者に話してみると、同じような希望を持つひとが多い
のに気づき、当選前から主張し始めたのです。
住宅を買えば、それにともない、テレビや冷蔵庫、家具、カーテンなどを
買い替えます。今の日本の不況の原因のひとつは「買いたいものがない」と
いうことですから、こういった需要を喚起するためには、住宅投資が増える
ことが何よりなのです。
これに対し、財務省を初め、金持ち優遇でいけないという批判があります。
私も親からの相続など期待できない、自分の力で今日の自分を築いてきた人
間ですから、「親のカネでのうのうといい暮らしをする」ということに反発
がないわけではありません。しかし、どうせ、相続税はなかなか、かからな
いのですから、その前倒しと考えれば理屈は合います。
したがって、生前贈与を相続の一部として、最後に親が亡くなったとき、
すでに相続した分として控除の対象額に組み入れるようにする制度を早急に
作ること。それでも、高齢者の預金が若年層に移動するだけだという心配が
あるなら、親からもらったおカネで何かモノを買ったり、旅行や教育費に使っ
たりしたという領収書を添付した場合に限り、その分だけ、贈与税がかから
ないようにするという方法もあります。
とにかく、高齢者がカネを使わないなら、子や孫に渡して使ってもらう、
ということです。
また、それが時間がかかるようなら、まず、住宅を買う場合の生前贈与を
3000万円くらいまで無税で、かつ、受け取る子どもの収入制限を設けな
いこと。これが私の景気対策です。
国が税金をいっぱい集めて、無駄な道路やハコものなど公共事業を維持す
るのではなく、有効なところで税金を安くして、国民に自分の意思で使って
もらうことが大事だと私は考えます。
【中国経済との関係】
製造業、農業を初め、日本経済の停滞の原因の多くは中国から安い商品が
流れ込んでいるためです。もちろん、中国は農村から若い人たちが安い労働
力としていくらでも沿海地方の工業都市に出てきて、数年たって給料を引き
上げるかわりにクビにして、また新しい人を雇うわけだから、これまで日本
を追い上げてきた韓国や台湾と違って、賃金水準は上がらず、日本との賃金
格差は縮まらない。
しかし、それに加えて問題なのは、円と中国・元の為替の問題です。
中国・元は米国ドルにリンクしているので、日本経済に対して中国経済がい
くら強くなっても、円高ドル安になれば、同時に、円高元安となり、中国の
対日輸出力は強まるのです。これは、中国の通貨当局が毎日、介入して
元・ドル関係を一定に維持し続けているためです。
介入による通貨相場の維持が可能なのは、中国が資本の自由化を行ってい
ないためで、これだけ中国の経済力が強くなった以上、日本政府は中国に対
し、資本や貿易の自由化を求めていくべきだと思います。
また、中国への円借款は減額が決まりましたが、もう全面的にやめるべき
です。日本が中国に低金利でおカネを貸し、それによって、空港や港湾設備、
高速道路などのインフラが整備されれば、それによって中国の輸出力は一層
強まり、日本の産業への打撃が大きくなるわけですから。中国を国全体でと
らえると、一人当たりGNPはまだ低く、それでODAの対象国となってい
るわけですが、上海を初めとする沿岸地方の経済力は十分強くなり、日本の
最大の脅威になっているのですから。
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質問2:「景気回復」のために必要な公共事業もあるのでは?
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【読者の意見】
ムネオ疑惑もいいですが、この不景気はいったいいつまで続くのでしょう。
真っ先に取り組むべきは、景気対策なのではありませんか?
無駄な公共事業はひかえるべきですが、いま必要な公共事業というのも、
あるのでは?
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「健康とか環境という“新しい豊かさ”に予算をシフト」
岡崎トミ子(参議院議員・民主党・宮城)
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長引き、深刻化する不況が私たちの暮らしを押さえつけています。厳しい
現状を、どうやって明るい将来につなげていくかが見えないことが、消費
を一層冷え込ませ、市民の不安を高めています。
こういう今だからこそ、局面を開き、生活の不安を小さくするために大切
な税金を、賢く使わなくてはなりません。自分と、自分の仲間のことしか
考えずに税金の使い道をゆがめてきた鈴木宗男衆議院議員に対して大きな
怒りが集まっているのは当然のことです。
「景気対策が最重要の今、なぜ国会は鈴木宗男疑惑一色なのか」と尋ねられ
ましたが、私はむしろ、政と官の癒着構造を徹底的にあらためることこそ、
今不可欠の景気対策のひとつだと思っています。そうした癒着構造から解き
放つことが硬直化した予算編成をあらため、本当に必要な分野に効率的にお
金を投入することを可能にします。
「無駄な公共事業は控えるべきだが、必要な公共事業もあるのではないか」
という問いをいただきました。その通りです。さらに、今一番大切なのは「必
要な公共事業は何か」ということを超えて、「必要な公共事業とそうでない
公共事業を、だれが決めるか」ということです。
高度経済成長時代には税金と借金をつぎこんで、日本中どこででも同じ公
共事業をどんどん進めればよかったかもしれない。しかし今は多様な価値観
を反映しながら、地域の優先順位にしたがって限られた予算が最大の効果を
発揮するように事業を選択し、実施しなくてはなりません。
そのために徹底した地方分権とNPO活動の環境整備、情報公開で「オラほの
ことは、オラほで決める」しくみづくりを進めなくてはなりません。自分た
ちの将来のために必要なものを選んで、住民や地域の中小の業者が担い手に
なって実行するしくみに改める、少しセンセーショナルな言い方をすれば、
与党と霞ヶ関、利権が支配する大規模で自然破壊型の公共事業を改め、「地
域に密着したたくさんの小さな公共事業」が行なわれるように転換する、と
いうことです。
市民の視点で公共事業を行なえば、様々な可能性が広がります。例えば少
子高齢社会はネガティブにばかり語られますが、一番身体的にハンディのあ
るお年よりが暮らしやすい社会を創れば、だれにでも住みよい社会になるで
しょう。また、小さな公共事業はゼネコンの技術を必要としないので、地元
の利益・雇用に直結します。地元の企業で創造性を発揮することができると
なれば、やる気ある人材が地方の企業に帰ってくるでしょう。
一方、国家プロジェクトとして新しく行なわれるべき事業も少なくありま
せん。公共事業で破壊してしまった自然回復も大事業です。公共事業ではあ
りませんが、化学物質から健康を守る手法の研究や施策の実行をまじめにや
ろうと思えばいくらでもお金はかかりますし、人手も必要です。
健康とか環境という「新しい豊かさ」を実現するために予算をシフトする
ことで新しい需要が喚起され、経済の活性化にもつながります。お金を増や
すことの自己目的化をやめて、21世紀にふさわしい社会がめざす目標の実現
に大胆にお金の使い道をシフトすることが現実的で、一番効果のある景気対
策になると信じます。ご意見、お待ちしています。
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「ヴィーナスはぁと」参加議員一覧
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「ヴィーナスはぁと」に参加してくださったのは、次の17名の方々です。
詳しいプロフィールを知りたい方、顔写真を見たい方は、ロゼッタストーン
ホームページで公開しています。⇒ http://www.rosetta.jp/
◇衆議院
川田悦子 (無所属・東京) 瀬古由起子(共産党・東海)
武山百合子(自由党・北関東) 中林よし子(共産党・中国)
松島みどり(自民党・東京) 水島広子 (民主党・栃木)
山内惠子 (社民党・北海道) 山口わか子(社民党・北陸信越)
◇参議院
有村治子 (自民党・比例) 井上美代 (共産党・東京)
岡崎トミ子(民主党・宮城) 小宮山洋子(民主党・比例)
千葉景子 (民主党・神奈川) 八田ひろ子(共産党・愛知)
広中和歌子(民主党・千葉) 福島瑞穂 (社民党・比例)
吉川春子 (共産党・比例)
計17名(敬称略)
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編集後記
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臨時増刊号を発行したと思えば、次の号は回答者ひとりだけ…。いつも同
じくらいの量で、バランスのとれたメルマガをお届けしたいのですが、どう
も判断が甘くて申し訳ございません。
ロゼッタストーン本誌では、「アマチュア編集長」という小学生から熟年
までが同じテーマで各2ページを編集する企画があるのですが、それを見る
限りでは、最近の子どもたちはとても優秀です。
読者の意見にもありましたが、お手本となるべき大人がだらしないのが子
どもたちの不幸かもしれません。「あんな大人になりたい」と思われる人間
にならなければ、と我が身を反省したりします。
「ヴィーナスはぁと」へのご意見、ご質問は、私が責任を持って、ヴィーナ
ス議員の方に届けています。自分の書いた文章への反応は、誰でも気になる
ものです。個別の議員へのお便りもどんどんお寄せください。
(ロゼッタストーン・弘中百合子)
ご意見、ご質問は
vheart@rosetta.jpまでお願いします。
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■次号予告
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お待たせしました。次回のテーマは「景気対策・失業対策」です。ご意見、
ご質問、お待ちしております。
◆松島みどり(自民党)
◆岡崎トミ子(民主党)
ほか
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女性国会議員メルマガ『ヴィーナスはぁと』
編集長:ロゼッタストーン 弘中百合子
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