2002年3月14日発行(毎週木曜日配信)
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女性国会議員メルマガ『ヴィーナスはぁと』 第17号
*** *** ムネオ議員の疑惑発覚で、国民の視線がいま
*****v***** 永田町に熱くそそがれています。そのなりゆき
*********** は、今後もじっと見守ることにして、「ヴィーナス
********* はぁと」では、より身近な話題を取り上げていきた
******* いと思います。今週も、ひきつづき「教育問題」。
*** 先週の予告どおり、有村議員が質問に回答してくれ
* ました。今週は回答者がおひとりだけと、ちょっと寂し
いので、読者からの意見も紹介してみました。
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目次
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■「教育に関する質問にお答えします」
有村治子(参議院議員・自民党)
■読者からの御意見
■「ヴィーナスはぁと」参加議員一覧
■編集後記
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「教育に関する質問にお答えします」
有村治子 (参議院議員・自民党・比例)
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ワールドカップ共催国である日韓の若手議員の有志が、「両国が『近くて
遠い国』ではなく、心理的にも『近い国』になるよう努めていこう!」と呼
びかけ、先月私達日本側の有志9名が、手弁当でソウルに行き、韓国の国会で
日韓共同会見をしました。
そして現在、韓国からハンナラ党(野党第一党)の李総裁(韓国の大統領有力
候補)など、複数の国会議員が、訪日されています。急でしたが今晩、居酒屋
での歓迎食事会に参加することになり、今、帰宅しました。
日韓の若手が、外務省や通訳など公式なルートに依存せず、自発的に時間
とお金を割いて相互主張、相互理解に努めます。日本語・韓国語・英語を交
えて、互いに両国の夢や懸案を率直に語り、長期的な信頼関係を築くための
「予防外交」の機会は、努めて大事にしたいと改めて感じ帰ってきました。
さて、本題の教育問題パート2です。先週の私のコメントに対し、複数のお
便りをいただきました。改めて、「ヴィーナスはぁと」読者の皆さんの
意識・関心の高さを実感し、感謝しています。
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質問1:日本の学生の学力は本当に低下しているのでしょうか?
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このような問いに対してこそ、感覚的なコメントに頼らず、ある程度客観
的なデータをもとに、信憑性のある議論を進めていったほうが良いと思いま
す。まず最初に、最近の調査結果を、3点報告します。
1) 国際数学・理科教育調査(1999年)では、「数学や理科が好き」「将来
数学や理科に関する職業に就きたい」と思う人の割合が、国際的に見て少な
いという結果が出ています。〔国際教育到達度評価学会「IEA」調査〕
2) OECDによる32ヶ国の生徒の学習到達度調査(2000年)では、「宿題や自
分の勉強をする時間」の項目で、参加国中、日本のランキングが最低でした。
3) 文部省(当時)による、学校教育に関する意識調査(1998年)では、子ど
もたちの学年が上がるにつれ、授業の理解度や、満足度が低下するという傾
向が顕著になっています。
日本の学生は、やはり学習に対して受け身で、指示があれば忠実に「こな
す」けれども、主体的な調査や考えを主張することには、不慣れだという傾
向が見られます。
国会議員として議席を与えていただく前に、大学や企業で教え、また自ら
も社会人大学院生として学んでいた経験を交えて自戒を込めての思いです。
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質問2:不登校児への対策をお聞かせください。
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不登校児の立ち直りを助けるためには、学校復帰への努力をしている
児童・生徒を応援する観点から、一定の条件を満たす場合は、出席扱いを認
める対応を、平成4年から実施しています。
不登校児については、なぜ登校しない(できない)のか、その原因が、単
なるわがままなのか、周囲のいじめや授業についていけないのか・・・など、
その背景をしっかりと把握して、状況に応じた連携・協力態勢を築くよう促
すことが鍵だと考えます。
この際にも、やはり学校でみんなとともに学ぶというのが基本ですから、
「ではどうしたら、安心して、安全に学校に戻れるか」という視点を、大前
提として貫くべきだと考えます。
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質問3:いわゆる「お受験戦争」をどう思いますか?
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受験準備については、基本的に本人とご両親(または保護者)がその方針
を主体的に決められればよいことですが、「お受験戦争」については、名称
そのものも、なんだか物悲しい虚しい響きを持っています。
「入学試験に合格する」ことだけを勉強のゴールとし、これに照準を合わせ
て受験テクニックを駆使していると、時間がかかって創造的な解決が必要な
問題には、取り組まずに先に進んでいく「試験攻略」のハウツーを、(残念な
がら)身に付けていくことになります。
その結果として、効率良く点数が稼げる小手先のテクニックが活かせる人
がサバイバルレースに勝っていき、その結果、国家としては自ら考えること
を放棄することに慣れ親しんだ「一見要領の良い人」を増産させ、かつてな
かった問題には、考える手立てを持たないマニュアル型の人間を大量生産す
ることにもなりかねません。
受験準備のために勉強した内容が、その後の学びに生かされるかどうか、
その学びが、本人の人生を豊かにするかどうかという観点から考えると、試
験内容そのものも、さらに精査されるべきものでしょう。創造的な問題解決
姿勢を奨励し続けるような教育を、しっかりと後押しするような態勢を整え
ていくことが、今後ますます必要になると感じています。
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質問4:先生の質を向上させてほしいです。また、先生にふさわしく
ない人を辞めさせる制度をつくってください。
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懲戒免職された教師が、場合によっては他の学校で教えることができた今
までの制度を改め、懲戒免職の処分をうけた教師の免許状を失効させる、教
育職員免許法の改正案が、この国会会期中に、審議される予定です。
この改正案は、懲戒免職とすべき、教師としてあるまじきことをした教員
の免許状を必ず失効させるものですが、それでもこれは「教育のプロフェッ
ショナルとしての最低限の倫理観」を持たない人を、退場させることを明記
したものにすぎません。
「問題のある」先生について、「退出規定」を設けるだけではなく、真面目
に努力し、教育の質向上にめざましい貢献をする先生には、しっかりとこれ
に報いる適切なインセンティブを設定していくことも、必要だと考えています。
教育・研究熱心な先生と、「問題のある」先生とが、同じ処遇であるとい
うのは、熱心な先生の意欲をそぎ落とすことにもなりかねません。この点に
関する提案としては、中谷巌氏が説得力のある論文を発表されています。
教育の質を監査する機関を設け、全国の小・中・高の教育設備や授業内容、
生徒の満足度を調査し、その結果を例えばインターネットなどを通じて、国
民に対して公表するという氏のご意見(日本経済新聞、2001年1月23日、
p.29)は、今後、私が教育に関する議員活動を進めていく上で参考にしたい
と考えています。
今回は文章が、ちょっぴり硬くなってしまいましたが、私たちにとっても、
関心の高い教育問題だからこそ、言葉を選んで正確な表現にこだわったつも
りでいます。今後も、意識の高い「ヴィーナスはぁと」の皆様と、ご一緒に
考えていきましょう!
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読者からの御意見いろいろ
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●教育実習に異議あり!
教育実習について私見を申し上げます。
私が勤務している学科からも毎年教員が誕生していますが、ほとんどが、す
ぐに担任を任されます。企業に就職したものは、数ヶ月〜1年の研修を受け
最初は比較的責任の軽い、業務を任され、次第に重い業務に就いていきます。
教員の場合は、その研修が教育実習という大学での授業として行われます。
前回の法改正で教育実習期間が拡大され、その他に介護実習が義務付けられ
ました。
教育実習は、実際に教員になることを志望していない、教員免許を取得した
いだけの学生も受けます。しかもこのような学生のほうが大勢います。実習
を行う中学や高校は、教員志望でない学生が大勢混じった実習にどれだけ熱
意を持って対処しているのでしょうか。実習期間が拡大されたのを機に実習
を受け入れない学校が増えましたが、無理もないことと思います。
一方、大学の4年次前半の内容が最も充実した講義の間を3分の1欠席する
ことになりますから、‘教員になる学生は最も良い講義をまともに履修でき
ない’ことになります。
[提案]教育実習、介護実習は大学でやるのではなく、教員1年目に(その
他の研修と共に)やるように法改正することを望みます。
(私立大学教授,57才)
●公立高校には、子どもの教育がまかせられない!
中2、小3の男児が居ます。今まで親が公立高校出身の為、公立主義でした。
でも2人の子供は、割合、勉強が好きなので、今は結局、私立に行くように
考えています。
確かに落ちこぼれを無くすのには今回の改革は良いかもしれませんが、私立
に較べて、数学・英語・国語が半分の時間しか取ってくれない公立の中学、
高校に「科学者になりたい」といっている子を行かせる勇気はありません。
公立では、高い教育が受けられないという事です。
小学校は今までより、朝早く出て行き、4時間で帰る日は無くなり、それで
も今までより20時間以上授業は減ります。新指導要綱の各教科の内容を細
かく見て、大変ガッカリしました。これでは、本当に公立から逃げたいです。
同級生の多くが、急に進学塾に行き始めました。次男小3もこの3月から、
私立受験の為の塾通いです。収入が減っているって言うのに、益々、塾の授
業料、受かれば私立の授業料を払わなければなりません。子供も時間的にも
忙しくなり、親も経済的な負担が増え、どこが、ゆとりなんでしょうか!!!
●小児科医とその家族を助けてください
名古屋に住んでいます。今は2歳の子の子育てとフリーアナウンサーとして
週何日かは仕事をしているという毎日です。今回は主人のことでメールしま
した。
主人は小児科医です。御存じかと思いますがその勤務は過酷です。先日研修
医の過労死が認められたと新聞に載ってました。月300時間労働があった
と。
主人は朝7時30分に家を出て、帰りはいつも次の日の1時2時、帰れない
日もあります。ほとんど寝ていない日もあります。月300時間労働なんて
もんではありません。なぜこんなことが認められているんですか? 医療ミ
スを起こすなというほうが無理でしょう。
休みにも呼ばれます。主治医制の日本では見ている子になんかあれば担当医
が呼ばれます。ただ、主人の休みは私の休みでもあるのです。代休なんてあ
りません。夫の子育て参加が声高に叫ばれていますが、夫がいないのです。
参加しようにも参加できないのです。欧米の小児制度は大きく違っています。
日本の医者、特に勤務医はあまりに過酷です。
そしてその後ろには家族がいるのです。どうか助けて下さい。なにか制度が
変わらなければ、医療ミスばかりでなく、過労死も増えていきます。今の世
の中で仕事が忙しいのは幸せなことなどと思わないで下さい。なぜ、医者は
労働法に守られないんですか? 助けて下さい。私もつらいです。
●教育を語る前に、大人の生き方を考えよう
教育を語る前に、私たち大人がきちんと子供たちの目標となるような生き方
をしているでしょうか。モラルハザードをおこして、平気で嘘をつく、責任
逃れをする、お金のためならモラルは平気で捨てる、今がよければ十年後、
二十年後、百年後のこの国の姿、在りようなどおかまいなしの政治、役人。
そんな大人の姿を見ながら、何を学べというのでしょうか。どんな理想の言
葉も空しく聞こえることでしょう。
まずはきちんと、子供と向き合って子育てをする。家庭でやるべきしつけを
する。我が子といえど、社会に向き合える子育てをするのは大人の責任でしょ
う。それぞれの大人が大人としての自覚と、責任、社会人としてのモラルを
もった行動、それが最初だと思う。
子供のためと言いながら、自己満足の教育、自然をこれほどまでに子供から
遠ざけた社会環境効率重視の、弱者切捨てを平気で押し通す社会、私たち大
人が夢を持てない社会、大人が楽しそうに暮らしているでしょうか? 私た
ちが変わらなくては子供の教育も出来そうにはありません。
●名古屋の保育時間を聞いてびっくり!
福岡市の公立保育所に勤務している保育士です。先日の名古屋の話を聞いて
びっくりしています。福岡市は正規の保育時間は7時から18時(11時間)で
す。
ただし、職員の勤務時間は平日8時間半で、19時までの延長保育も含めて、
開所時間中ローテーションで保育しています。したがって保護者の就労は一
般的な勤務の場合はなんとか保障できるでしょう。国の定めている保育時間
も現在はそうなっていると思います。
ただし、これは子どもにとってはかなりきびしいもの。早朝、夕方の保育は
(特に夕方はすごい)、最低基準が守られていません。結局人が足りていな
いんですよね。今、さかんに保育制度は論議されているようですが、ぜひ
「子どもの育つ環境」の視点から改革をすすめて欲しいと切に願ってやみま
せん。
●高齢者へのインフルエンザワクチンは有効
子供へのインフルエンザワクチン集団接種については、なんともいえません。
しかし、高年者には、非常に有効です。 私は、一冬大体4回は風邪(含む
インフルエンザ)をひいて10日くらいは、寝込んでいました。医院に8〜
10回くらい通い、風邪薬、解熱剤、のど炎症止め薬、胃薬、栄養剤なども
らって7〜8千円はらっていました。この20年ほどのお定まりでした。
ワクチン接種が良いと聞き、3年前から3000円でうけましたところ、3
年間一度も風邪をひきません!! まるで奇跡のようです。効き目があまり
ない方もいっらしゃいましょうが、そのような方は体質と考えていただき、
予防接種をうけなければよいとおもいます。
●数人の意見を日本中の意見と思わないで
いろいろな意見がきて大変だと思います。ひとつの制度を作れば、その制度
にあてはまるひとは黙っていますが、当てはまらない人は文句をいうもので
す。とくにお金がからむ問題は、言いだしたらキリがありません。
私は学校に勤めているから生徒の親とお金のことで話をしたり、先生を通じ
て話を聞いたりすることが多いのですが、多くの人は普通に生活しています。
収入が少なければ就学援助費を申請したり、児童手当を受けています。けれ
ど、ごくごく少数の人が「あれはおかしい」とか「あそこはこうなのにうち
はどうしてこんななのか?」と言い出すと「寝た子を覚ますように」みなが
言い出します。その意見は本当にさまざまで収集がつきません。しかし、こっ
ちが振り回されるほどに考えているわけでなく、言いたいことが言えた事で
すっきりして終わることもあります。
要点がわかりづらいかもしれませんが、このメルマガを通して一般人が言い
たいことを言えることはすばらしいことです。が、数人の意見が日本中の意
見と思わないで、よく見極めて議員活動をしてくださることを願います。
(大阪市・中学校事務)
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「ヴィーナスはぁと」参加議員一覧
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「ヴィーナスはぁと」に参加してくださったのは、次の17名の方々です。
詳しいプロフィールを知りたい方、顔写真を見たい方は、ロゼッタストーン
ホームページで公開しています。⇒ http://www.rosetta.jp/
◇衆議院
川田悦子 (無所属・東京) 瀬古由起子(共産党・東海)
武山百合子(自由党・北関東) 中林よし子(共産党・中国)
松島みどり(自民党・東京) 水島広子 (民主党・栃木)
山内惠子 (社民党・北海道) 山口わか子(社民党・北陸信越)
◇参議院
有村治子 (自民党・比例) 井上美代 (共産党・東京)
岡崎トミ子(民主党・宮城) 小宮山洋子(民主党・比例)
千葉景子 (民主党・神奈川) 八田ひろ子(共産党・愛知)
広中和歌子(民主党・千葉) 福島瑞穂 (社民党・比例)
吉川春子 (共産党・比例)
計17名(敬称略)
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編集後記
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臨時増刊号を発行したと思えば、次の号は回答者ひとりだけ…。いつも同
じくらいの量で、バランスのとれたメルマガをお届けしたいのですが、どう
も判断が甘くて申し訳ございません。
ロゼッタストーン本誌では、「アマチュア編集長」という小学生から熟年
までが同じテーマで各2ページを編集する企画があるのですが、それを見る
限りでは、最近の子どもたちはとても優秀です。
読者の意見にもありましたが、お手本となるべき大人がだらしないのが子
どもたちの不幸かもしれません。「あんな大人になりたい」と思われる人間
にならなければ、と我が身を反省したりします。
「ヴィーナスはぁと」へのご意見、ご質問は、私が責任を持って、ヴィーナ
ス議員の方に届けています。自分の書いた文章への反応は、誰でも気になる
ものです。個別の議員へのお便りもどんどんお寄せください。
(ロゼッタストーン・弘中百合子)
ご意見、ご質問は
vheart@rosetta.jpまでお願いします。
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■次号予告
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お待たせしました。次回のテーマは「景気対策・失業対策」です。ご意見、
ご質問、お待ちしております。
◆松島みどり(自民党)
◆岡崎トミ子(民主党)
ほか
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女性国会議員メルマガ『ヴィーナスはぁと』
編集長:ロゼッタストーン 弘中百合子
発行 :株式会社ロゼッタストーン
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