第15回 ダンボール箱の隙間
母からダンボール箱の荷物が届いた。中身は私の冬用の洋服。
家にはあまり収納スペースが無いので(って言うか荷物があると邪魔)、洋服は季節ごとに実家に送っている。
それで季節の変わり目にその時期の洋服が送られてくるのだが、ダンボール箱を開ける度に感心する。隙間が全く無いのだ。その難度たるや1000ピースジグソーぐらいには匹敵しそうだ。
普段はツナ缶と海苔が圧倒的に多いが、季節ごとにいろいろ趣向を凝らしているようで、今回はその他に、地元石川では冬の食卓に欠かせない「まつや」の「とり野菜みそ」(鍋用の味噌)が入っていた。
友達の話を聞いても結構同じようなことがあるらしく笑ってしまう。母親というものは、ダンボール箱に絶対隙間を作りたくない生き物らしい。
この儀式は、私が大学に入って一人暮らしを始めてから今に至るまでずっと続いている。儀式開始から四半世紀経ったが、母にとっての私は、あの頃と何も変わらない「娘」なのだとシミジミ感じる。
ダンボール箱の隙間に詰まった母の愛に感謝。
2005.11.25 掲載
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