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第4回 5月のブランコ


公園が好き。公園と言ってもブランコやすべり台やジャングルジムがある、あの公園。幸いにも小柄な私は、子供サイズのそれらの物でも十分利用できる。

その中でも特にブランコが好き。大きく漕いで空に近くなる時、ものすごく爽快感がある。
ブランコに揺られていると、子供の頃の事を思い出す。なんかせわしない子で、よくモノにぶつかったり転んだりして傷が絶えなかった。どこかしらに『赤チン』を塗っていたような気がする。
ん?でも・・・今もよくモノにぶつかるし、よく転ぶか(笑)。

皆が呆気にとられるのは、何もない平坦なところでもよく転ぶこと。
 以前、池尻のラ・ボエムの前で大転倒。転んだ拍子に持っていた大荷物が地面に叩きつけられ、その尋常ではない音に驚いてお店の人が飛び出してきた。そして「大丈夫ですか?中で休みますか?」と言いながら抱き起こしてくれた。「な、なんて親切な店員さんなんだ・・・」と思いながらも、皆がデートしているようなそんなオシャレな店内で、膝から血を流した姿でいたくないと思い、丁重にご遠慮申し上げた。
 そして数日後・・・血まみれだった私の膝小僧は無事かさぶたを付け、順調に回復していった。丁度その頃に会った友人が私を見て「ぷっ」っと吹き出したかと思ったら、「今の時代、膝小僧にかさぶたを付けている人なんていないよ。 子供でもなかなか見ない」とゲラゲラ笑い出した。
 「『かさぶた』は時代に関係があるのか?」そんな疑問を抱きながらも、なんとなく分の悪さを感じ取り、反論せずにそのまま話を流した。

そんな苦々しいことを思い出しながらも、5月の清々しい風と色鮮やかな緑に包まれ、なおもブランコを漕ぎ続ける。 次の瞬間、ふと横に視線をそらしたら・・・気づかないうちに、子供が2人も順番待ちをしていた。
 私は即座にブランコを止め、なんともバツが悪い状況の中「ごめんね〜」とわざとらしい微笑を浮かべながら退散した・・・そんな新緑の候。

イラスト

2005.5.25 掲載

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