|
皆さんこんにちは!今回から、「就職活動、職場などで恥ずかしくない、言葉遣いについて」の連載を書いていきます。よろしくお願いします。 この連載は、
こういった方たちに向けて、【日本語検定】1級取得者および、日本語検定公認講師で、中学・高校などで国語(日本語)を長く教えている私が、「この言い方は正しい?」、「その言葉遣いは合っている?」と悩んだ時のお助けとして、記事を書いていきたいと思います。 * * * * *
最初に、クイズを出します。正解できますか?日本語検定3級レベルの問題です。 【質問】 次の( )に当てはまる最もふさわしい言葉遣いを、番号で選んで答えてください。 いかがですか?正解は③でした。②を選んだ方もいませんか?でも、正解は③のみ、です。理由は本文で説明しますね。 日本語検定、初めてお聞きの方もいると思います。これは2007年に作られた、主に日本語を母語とする者に対する検定です。もちろん、外国籍の方が受けても構いません。小学生向けの7級から、社会人上級向けの1級まで存在します。 日本語の検定では、漢字能力検定【漢検】が有名です。学生の皆さんは、学校で受けた経験のある方も多いでしょう。漢検は全体の正解率が既定に達していれば良いのに対し、日本語検定は、次の【6つの領域+総合問題】として出題され、全ての領域で既定の正解率に達していないと認定を受けることができません(合格できません)。そして、基本的に各級とも、「認定」より10%程度低い正解率であれば、「準認定」とされます。この場合、「準○級認定」となります。「認定」、「準認定」とも、履歴書に書ける資格です。
いかがでしょうか。幅広く出題されますし、例えば「敬語はほとんど合っていたけれど、漢字を半分以上間違えた」など、どこかで大失敗したら不合格です。選択問題が基本ですが、漢字の書き取りも出題されます。公式問題集が市販されていますが、英検などと異なり、「その問題集だけ解いていれば受かる」ものではなく、日常生活で、広く、新聞記事や本などで使われる言葉や文章に接し、それらを理解することが求められます。他に似た検定がないため、学生にこの日本語検定の受検を勧める学校も最近増えつつあります。 入社試験などでも、「日本語検定の3級を取得していると、社会人としての言葉遣いの土台ができている」という認識が企業の方に広まりつつあります。なお、級の設定レベルは「3級=高校卒業程度・新人社会人」とされています。大学などで、日本語検定対策講座を開講するところも増えつつあります。公式サイトでは、過去の問題も(少しですが)解くことができます。 出題される内容に関して、「日本語だし、家で教えれば充分、わざわざ授業をしたり、連載などで取り上げるほどのこともない」とお考えの方もいるでしょう。 学校ではどうでしょうか。私は幸いにも、素直な良い教え子たちに恵まれて、皆、きちんとした言葉遣いで話をしてくれていると感じます。しかしこれも学校によって大きく異なり、中には、「先生に敬語を使わないのが、うちの学校の校風」というところもあるようです。語彙などに関する知識は、学校によって教える内容に大きな差があることは言うまでもありません。 もちろん、敬語を使って話さないからといって、その学校の生徒が先生のことを嫌っているとは思いません。敬愛しているからこその、親しみを込めた話し方なのでしょう。ただ、これは、「学校を卒業したとたん(在学中でも、アルバイト先などで)、正しい話し方を要求され、分からずに困る」ということにつながるのではないかと思います。 また、大人の皆さん、特に、地位がある方やフリーで活躍される方などの言葉遣いを聞いていて、驚くことがよくあります。地位が高い方や、フリーの立場だと研修などを受ける機会が少ないからでしょうか…。 この連載では、日本語検定の正解基準を参考にしつつ、「人前で困らない」日本語の言葉遣いについて書いていきます。 初回は、大人でも勘違いしている方もいる、「敬語の使い方」について書きます。 【質問】 敬語は誰が決めているのでしょうか? 正解は「文化庁が決めている」です。2007(平成19)年に、敬語についての新しい指針が定められました。 A4版で70ページにも渡りますし、一般の方が読み通すのは骨が折れると思います。 そもそも敬語は、何のために使うのでしょうか。一般的には、相手を敬いたい、丁寧に接したいなどの気持ちを表す言葉として使われるとされています。先ほど紹介した、文化庁「敬語の指針」では、「相互尊重」と記されます。 学生が正しく敬語を使えないというのは大した問題にはなりませんが、社会人が職場で、顧客や取引先に対して正しく使えないと、それは、「個人の恥」ではなく、「その個人の属する組織の恥」となります。「あの会社の新人の言葉遣いはめちゃくちゃ、なぜあんな人を採用したのか」ということになるのです。 これを別の角度から見れば、言葉遣いがきちんとしていると、社内や取引先、顧客からの自分への、また、所属する組織の評判が上がり、「自分の仕事に自信が持て、他の方からの信頼性も高まる」ことになります!たかが言葉遣い、と侮ってはいけませんね… 敬語は、現在は以下の5つに分類されます。
今回はこの中から、尊敬語について少し話をします。 (例)「校長先生が修学旅行に一緒に行く。」→「校長先生が修学旅行に一緒にいらっしゃる。」 ここでは、「行く」を尊敬語「いらっしゃる」に置き換え、校長先生の動作を敬っています。 ただ、どうでしょう。文字で書いた場合は勘違いが少ないのですが、「いかれる」と音だけ聞くと、「車がいかれた」などと、故障したりすることを想像してしまうこともあります。「校長先生が行かれる。」と音だけで聞くと、どきりとしてしまう方もいるでしょう(私もそのひとりです)。 このような、相手に誤解を招きかねない言葉遣いは、あまり良いものではありません。たとえば、次のような言葉は、「れる」「られる」ではなく、別の語で置き換えて使うと、誤解も招きません。 なお、「いらっしゃる」、「おっしゃる」、などは単独で尊敬語としての役割を持ちます。「おっしゃられる」などと大人でも使っている方がいますが、これは間違いですので、お気をつけください。(二重敬語と言い、不適切だとされています) この説明で、気づいた方もいると思います。最初に出した、クイズの答えです。もう一度、クイズを載せます。 【質問】 次の( )に当てはまる最もふさわしい言葉遣いを、番号で選んで答えてください。 解説をします。①は謙譲語です。(詳しくは別の回で書きます)②は二重敬語で、④は謙譲語+尊敬語で、どちらもこのような言い方をしません。ですので、③が正解でした。 敬語は難しい、と思う方もいるかもしれません。でも、語学は使わなければ上達しません。アルバイト先の方、ご親戚の方などに対して、どんどん敬語で話しかけて、敬語への苦手意識をなくしていってくださいね! 【今回のまとめ】
2016.12.27 掲載
|
|
上に戻る |