第25回 消費税率引き上げ延期で、年金受給権発生の期間が
25年から10年に短縮されるのも延期される?
現在年金の受給権発生の為には、国民年金と厚生年金保険を合わせて25年以上必要です。
平成29年4月1日より消費税率を8%から10%に引き上げる事により財源を確保して、年金の受給権発生の為に必要な期間を25年から10年に短縮する予定でした。
しかし、消費税率の引き上げを2年半延期し、平成31年10月1日とすることで、財源の確保が出来なくなります。従って、年金の受給権発生の為に必要な期間を10年に短縮するのも延期される見込みです。
ところで、年金の受給権がない人はどのようにして生活しているのでしょうか?
家族に養われている人もいるでしょう。しかし、家族のいる人で年金の受給権がない人はほとんどいません。日本に若い頃から住んでいて、年金を免除期間を含めても25年掛けていない人の大半は単身者です。
まぁ、普通に日本に住んで、普通に生活していたら年金は25年以上掛かります。
つまり、25年掛かっていない人は、単身者で普通の生活を送っていなかった人です。
具体的にはその日暮らしの日雇い労働者であったり、本名を明かさないで水商売や風俗営業に従事していた人たちなどです。このような人たちでも家族がいれば年金を掛けたり、掛ける事が出来ない場合は免除申請をしたりします。
家族がいる人たちはほとんど年金の受給権があるのですが、単身者はほとんど年金の受給権がありません。
年金の受給権が無くても家族がいれば、家族を頼る事により何とか生活が出来ます。しかし、家族がいない単身者で年金の受給権が無い人は頼る人はいません。
このような単身者で年金の受給権が無い人を自業自得と言って、自己責任の原則により見放す事も出来ますが、日本ではそんな乱暴な事はしません。生活保護という形で救済します。
生活保護で救済するという事は、全額税金で賄うという事です。
仮に生活保護の人に年金の受給権が発生したとしても、年金額は生活保護費より少なくなるので、生活保護から抜け出す事は出来ません。しかし、年金の受給額相当額を生活保護費から控除する事が出来ます。
たとえば、生活保護費が毎月13万円の人が、国民年金だけで10年で受給権が発生したとすると
870,100円×120月÷480月=217,525円
月額にすると18,127円です。
生活保護費は収入があれば減額されますので、
130,000円-18,127円=111,873円
となります。
生活保護費が減額されても、年金が支給されますので本人が受け取る額は同額になります。
この時に、130,000円全額が生活保護費の場合は、全額が税金となります。
ところが、年金が支給されると
生活保護費の部分 111,873円=全額税金
国民年金の部分 18,127円=半額税金
すると税金の分は、
111,873円+(18,127円÷2)=111,873円+9,064円
=120,937円
つまり、
130,000円-120,937円=9,063円
節税になります。
確かに生活保護費については国税負担分と地方税負担分があります。また、国民年金については期間により国庫負担割合が2分の1の期間と3分の1の期間があります。
これらを無視して計算しましたが,これらを考慮して計算しても、年金が支給された方が国全体で考えれば節税となります。
ありゃ不思議???
消費税率を引き上げなくても、年金の受給権発生に必要な期間を10年に短縮する事が出来ますね。 さて、安倍総理は年金についてどう判断するか楽しみです。
2016.6.10 掲載
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