第24回　国民年金基金は得か？ 損か？

さて、国民年金基金。 利回りが有利か？

世間では低金利どころかマイナス金利です。国民年金基金の利回りも最悪です。 細かい計算は抜きにして、国民年金基金で元を取ろうとしたら約20年かかります。

つまり65歳から20年ですから85歳まで生きないと元を取れない計算です。こんなん書いたら国民年金基金に加入する人はいなくなりますよね。

しかーーーし、国民年金基金には民間の金融商品と違いめちゃ有利な点があります。

国民年金基金の掛け金全額が社会保険料控除となります。一般の人で所得税が10.21％の人は所得税と住民税だけで約20％の節税効果があります。 高額所得者ならもっと節税効果が出ます。単純な表面金利だけでは計り知れないメリットがあるんですね。

・・・・・・・で、本当に節税効果だけで自営業者は国民年金基金に加入しているのでしょうか？

表面利回りだけならほとんど損得のない国民年金基金ですが、ほとんど損得がないということは「損」は無いと言うことです。 「損」が無いなら、現在のお金を未来に安全に持っていくことが出来るんです。

雑誌等で老後資金は約3,000万円必要と言われます。 実際に60歳時点でそんなに預貯金がある人はまずいません。

もし、若い頃から老後に向けてコツコツを3,000万円貯めたとしましょう。
　 3,000万円を40年で貯める為には…

3,000万円÷40年=750,000円（1年間あたりの貯金額）
750,000円÷12カ月＝62,500円（1ヵ月あたりの貯金額）

むーーーり。毎月6万円以上も40年間も貯金できるわけがない。

仮に40年間コツコツと貯め続けることが出来たとしても、60歳になったからといって今までコツコツと貯めた預金を取り崩すにはかなり勇気がいります。 いままで、毎月預金残高が増え続け、通帳を見てはニタニタする生活から、毎月預金残高が減り続け、預金通帳を見ては憂鬱になる生活です。 多分10年も過ぎて70歳を超えれば不安で不安でいたたまれなくなるでしょう。

老後資金が3,000万円ではなくて1,000万円或いは500万円でも理屈は同じです。 自分が積み上げた資金を取り崩して生活するのは精神的にしんどいものです。

この不安を取り除くのが「公的年金」です。 この不安は将来資金が底をついたらどうしようと言う気持ちから発生するものですから、一生支給される公的年金は安心です。

国民年金基金も広義の公的年金です。 一生支給されるのが原則です。

国民年金基金は、掛け金額を自分で選択できることや、終身年金と定期年金の組み合わせが出来る等特色があります。 しかし、なんといっても現在のお金を未来に持っていくことが出来る点です。しかも自分で管理する必要や資金が底をついてしまう不安もありません。

年金は損得で考えがちですが、損得で考えるのではなく、老後の気持ちの安心で考える事が大事ですよね。

2016.4.30　掲載