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第19回 厚生年金と共済年金が統合。何が変わるの?


厚生年金保険に共済年金が統合されます。平成27年10月1日付けで、厚生年金保険が共済組合を吸収合併します。

??なんでぇ???って????

だって、例えば会社員のAさんと公務員のBさんが、同じ給料・同じ賞与で、同じ期間、同じ日本で働いるのに、将来の年金額に差が出るのは不公平でしょう。
  だから、同じ条件で働いているなら民間会社の会社員も公務員も同じ年金額・同じ年金制度にした方が公平ですよね。

いままで、おおざっぱに言えば民間の会社員は厚生年金保険、公務員は共済組合と加入する年金制度が別れていたのを、公務員も厚生年金保険に加入する事になりました。
  まぁ、公務員改革で公務員の人数が減ってるので、このままいくと共済組合が財政破綻してしまうので、破綻する前に厚生年金保険で救済しようという意味もあります。

しかーーーーし!!!。
  なんで、民間の厚生年金保険で公務員を救済すんねん。!!!!

今までの共済年金制度は厚生年金保険料より手厚い給付でした。しかし、それは制度の問題であって、公務員個人個人の責任ではありません。公務員1人1人の年金を守る為にも厚生年金保険での救済合併が必要なんです。

しかし、一口に救済合併と言っても、制度が違うものを一つにあわせるのですからいろいろ問題が出てきます。厚生年金保険と共済年金で異なる部分についてどちらかにあわせる必要が有ります。 基本的には厚生年金保険にあわせるのですが、一部共済年金にあわせます。


■厚生年金保険にあわせるところ


(1)被保険者の年齢制限……70歳まで
  厚生年金保険に加入できるのは70歳未満です。共済年金は私学共済を除き年齢制限がありませんでした。しかし、今年の10月からは厚生年金保険にあわせて被保険者になるのは70歳未満に限定されます。
  つまり、現在70歳以上で共済年金に加入中の方は平成27年10月1日付けで資格喪失し同日付で厚生年金保険 70歳以上 被用者該当届を提出する事になります。
  これにより、平成27年10月分から共済年金の保険料がかからなくなります。

(2)未支給給年金の受給権者
  逝去した人と生計を同じくしていた配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹又は3親等内の親族。

(3)老齢厚生年金の在職支給停止
  厚生年金保険にあわせて支給停止が厳しくなります。
  従来、学校卒業から60歳まで公務員だった人は60歳で退官して、嘱託職員として同じ勤務先に勤務した場合は共済年金ではなく厚生年金保険に加入でした。また、嘱託職員ではなく、民間会社に転職した場合も厚生年金保険に加入です。 この方は、60歳以降共済年金の退職共済年金が支給されます。厚生年金保険の被保険者ですが、共済年金と厚生年金保険で制度が異なるので、ほとんど支給停止がかからず、満額支給されていました。
  ところが、平成27年10月からは、共済年金が厚生年金保険になる事から、この人は老齢厚生年金を受給しながら厚生年金保険の被保険者となります。
 つまり、民間会社の方と全く同じになるわけです。すると、65歳までの老齢厚生年金は年金額と給料や賞与で支給停止がかかります。
  計算式も厚生年金保険の支給停止の計算式となります。
  この部分はややこしいので来月具体的な事例で説明します。

(4)保険料納付要件
  以下どちらかの要件を満たす必要が有ります。

  • 初診日又は逝去日の前々月までの期間に保険料滞納期間が3分の1以上ない事
  • 初診日又は逝去日の1年2か月前から2か月前の1年間に滞納期間がない事
  •   民間の厚生年金保険は転職する事を前提に考えられていますので、保険料未納期間が発生します。そこで、障害年金や遺族年金に保険料納付要件があり ました。これに対して共済年金は転職する事を前提に考えていませんので保険料納付要件がありませんでした。
      つまり、ずーーーーっと、国民年金を滞納していた人が公務員になり、1カ月で逝去した様な場合でも遺族年金は支給されていました。平成27年10月からは、この部分も民間と同じように保険料の未納や滞納があれば障害年金や遺族年金の受給権が発生しなくなります。

    (5)障害年金の在職支給停止
      障害厚生年金を受給中の方について、在職支給停止はありません。
      平たく言えば、お給料が高くても障害厚生年金は満額支給です。
      公務員は、障害者になり障害年金を受給する事になっても給料は下がりませんので、障害共済年金は支給停止でした。平成27年10月からは厚生年金保険にあわせて、支給されます。
      たとえば、人工関節、ペースメーカー、心臓の人工弁、人工肛門等を埋設している人は忘れずに障害年金を請求してください。


    ■共済年金にあわせるところ


    (1)端数処理
      1円未満を四捨五入します。
      いままで、厚生年金保険や国民年金では10円単位を四捨五入していました。これを1円未満四捨五入に変更となります。変更は平成27年10月以降最初の年金額の改定時点(一般的には平成28年6月15日です。)からとなります。また、2か月に1回の支給時に支給額に円未満の端数があれば切り捨てられます。
      いままで、切り捨てられた端数は切り捨てられ損でしたが、平成27年10月以降は毎年2月の支払い時点で過去1年の端数の合計額が上乗せして支給されます。ただし、過去1年の端数の合計額に円未満の端数がある時は切り捨てとなります。

    例えば、年金額1,000,000円、2か月に1回166,666円支給の場合、

      1,000,000円÷6回=166,666.666666・・・・・・
      2月の支払時に0.6666666・・・・×6回=3.9999999・・・・

    となり、2月に3円上乗せされます。


    ■その他

    いままで、厚生年金保険の裁定請求書は年金事務所、共済年金の裁定請求書は共済組合に提出でしたが、平成27年10月1日以降に受給権が発生する方は、厚生年金保険と共済年金のどちらも年金事務所または共済組合に提出できます。つまり、今まで2カ所に提出していたのが1カ所ですむようになります。
      多分、共済年金の方はわざわざ共済組合に行かずに年金事務所に提出するようになると思います。

    つづく・・・・・・・わすれたらごめん


    2015.9.19 掲載

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