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第15回 第3号被保険者届を出し忘れていたら、年金はもらえない?


「私の年金はいくらなの? いつから貰えるの? 今も年金掛けてるけど意味あるの?」

いきなり矢継ぎ早の質問だ。
  ご夫婦で相談にこられたが、座ったとたん奥さんがわめきだした。 しかも、いきなり剣幕もうもうとあげている。 そんなに怒っても、なにもならないのになぁ・・・・・あれ?????

——奥さん、60歳では年金の受給権がないみたいですね。

「だから言ってるじゃない。私の年金意味がないでしょう。なんで年金を掛けないといけないの!」

あちゃー、火に油を注いでしまった。どえらい剣幕だ。

まぁ相談に来て爆発する人は何かを隠そうとしている人か何かをごり押ししたい人が多い。
  しかし、隠そうとする人やごり押しをする人の原因はほとんどが知識不足だ。

「なんで、60歳過ぎてまで厚生年金かけなあかんの。どうせ、もらえんのやったら掛けるだけもったいないやろ」

一生懸命わめいている。

どうやら、若い頃に未納期間があって、60歳で受給権が発生しないようだ。
  そして、60歳を超えて今も会社で厚生年金に加入させられるが辛抱できないのだろう。

噴火が収まるのを待ってゆっくり話を聴いてみる。

30歳頃から55歳頃までの25年間、夫が会社経営をしていた。会社を始めた当初は自分も夫の会社で厚生年金に加入していたが、5年くらいして経営がうまくいかなくなり、自分は厚生年金から外れたようだ。 その後、夫の扶養家族となり55歳までの20年間過ごした。55歳で会社は倒産した。それ以降各地を転々とし、現住所に流れ着いた。

しかし、この話なら受給権が発生するはずである。少なくとも30歳からの5年間は厚生年金そしてその後の20年間は第3号被保険者だ。厚生年金と国民年金を足して25年以上となる。

おかしいなぁ。
  ねんきん定期便を確認してみる。

なんと、35歳から55歳までの20年間が未納となっている。第3号被保険者の届けを出すのをうっかり忘れていたのだ。
  現在では第3号被保険者の届けは健康保険の扶養家族に入るのと同時に会社が行うが、以前は自分で市役所に提出していた。健康保険の扶養家族になったのでうっかりと市役所に提出するのを忘れる人が沢山いた。

しかし、一般には届けが出ていない場合は国民年金の納付書が届いているはずだ。

「国民年金なんか払えるわけないでしょう!! 」

おひほひ。。。保険料を払わないで年金くれとは厚かましい。。

——今から35歳に遡って国民年金第3号被保険者になる届けを出してくれたら、60歳から年金を受給できますよ。

「えっ???? 年金出るんですか??? 」

——手続きさえすれば出ますよ。国民年金第3号被保険者になる手続きには時効がありません。35歳当時奥さんに収入がなかった証明さえあれば大丈夫ですよ。
「そんな証明有るわけないでしょう」

——35歳から55歳までご主人の健康保険の扶養家族だったんですよね。収入がないからしゃーないヤン。健康保険の扶養家族になっていれば、それが年収がなかった証明になりますので大丈夫です。直ぐに手続きをしましょう。

めでたし。めでたし。


2015.6.10 掲載

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