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第12回 雁行昇給〜事業主の皆様へ〜


狸は基本的には高い社会保険料を支払って、将来高い老齢厚生年金を受給する事を進めます。基本的には社会保険料の節約はお勧めしません。

しかし、消費税増税に伴い、売り上げが伸びないにもかかわらず、従業員さんからの昇給要求が高く昇給せざるを得ない状況です。売り上げの伸びが見込めない状況が続くと人件費の高騰が経営を圧迫しかねません。

そこで、雁行昇給を導入する事により、社会保険料が節約する事ができます。
  従業員さんに不利益になる部分が含まれていますので制度導入の際には、必ず顧問社会保険労務士等の専門家に相談してください。

具体的には、

(1) 毎年4月・5月・6月の3カ月に時間外労働が多く、7月改定の従業員が多数いる(全体の3分の1程度)。
(2) 職位や資格が上がる事により大幅に昇給する。
(3) 通勤手当の上限額が高く(概ね5万円以上)、転居に伴い月額変更が発生する。

ような会社で、3等級以上の月額変更が生じる会社が対象となります。

例えば、現在20万円等級の人が4月に1万円昇給する会社で、通常では時間外労働の関係で3等級以上の差が発生し7月改定に該当する会社について

  4月 21万円+残業手当4万円=25万円
  5月 21万円+残業手当4万円=25万円
  6月 21万円+残業手当4万円=25万円

※3カ月平均25万円(26万円等級)
  ……20万円等級から26万円等級に月額変更(7月改定)

まず3月に5千円昇給し、更に4月に5千円昇給します。
  これにより、固定的賃金の変動月は3月となり、3月・4月・5月の平均で2等級以上で6月改定の月変となります。

更に4月の昇給で4月・5月・6月の平均と6月改定の額を比べて2等級以上の差があるかどうかで月額変更となるかどうかを判定します。
  この場合一般的には7月改定に該当しません。

  3月 20万5千円+残業手当4万円=24万5千円
  4月 21万円+残業手当4万円=25万円
  5月 21万円+残業手当4万円=25万円

※3カ月平均248,333円(24万円等級)
  ……20万円等級から24万円等級に月額変更(6月改定)

そして、

  4月 21万円+残業手当4万円=25万円
  5月 21万円+残業手当4万円=25万円
  6月 21万円+残業手当4万円=25万円

※3カ月平均25万円(26万円等級)
  ……24万円等級から比べると2等級以上の差がないので月額変更に該当しません。

つまり、4月に1万円昇給すると3等級の月額変更となるところが、昇給の半額を1カ月前倒しする事により2等級の月額変更となります。
  ただし、このままでは、4月・5月・6月の平均が算定基礎届の額となり、結局9月から26万円等級となります。
  そこで、昇給月を4月から5月に変更し、4月に半額を昇給する事により算定基礎届けの問題も解決します。

この記事を読んでくれている殆どの人は

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状態だと思います。しかし、事業主の方や人事部の方は良く分かると思います。

最後にもう一度書きます。雁行昇給の制度は従業員さんに不利益となる部分が含まれています。制度を導入する際には必ず専門家に相談してください。


2015.2.13 掲載

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