「未来総理」バックナンバー バックナンバー一覧

←次の号を読む 前の号を読む→

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2003年6月16日発行 ━

●━━ 若手国会議員メルマガ『未来総理』 第41号 ━━━━━━━━●

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 先週から「自由テーマ」で未来総理たちに、いまの思いを語ってもらって
います。彼らがいま取り組んでいることや、国会での状況などをダイレクト
に知ることができるのではないかと思います。
 今回は公明党の上田議員と、共産党の春名議員が登場。偶然、どちらの原
稿にも、ノ・ムヒョン大統領のことが出てきています。同じ演説を聴いても、
注目しているところが違うのが面白いですね。


┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━[PR]━━━━┓

   ★★★季刊ロゼッタストーン第13号 好評発売中!★★★

  ●大特集「ハンディキャップに負けないで」
   吉行あぐり、大平光代、ホーキング青山、島田律子、高橋がなりらに
   インタビュー。どんな逆境でもきっと乗り越えられる…そんな元気が
   出てくる1冊です。「未来総理」も何人か登場しています!

  ※詳しくはロゼッタストーンホームページhttp://www.rosetta.jp

 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

★☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  目次
────────────────────────────────☆★
 ◎「取り組みたい政策課題」
  ▼上田 勇(衆議院議員・公明党・比例南関東)
 ◎「有事法制、イラク新法、日本の進路」
  ▼春名直章(衆議院議員・共産党・比例四国)

 ◎編集後記
 ◎次号予告
 ◎未来総理メンバーの紹介

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ■「取り組みたい政策課題」
      上田 勇(うえだいさむ・衆議院議員・公明党・比例南関東)
──────────────────────────────────
 今回のテーマは自由ということなので、私が関心を持ち、取組みたいと思っ
ている政策課題の中から、(1)アジア自由経済圏構想と(2)防犯・治安問題の
二つのテーマを選んで、それについての私の考え方をご紹介することにしま
した。

(1)アジア自由経済圏構想について

 6月9日に韓国のノ・ムヒョン大統領が衆議院本会議場で演説を行いました
が、その中で、EU統合の動きに言及しつつ、日韓両国が共有すべき目標・
ビジョンとして「21世紀の北東アジア時代」を開いていくことを提唱しま
した。そうした方向への具体的なスタートとして、自由貿易協定(FTA)
の推進やソウル・羽田シャトル便の開設などの政策を提案しました。

 ノ・ムヒョン大統領の提案は、以前から私が主張してきた「東アジア自由
経済圏」の構想と軌を一にするものだと感じました。(東アジア自由経済圏
の考え方については、前にもこのメールマガジンで紹介させていただいたこ
とがあります)

 東アジア地域内の貿易、サービス、投資を自由にして、経済関係を強化し
ていくことは、長期的に日本経済にとって大きなメリットがあるものと考え
ます。輸出の増加による利益だけでなく、海外からの資金、人材、ノウハウ
が導入されことにより国内産業の生産性が向上し、日本経済の再生にも寄与
するものと考えます。また、この地域では、日本が最も早く市場経済体制を
確立したことから、経済法制、会計制度、製造技術、品質管理などのソフト
面で貢献できる分野も多く、日本人が活躍できる場を拡大することにつなが
ると思います。

 最終的には、東アジア全域を対象とした自由経済圏を構築することを目標
とするものの、一気に進めることは困難です。これまでのところ、シンガポー
ルとの間でFTAが締結されています。これからの手順としては、(1)日本と
経済のレベル・システムが比較的近く、利害の対立が少なく、既に協議が開
始されている韓国とのFTAの早期締結をめざす、(2)その後、順次アセアン
諸国に広げ、(3)中国との合意をめざす、という方向が適切と考えます。た
だ、その際には台湾など政治的に機微な問題も解決していく必要があります。

 国内的には、農業、サービス業、流通業など政治的・社会的に困難な問題
が多くあります。また、自由経済圏を形成すれば、モノの輸出入が自由にな
るだけでなく、人材・資金の往来も活発になります。日本の入国管理などの
各種制度をもっと開放的に改めていく必要がありますし、日本人の単一的な
社会意識の改革も重要です。このようにさまざまな困難な課題がありますが、
自由経済圏により期待されるメリットの大きさを考えて、冷静に解決してい
くべきです。

(2)防犯・治安問題

 最近、地元の有権者と懇談すると、身近なところで犯罪が増えていて、治
安にとても不安に感じるという話をよく耳にします。ピッキングなどの侵入
窃盗犯のほかに、路上でのひったくり、恐喝、暴行といった犯罪の被害が多
いようです。また、いわゆる「ヤミ金融」や麻薬犯罪など、組織的な反社会
勢力が深く関与している疑いのある犯罪も増加しています。

 日本はずっと、世界で最も安全な国として高く評価されていますが、そう
した誇るべき治安が悪化していることは深刻に受け止める必要があります

 犯罪のない安全な社会を実現するためには、私たち一人一人が、犯罪は許
容しないという決意を持つとともに、被害に遭わないように注意していくこ
とが先決であり、同時に地域社会のさまざまな構成員の協力を通じて防犯に
努めることが重要です。ただ、それだけでは、プロの犯罪者、犯罪組織、凶
悪犯罪などから社会を守ることはできません。

 国と自治体が協力して、

(1)犯罪の発生を未然に防ぐために、警察官の増員と大都市部を中心とした適
正な配置、研修等の充実による資質の向上

(2)犯罪が発生した場合の迅速な対応と検挙率を向上させるために捜査能力の
向上、機材等の整備

(3)被害者に対する損害賠償を確実なものとするための法律や執行制度の整備

(4)暗い道の解消など防犯に配慮した市街地の整備、緊急連絡システムの改善

(5)破られにくいカギ、窓などの普及を促進するための情報の提供

(6)地域の自主的な防犯組織の活動に対する支援制度の拡充

(7)麻薬、ヤミ金融対策などを強化することにより犯罪組織の資金源の根絶

(8)外国人犯罪対策として、海外の捜査・司法当局との連携の強化

 などといった施策を進めていく必要があると考えています。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ■「有事法制、イラク新法、日本の進路」
      春名直章(はるななおあき・衆議院議員・共産党・比例四国)
──────────────────────────────────
 この原稿は、6月12日の憲法調査会で私が発言したものに若干の加筆、
修正を加えたものです。これがいま私がもっとも訴えたいことですのでよろ
しくお願いします。

【崩れるイラク戦争の口実】

 私はアメリカの起こしたイラク戦争が、国連憲章や国際法に違反する無法
な戦争であることを厳しく批判してきました。いまこの戦争の正当性があら
ためて問われる事態となっていると思います。

 それは、戦争の最大の口実とされた大量破壊兵器がいまだに見つからず、
何のための戦争だったかが根本から問われる事態となっていることです。

 アメリカではいまブッシュ政権が大量破壊兵器を持っていると断定した証
拠や情報が偽りであったことが次々暴露され糾弾されています。

 まず核兵器開発の根拠とされた情報は、国際原子力機関(IAEA)に「お
粗末な偽造文書」と否定されました。国防情報局(DIA)が「化学兵器が
存在する信頼できる十分な証拠はない」と昨年の秋にすでに報告していたこ
とも明らかになりました。アメリカの「タイム」誌は「大量消滅兵器」との
皮肉な題名をつけた特集を組んでいます。

 イギリスでも、このほど下院でこの問題をめぐって証人喚問調査が決定さ
れています。11日に行われた党首討論で、志位委員長に大量破壊兵器をもっ
ていると断定したその根拠を問われた小泉首相は、まともに答えることがで
きず、「フセインも見つかっていないからといってイラクにフセインがいな
かったといえるか」と超珍答弁を行ないました。

 日本政府にはイラク戦争をアメリカいいなりに支持したその責任が厳しく
問われていることを指摘したいと思います。

【イラクへの自衛隊派遣は許されない】

 戦争の正当性が根本から問われているそのとき、政府・与党はイラクへ自
衛隊を派遣する新法を閣議決定しました。

 法案は、「国連加盟国が行う安定回復活動を支援する」とし、現に軍事占
領を続けている米英軍を兵たん支援するものとなっています。イラクの復興
はなによりも国連が中心的役割を果たすべきであって、無法な戦争のうえに
軍事占領を続けることは罪に罪を重ねることになります。いますぐ米英軍は
撤退すべきです。ここに自衛隊が参加することは、イラク国民の意思を尊重
したほんとうの復興に逆行するものではないでしょうか。

 また、軍事占領行政への参加は、政府自身がかつて『自衛のための必要最
小限を超える』(1980年の政府答弁書)と述べていたとおりで、憲法違反そ
のものです。自衛隊派遣はけっしてやってはなりません。

【世界のすすむべき方向−アメリカ一国主義への批判】

 いま私は、世界でアメリカの一国主義への批判が広がっていることに注目
しています。

 先日、エビアンサミットが開催されましたが、そこでも無法なイラク戦争
の追認は行われませんでした。

 シラクフランス大統領は「正統性を欠く戦争というものは、戦争に勝った
としても、正当性を得られるものではない」「アメリカは単独主義的な世界
ビジョンをもっているが、私は明らかにこれに反する多面的な世界ビジョン
をもっている。ヨーロッパもあり、中国もあり、インドもある、こういう多
極的ビジョンをもっている」と述べています。中国のコキントウ国家主席と
プーチン大統領の「共同声明」でも、アメリカの「一国主義」が「新たな不
安定要素」だと指摘し、「公認済みの国際法上の原則を基礎として、多極的
で公正かつ民主的な国際秩序を確立すべきだ」と述べています。

 イラク戦争に反対、異議を唱えた国は国連加盟191カ国のなかで130カ国に
ものぼり、平和を守れ、国連憲章を守れと、数千万の世界の人々が声を上げ
たことも忘れてはなりません。

 世界はアメリカの一国主義、単独行動主義を容認していないということで
す。とりわけ国連無視の先制攻撃に強い異を唱えています。国連憲章にもと
づく世界の平和秩序を構築する力がここにあると確信します。

 日本政府のアメリカ追随姿勢は、この世界の流れに反する逆流となってい
ることを強く危惧しています。

【ノムヒョン韓国大統領の国会演説に注目】

 いま日本がアジアの国々、そして世界に対しておこなうべきことはなんで
しょうか。

 この点で先日来日された韓国ノムヒョン大統領の国会演説は深く受け止め
るべきものだと思います。

 大統領は、「平和と繁栄の北東アジア時代」を開くために、朝鮮半島の「平
和体制の定着」が必要であること、そのため北朝鮮の核問題を平和的に解決
することをめざして、日韓が協力することを強く訴えました。そのうえで、
「歴史問題」「防衛安保体制(有事法制)と平和憲法の改正議論」について、
韓国をふくむアジア諸国の国民が「疑いと不安の目で見守っている」と率直
な懸念を表明したのです。また首脳会談後の記者会見では「今後日本が北東
アジアの平和をリードしていく勢力として周辺国家に認識されることが重要」
とも述べています。

 強行された有事法制に対し、シンガポールの新聞「連合早報」は「専守防
衛を攻撃型の対外拡張に転換させる」ものと批判し、中国の「人民日報」も
「有事法制でアジアの安全保障は新たな危険に直面することになる」、マレー
シアの「南洋商報」は、有事法制を「日本は戦争に参加してはならないと定
めたタブーを打ちやぶる新法案」と指摘し、「軍事的野心をますます大きく
する日本がこれまでどおり平和憲法の非戦の精神と専守防衛、武力で他国を
威嚇しないという大原則を堅持するかどうか注意を払うべき」と報じていま
す。

 いま日本政府は、こうしたアジア各国の不安と批判の声を直視すべきでは
ないでしょうか。

【国連憲章と憲法を機軸にすえた外交を】

 すなわちいま、世界とアジアの国々にたいし、日本がおこなうべきことは、
有事法制やイラク新法で自衛隊を海外に出し、アメリカの戦争に従い、憲法
違反を積み重ねることでは決してないと思うのです。

 なによりも国連憲章と、その精神をさらにおしすすめた日本国憲法にそっ
て、平和の国際秩序を守り、発展させるために全力を尽くすこと――ここに
世界とアジアからの期待があるということをしっかり受け止めるべきである
と考えます。


★☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  編集後記             弘中百合子(ロゼッタストーン)
────────────────────────────────☆★
 国会では「イラク復興支援特別措置法案」が物議をかもしています。小泉
首相とブッシュ大統領の信頼関係もあって、日米の絆はますます強くなって
いるようです。このアメリカとの密接なつきあいについては、考え方が分か
れると思います。

1)世界で唯一の大国となったアメリカとは、「言うなり」といわれようと、
いまのまま協調関係を維持したほうが得。

2)アメリカの言うなりになるなんて情けない。日本も独自の軍事力を持ち、
真の独立国となるべきだ。

3)アメリカの言うなりに、自衛隊を派遣するのはおかしい。日本には平和
憲法があるのだから、戦争をしない、という立場をもっと世界にアピールす
るべきだ。

 さて、みなさまは、どの立場に近いですか。ぜひ、ご意見をお聞かせくだ
さい。

 ご意見、ご質問は souri@rosetta.jp までお気軽にどうぞ。

 ※掲載を希望されない方、実名をご紹介してもかまわない方は、ひとこ
  とお書き添えいただけると助かります。また、ご意見を紹介してもよ
  い場合は、年齢、職業なども書いておいていただくと、参考になりま
  す。ご協力、よろしくお願いいたします。

★☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  次号予告
────────────────────────────────☆★
 来週は、宮本岳志議員(共産党)、野田佳彦議員(民主党)、
 荒木清寛議員(公明党)、達増拓也議員(自由党)が登場します。

※登場する議員は、変更する場合もあります。ご了承ください。


◇◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  未来総理メンバーの紹介
  ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆
「未来総理」に参加してくださったのは、次の19名の方々です。(敬称略)

 ◇衆議院
  石破 茂(自民党・鳥取)    上田 勇(公明党・比例南関東)
  植田至紀(社民党・比例近畿)  大村秀章(自民党・愛知)
  近藤昭一(民主党・愛知)    鈴木康友(民主党・静岡)
  達増拓也(自由党・岩手)    樽床伸二(民主党・大阪)
  野田佳彦(民主党・千葉)    春名直章(共産党・比例四国)
  細野豪志(民主党・静岡)    丸谷佳織(公明党・比例北海道)
  山井和則(民主党・比例近畿)  山村 健(無所属・比例東海)

 ◇参議院
  荒木清寛(公明党・比例)    有村治子(自民党・比例)
  小池 晃(共産党・比例)    福島瑞穂(社民党・比例)
  宮本岳志(共産党・大阪)

詳しいプロフィールを知りたい方、顔写真を見たい方は、ロゼッタストーン
WEBページで公開しています。⇒ http://www.rosetta.jp/
各議員のホームページにもリンクしています。


●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
〒171-0021 東京都豊島区西池袋5−27−9−101 株式会社ロゼッタストーン
発行人・編集人:弘中百合子
Copyright(C) ロゼッタストーン 許可無く転載することを禁じます
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
━━━━━━━━━若手国会議員メルマガ『未来総理』(毎週月曜配信)━

←次の号を読む 前の号を読む→

配信登録・中止




▲ページTOPへ
Copyright (C) 1999-2004 ROSETTASTONE. All Rights Reserved.