━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2003年6月2日発行 ━
●━━ 若手国会議員メルマガ『未来総理』 第39号 ━━━━━━━━●
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未来総理たちの「経済政策」は、今回が最終回です。日本の未来をたくし
たくなる意見はあったでしょうか? 「経済」に関しては、読者の方からも
いろんなご意見をいただきました。できるだけ、一方通行ではないメルマガ
にしたいと思っております。これからも、メルマガを読んだご意見・ご質問、
日頃の政治について思っていることなど、お聞かせくださいね。
さて、今回も3人の「未来総理」が登場です。
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目次
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◎「経済政策」
▼福島瑞穂(社民党・参議院議員・比例・47歳・当選1回)
▼荒木清寛(公明党・参議院議員・比例・47歳・当選2回)
▼宮本岳志(共産党・参議院議員・大阪・43歳・当選1回)
◎読者からのご意見
◎編集後記
◎次号予告
◎未来総理メンバーの紹介
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■「これから必要な4つの経済政策」
福島瑞穂(ふくしまみずほ・参議院議員・社民党・比例)
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経済政策としては、第一に、どうやってデフレを克服し、不良債権を増や
さないようにするかということ。第二に、実体経済をもっとどう作っていく
のか、福祉・環境・教育などでどうビジネスを作り、育て、世界の中でのビ
ジネスも獲得していくのかということ。第三に、起業家支援、第四に、雇用
の確保と再就職支援と雇用を拡大する政策などを挙げたい。
まず、第一は、デフレ推進策をとらないということ。弁護士や企業の人た
ちと話をしていて痛感するのは、「優良債権」だったものがあっという間に
「不良債権」になってしまうということである。不良債権処理も重要だけれ
ど、それは、やってもやってもむしろ今の小泉構造改革、デフレ推進策がと
られる限り、必然的に不良債権は増え続ける。
今、「経済の総収縮」が起きている。第二に、実体経済を本当にどう元気
にするか、作っていくかということである。
これは、第三の福祉・環境・教育などでどうビジネスを作り、育て、世界
のなかでのビジネスも獲得していくかということにもつながっている。
参議院議員になった5年前、自然エネルギーの促進をしたいと思い、超党
派の議員で自然エネルギー促進法案を議員立法として提出したが、成立せず。
不十分な政府提案の新エネルギー法が通ってしまった。
環境ビジネスなどは、これから本当に大きな産業になっていくだろう。5
年前に話題になっていた燃料電池なども実用化されそうである。
世界中に風力発電の風車(何億円もする)を輸出しているデンマークに、
知り合いの人たちが視察に行った。「様々な製品の環境基準を極めて厳しく
している」という説明を受け、「そんなに厳しくしたら経済的に大変で、競
争に負け、不利になるのではないか」と質問したら、「逆で、デンマーク製
品は、環境基準が厳しくいい製品である」ということで、大きなビジネス・
チャンスに広がった」というのが答えだったそうである。
日本は、物作りの伝統もある。
他の国にはまねできない、そして環境にも本当にいい環境ビジネスを開発
して、世界のなかでのシェアを高めていくということなどは有効な経済政策
ではないか。
「世界のなかで」ということとは別に、地域のなかで、福祉・環境・教育
などできちんと雇用創出をしていくことも必要である。
これは、大規模公共事業を見直すということにも通ずるし、福祉・環境・
教育での雇用創出が、人を幸せにし、かつ地域を元気にすることにもなる。
わたしのまわりで、各地で介護NPO法人を作り、元気にがんばっている
女の人たちが何人もいる。人は「行政の客体」ではなく、一人ひとりは「主
権者」である。「行政におまかせ」「何でも行政にやってもらう」というこ
とではなく、一人ひとりが地域のなかで元気に働ける仕組みを作ることであ
る。それらのNPO法人では、少なくない人たちが職を得て働いている。
第三の起業家支援も必要である。そのための従来の施策を検討。チェック
し、何があれば起業家支援ができるのかもっときちんと提言していきたい。
第四の雇用の問題と第三の起業家支援で、多くの人が働いて、元気に生き、
税金と保険料を払い、できるだけ多くの人がこの社会を支えていくという仕
組みを作りたい。
日本は、「障害者」「高齢者」の多くの人たちで、社会からまだまだはじ
きとばされているし、また女性の活用に失敗している社会ではないだろうか。
大規模・箱モノの公共事業ではなく、福祉・環境・教育などできちんと公
共事業(それこそ本来のパブリック・ワークである)を行い、新しい産業の
育成を、できるだけ多くの人の力を引き出していくことこそ必要な経済政策
ではないか。
様々な試算や成功例はあるが、政策の転換をはかると同時に、成功例をど
んどん増やしていきたい。
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■「政府はマクロ経済政策を軽視してはならない」
荒木清寛(あらききよひろ・参議院議員・公明党・比例)
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当面の最大の政治課題はいうまでもなく、経済の非常事態にいかに対処す
るかです。
私は与党の一員として、小泉内閣の構造改革を推進しており、主要行の不
良債権を2年間で半減させるとの竹中路線を支持します。しかし、構造改革の
実現だけで日本経済を再生することはできず、政府はマクロ経済政策を軽視
してはならないと考えます。
バブル崩壊以後のわが国の経済の停滞の根本的原因は、デフレの進行であ
ると指摘されます。デフレ克服のためにあらゆる政策を総動員すべしという
のが、公明党の立場です。そして先日は日銀が、「デフレ長期化の主因は需
要不足」との試算をまとめました。
私も参加をしている与党3党の金融プロジェクトチームの検討による「当
面の緊急金融・経済対策」(5月8日)では、「物価安定数値目標の導入」
として「デフレ克服のため一層の金融緩和を実現する観点から、物価安定数
値目標(ブラス1〜2%)を導入し、その実現に向けて実効性のある金融政
策を実施する」ことを要請することが含まれています。いわゆる「流動性の
罠」に陥っている今、日銀が、一定の物価上昇率に達するまでは将来にわたっ
て量的緩和を持続し拡大するとの、明確なる宣言が必要であると考えます。
また同対策では、「平成15年度予算の繰り上げ執行」をも求めています。
カンフル剤ではあるものの、デフレ・ギャップを埋める財政政策の有効性を
否定すべきではありません。公共事業のムダのチェックは厳格に行うべきで
すが、社会資本整備はまだまだ不足しています。例えば地震大国日本で、電
柱の地中化を促進は急務ではないでしょうか。
さらにセーフティーネットの整備、すなわち中小企業金融対策や雇用対策
を強化するための財政支出は、大胆に行うべきだと思います。
私は昨年の臨時国会における本会議質疑の中で、イギリスのブレア政権が
「ニューディール政策」と呼ばれる失業者対策を実施して大きな成果を上げ
ていることを紹介した上で、わが国でもきめ細かい職業訓練対策を講じるべ
きことを坂口厚生労働大臣に求めました。今般、「若年自立支援プラン」
(坂口試案)が発表されて若者向けの新たな教育訓練制度が打ち出されたこ
とは、我が意を得たりの思いです。
そうした意味で政府は、補正予算の編成も時期を見て検討すべきであると
考えます。
国民の皆様への責任を果たすべく、全力で頑張ります。
公共事業の追加的な実施については精査が必要ですが、中小企業金融の強
化や雇用対策の充実などのセーフティーネットの整備のために、しかるべき
時期には補正予算の編成を政府として検討する必要があると考えます。
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■「根本から需要を喚起する経済政策に転換する」
宮本岳志(みやもとたけし・参議院議員・共産党・大阪)
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読者のみなさん、宮本たけしです。「個人情報保護法等5法案」は去る5
月23日、参議院本会議で全野党反対の中、与党三党によって可決させられ
ました。私も「警察から大手金融業者への個人情報流出事件」を暴露し追及
して、小泉総理に「調査し、国会に報告すべき」と答弁させるところまで追
いつめました。
NHKテレビ中継で私の総理質問を見た方から「これからは、『強きをく
じき弱きを助ける国会のだんじりファイター』というキャッチフレーズにし
ては?」などという熱い応援メッセージもいただきました。ありがとうござ
います。
さて、宿題の経済問題です。先日来「りそなグループ」に2兆円の公的資
金を投入するということが報じられ、私の地元大阪などでは大騒ぎになって
います。りそなによる公的資金の申請は、2003年3月期の連結自己資本
比率が「健全性」の目安とされる4%を下回ったためとされています。
しかし今回のりそなの経営危機は、経営者の責任もさることながら、小泉
内閣の経済大失政こそが最大の原因です。小泉内閣はこの間、実体経済を良
くする対策は何もおこなわないばかりか、より不況を深刻にさせることがあ
きらかな「不良債権処理の加速策」など、いわゆる「竹中プログラム」なる
ものを強引に押し進めてきました。
この「竹中プログラム」がもたらしたものは、貸しはがし・貸出金利の引
き上げなどで倒産と失業を増大させ、実態経済をさらに冷え込ませることで、
不良債権を拡大再生するという悪循環でした。このようなやりかたでは不良
債権は処理しても処理しても、減るどころか増え続けていくのは当然です。
一方で、小泉内閣は「財政破たん」を理由に、医療費の負担増や年金の切
り下げ、庶民増税など四兆円もの国民負担増政策を強行しています。これは
国民の生活と健康を破壊し、将来不安をひろげ、日本経済の需要不足を一層
深刻にし、結局経済ばかりか財政の破たんも早めるという悪循環を引き起こ
しているのです。
つまり、これら小泉政権の経済政策は、いっそう経済危機を深刻にさせる、
いわば「逆噴射」政策であり、それがあらゆる分野で悪循環をつくりだして
いるというのが現状です。
ここまで破たんが明瞭であるにもかかわらず、小泉内閣は「改革の手を緩
めない」などと強弁して、これらの「逆噴射」政策を強引にすすめる一方、
「景気にも配慮した」などといってもちだす対策は、郵便貯金資金などで株
を買い支えるなどという小手先の「株価対策」や、「都市再生」などと看板
だけをつけかえた相変わらずの大型公共事業の積み増しなど、時代遅れのガ
ラクタばかりです。
「『逆噴射』政策とガラクタばかり」、一言で言って、これが小泉内閣の
経済政策のAtoZだといわねばなりません。
では宮本、お前ならどうする?私なら、はっきり言って「小泉・竹中」路
線のまったく逆を行います。サプライサイド(供給側)の対策に熱中するの
をやめて根本から需要を喚起する経済政策に転換すること。しかもそれは自
民党守旧派が言うような大型公共事業など「ガラクタ」の積み上げではなく、
家計所得をふやす方向で需要と消費を引き上げることです。
具体的には、まず4兆円の国民負担増をもとに戻して国民の将来不安をな
くします。そして消費税の税率引き下げで消費支出を刺激し、将来的には消
費税廃止をめざします。
「財源はどうするんだ?」という声が聞こえてきそうですが、自民党流の
税金無駄遣いにメスを入れれば財源をつくることは可能です。まず、国と地
方合わせて50兆円といわれる公共事業予算を半減させ、関西空港二期事業
1兆4千億とか諫早湾干拓とか、吉野川可動堰とか、川辺川ダムなど、大型
のものはSTOPします。
「それでは中小・零細建設業者の仕事がなくなるじゃないか」というご心配
は無用です。残された25兆規模の公共事業をダイレクトに中小建設業者に
発注できるようにします。間違いなくその方が中小建設業者の仕事は増える
し、大手ゼネコンの下請けや孫請けをしているよりも儲けも増えるはずです。
こういう方向で、国民全体の購買力も増やしていけば、結局は大手ゼネコン
の仕事も増えることになるのです。
この道を進めば、公共事業にリンクした「政治献金」という名のペイバッ
クをむさぼっている自民党政治家以外は、みんなが潤うのです。
「逆噴射」の竹中路線と、「ガラクタ」の亀井路線、その折衷の小泉路線、
いずれともきっぱり手を切って、全く正反対の政策にきりかえること、これ
以外に完全に「手詰まり」に陥っている日本経済を再生させる道はありませ
ん。
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読者からのご意見(先週のメルマガについて)
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●「近藤議員・有村議員・小池議員の経済政策について」(匿名)
1:近藤さん、具体策がもう一つ具体的ではないようです。消費の6割を占め
る国民の暮し向きについてはどうなんでしょうか。雇用保険の給付の拡大だ
けでは物足りないです。
2:有村さん、「互いに相手が悪い責めてみても」とのことですが、タイタ
ニックを氷山にぶっつけた責任をあいまいにはできません。「橋龍不況」は
噛んで含めて情況を説明し、中学生程度の思考力があれば避けられた不況で
した。
「小泉、竹中大不況」はそれよりもっと悪い。氷山にぶっつけて穴のあい
たタイタニックにさらに爆薬を仕掛けているようなものです。大いに悪いと
責めてやめさせないと。
3:小池さん、「小泉、竹中大不況」脱出の道はおっしゃる道が一番近いと思
います。もっと大きな声で主張して欲しいのですがマスコミはそっぽを向い
ています。メルマガ「赤旗」みたいなものを作り出してはいかがでしょうか。
●「小池議員の経済政策について」(千葉県在住、38歳、男性)
はて、小池晃さんという名前ででているけれど、これは志位和夫さんや筆
坂さん、穀田さんが発言されていることの丸写しですね。若手議員というこ
とで参加されているのかと思ったら、党を代表して参加されているというこ
となのでしょうか。
それにしても、こうした浮き世離れした政策が受け入れられなかったこと
は、今回の春の統一地方選での共産党の大敗で明らかだと思います。
昨年9月30日発行の第5号で、小池議員は、「日本の政治の病気とたた
かう医師」として、政治を志した理由を述べられていました。是非、もっと
オリジナリティのある、小池議員自身のご意見を聞かせてほしいと思います。
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編集後記 弘中百合子(ロゼッタストーン)
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「○×危機」とか、「株価最安値」なんて言葉も、そろそろ聞き飽きてき
て、いつの間にか、自分が不況の世の中になじんできている気がします。お
金持ちではなくても、好きな仕事ができて、好きな人達が回りにいれば、な
んとなく幸せです。
けれど、仕事をしたくても仕事がない状況は、本当に辛いだろうと思いま
す。中年以降の再就職は難しいし、最近は、新卒の採用も相当厳しいようで
す。仕事のめどがつかなければ、買い物や遊びを控えざるをえません。
仕事がないために眠っている能力、生かされていない技術がたくさんある
ような気がします。潜在能力をうまく引き出せる雇用政策が欲しいですね。
ご意見、ご質問は
souri@rosetta.jp までお気軽にどうぞ。
※掲載を希望されない方、実名をご紹介してもかまわない方は、ひとこ
とお書き添えいただけると助かります。また、ご意見を紹介してもよ
い場合は、年齢、職業なども書いておいていただくと、参考になりま
す。ご協力、よろしくお願いいたします。
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次号予告
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次号からは、自由テーマで、各議員の意見を聞いていきます。
来週は、大村秀章議員(自民党)・山村健議員(無所属)・
植田至紀議員(社民党)・細野豪志議員(民主党)が登場します。
※登場する議員は、変更する場合もあります。ご了承ください。
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未来総理メンバーの紹介
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「未来総理」に参加してくださったのは、次の19名の方々です。(敬称略)
◇衆議院
石破 茂(自民党・鳥取) 上田 勇(公明党・比例南関東)
植田至紀(社民党・比例近畿) 大村秀章(自民党・愛知)
近藤昭一(民主党・愛知) 鈴木康友(民主党・静岡)
達増拓也(自由党・岩手) 樽床伸二(民主党・大阪)
野田佳彦(民主党・千葉) 春名直章(共産党・比例四国)
細野豪志(民主党・静岡) 丸谷佳織(公明党・比例北海道)
山井和則(民主党・比例近畿) 山村 健(無所属・比例東海)
◇参議院
荒木清寛(公明党・比例) 有村治子(自民党・比例)
小池 晃(共産党・比例) 福島瑞穂(社民党・比例)
宮本岳志(共産党・大阪)
詳しいプロフィールを知りたい方、顔写真を見たい方は、ロゼッタストーン
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発行人・編集人:弘中百合子
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