━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2003年4月28日発行 ━
●━━ 若手国会議員メルマガ『未来総理』 第34号 ━━━━━━━━●
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いよいよゴールデンウィークに入りました。今年は新型肺炎やイラク戦争
の影響で、海外にでかける人が少ないとか。このお休み、みなさんはどこで
お金を使うのでしょう。
今回も「未来総理」の経済政策を紹介します。共産党の春名議員、公明党
の上田議員から原稿が届きました。日本の経済を良くするために、党派を超
えて、知恵を出し合ってもらいたいと思っています。与野党が協力して取り
組めそうな政策はあるのでしょうか。
なお、前回の「第33号」ですが、「第32号」の表記で配信してしまいまし
た。おわびして訂正いたします。
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目次
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◎「経済政策」
▼春名直章(共産党・衆議院議員・比例四国・44歳・当選2回)
▼上田勇(公明党・衆議院議員・比例南関東・44歳・当選3回)
◎「植田議員の経済政策」について、読者からのご意見
◎編集後記
◎次号予告
◎未来総理メンバーの紹介
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■「個人消費を活性化しないと、不況は打開できない」
春名直章(はるななおあき・衆議院議員・共産党・比例四国)
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日本の経済構造の特徴に即した経済対策をうたないといくらおカネをつぎ
込んでも経済は浮上しません。
その最大の特徴は、約六割が個人消費によって支えられていることにあり
ます。2大牽引車である民間設備投資とともに、ここを活性化しないと不況は
けっして打開できません。内需の拡大に力を注ぐことです。
自民党政治の経済政策は、この経済構造の特徴を意に介せず、あいも変わ
らず大企業への支援をつよめることで、その利益が回りまわって国民の懐を
あたためるだろうという考えですすんできました。ゼネコン奉仕の公共事業
を積み増し、銀行支援に熱中してきたことがその典型です。しかしその政策
は歴史で失敗が証明されました。
一方、肝心の国民の懐には冷水を浴びる政策をとってきました。社会保障
の連続改悪、消費税導入と増税、民間大企業は賃金カット、人員削減をはじ
めとする大リストラ、これを応援する政治。国民の懐は脅かされつづけてき
たのです。とくに戦後最悪の失業は深刻です。ここに小泉内閣の経済政策の
失敗が端的に現れています。これでは経済が良くなるはずがありません。
いまこそ経済政策の大転換が必要です。
なによりも個人消費を真剣に暖める政策に力を注ぐべきです。
私たちは、昨年不況とデフレの悪循環をたちきるための「緊急経済対策」
を発表しました。
その第一は、社会保障の大改悪をやめることです。医療費3割負担や年金給
付の切り下げをきっぱり中止します。社会保障を支える財源は、年間45兆円
を越す公共事業を段階的に半分に減らし、その主役を社会保障にきりかえる
ことです。
第二は、増税をきっぱり中止することです。消費税の引き上げは断じて許
しません。所得税の配偶者特別控除の廃止や中小企業への増税となる外形標
準課税はやめるべきです。
第三に、不良債権処理の名による中小企業つぶしをやめることが必要です。
不良債権は「処理」でなく、「なくす」ことが大切なのです。そのために
は、金融機関が資金を提供し、その企業が立ち行くようにすること、そのこ
とを通じて不良債権を正常債権にもどしていく、この過程がなによりも重要
です。小泉内閣の「処理」は、苦労しながら債権を返済している企業に烙印
を押してつぶしてしまうというものです。ですからこの間処理しても処理し
てもあらたな不良債権が生まれ増えています。
第三に、大企業のリストラをやめ、現に失業している方々への生活保障を
実施することです。雇用保険の改悪は許せません。
これはいまの経済がどん底から這いあがるためにやらねばならない緊急対
策です。
そのうえで、大企業の利益を最優先する経済対策から、庶民、中小企業を
支える経済対策へと転換していくことが必要です。
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■「経済低迷の根本原因への対処が必要」
上田勇(うえだいさむ・衆議院議員・公明党・比例南関東)
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日本経済は、さまざまな景気対策が講じられているにもかかわらず、長期
にわたる不況から脱出できずにいます。経済不振の原因については、金融機
関の不良債権問題、デフレなどさまざまな要因が指摘されており、それぞれ
が間違いではないと思います。しかし、 現在の日本経済の抱える根本的な
問題に適切に対処せずに、旧来の発想・手法での「対症療法」の政策だけで
は本格的な建て直しはできません。
私は、今日の日本経済を取り巻く環境の変化は、大きく次の3点に集約さ
れると考えています。
(1)一定水準の社会インフラや物質的な豊かさがある程度達成されて経済社会
が発展段階から成熟段階へ移行したことにより、国民の価値観やライフスタ
イルが多様化していること
(2)少子高齢化の進行により、近い将来、人口・労働力が減少に転じるため総
需要の伸びが期待できない反面、社会保障制度のニーズが強くなっているこ
と
(3)グローバル化の進展によって、企業が発展途上国との価格競争と先進国間
の技術・知的財産の競争の両方に直面する「大競争時代」に突入したこと
上記のような経済環境の中で、現在のデフレ圧力が相当強いものであると
言わざるを得ませんし、財政出動によって需給ギャップを補填する方法も長
続きはしません。つまり、長期的な視点に立って経済を再生していくために
は構造改革を推進して生産性を改善していく以外に有効な手段はありません。
●将来の競争力を高める長期経済ビジョンが必要
以上のような環境変化に対して批判の意見もありますが、私たちが好むと
好まざるとに関わらず避けがたいトレンドだと認識するべきです。その上で、
将来の世界経済の中で高い競争力を実現するための経済社会のあり方を示す
「長期ビジョン」を明確にする必要があります。「長期ビジョン」に基づき、
中期的な戦略を立てるほか、短期的には長期・中期の方向性に沿った範囲で、
変動する情勢に機動的に対応する経済運営を行っていくべきだと考えます。
政府が策定している「改革と展望」はこの中期的な戦略に当たるものと考
えており、私は基本的にはその内容を評価しています。ただ、残念ながら、
日本の経済社会の将来にわたる長期ビジョンがはっきりしていないのが現状
です。
長期ビジョン・中期戦略を策定し、それに沿って着実に政策を実行してい
くためには、強力な政治的リーダーシップとそれを支える国民的なコンセン
サスが必要です。総理大臣が長期ビジョンをしっかりと説明し、多少時間は
かかっても国民的な論議を十分行って一定のコンセンサスを共有することが
重要です。
これまでの経済政策失敗の最大の原因は、長期・中期の方向性がはっきり
しないまま、当面の情勢への対応に追われてきたため、政策に一貫性がない
と受け止められてきたことにあると考えます。
●私が考える経済社会の長期ビジョン
私が考える長期ビジョンの主な点は次のとおりです。
(1)自由主義・市場型経済の基本は維持しつつ、社会保障制度の充実など公的
な関与も重視する「社会的」資本主義を経済政策の基本理念にします。
(2)経済構造の改革を進めて付加価値の高い、技術・知識重視型の産業分野へ
のシフトを進めていきます。それを支えるために教育、科学技術振興などの
政策分野に力を入れるべきです。
(3)ものづくり産業、小規模商業、農林水産業などは経済原理だけで淘汰する
のではなく、社会的な役割を重視して社会全体で一定の支援を行っていく必
要があります。
(4)経済運営の目標を、現在のGDP成長率から、国民の生活満足度、一人当た
りの実質所得などの指標に置き換えるべきです。そのためには、環境、文化、
住宅政策の充実が必要になります。
(5) キャリアプラン、ライフスタイルの多様化を前提として、個々の選択の
幅が広がるように労働・社会保障制度の設計を行う必要があります。
●現在の経済危機への機動的な対応が緊急
私は、現在の日本経済は、デフレの進行、株式市場の低迷、金融機能の低
下など「危機」とも言える状態に陥っていると認識しています。長期的な構
造改革の方向性を踏まえた上で、短期的にはあらゆる財政・金融政策を総動
員して経済危機から抜け出すことに全力をあげなければなりません。
緊急に行わなければならない政策として次のようなものがあると考えます、
(1)破綻が心配される年金・医療・介護などの社会保障制度を長期的に安定
したシステムにするため、抜本的に改革するべきです。その際には、現行の
制度をできる限り効率化した上で、将来的には、給付の減少や負担の増大も
止むを得ないことをはっきりさせる必要があります。
(2)早急に平成15年度の補正予算を編成するべきです。ただし、インフラ整
備型の公共投資を追加しても経済効果はあまり期待できないので、新産業育
成のための研究開発への投資、医療・福祉の施設整備の促進など長期ビジョ
ンに沿ったものに限定します。現在の財政事情を考えればあまり規模的には
大きな補正予算は困難ですが、規模よりも内容が重要だと考えます。
(3)補正予算の編成とあわせて16年度予算の編成方針の議論を開始し、構造
改革を進める内容とする方針を明確に打ち出します。前述の分野以外に、高
等教育の質の向上や初等・中等教育のレベルアップ、労働のミスマッチ解消
のための教育・訓練の充実、少子化対策としての子育て支援策などに重点配
分するべきです。
(4)税制については、新規産業の育成、研究開発の促進を図るための政策減
税をさらに拡充する必要があります。しかし、将来にわたって大きな税収の
伸びが期待できないことを考えれば、大幅な減税は行うべきではないと考え
ます。これまで実施した所得税・法人税の減税も期待したほどの効果は発揮
しませんでした。
(5)生産性を向上するためには海外からの直接投資の拡大を図り、資金の流
入を図るとともに、優れた技術やビジネスモデルを積極的に導入する必要が
あります。そのために制度・税制のあり方を抜本的に改正することが重要で
す。
(6)経営内容も悪くなく、将来性のある中小企業が、金融機関の「貸し渋
り」などによって資金がショートして倒れることがないように、公的な債務
保証制度、政府系金融機関の融資、「売掛債権」を担保としたABS(資産担保
証券)の発行の推進と市場の整備など中小企業の金融セーフティーネットを
拡充するべきです。
(7)金融政策では、マネーサプライを潤沢に供給するとともに、日銀による
株式の買取りの拡大やABS、ETF(株価指数連動投信)などの金融商品
の買取り制度を導入して、金融機関から事業会社に資金が回るような対策を
実施するべきです。
日本は戦後、高度経済成長を続けて短期間で世界第二位の経済大国に成長
した世界で類例のない「成功体験」を持っています。それは、日本の経済社
会のシステムに優れた点が多いことの証明です。しかし、余りに成功し過ぎ
たために、「成功体験」に囚われすぎて、世界の環境変化に的確、柔軟に対
応することに失敗しています。今日、日本型システムの良いところを生かし
ながら、必要な改革をきっちり進めていくことが求められています。そのた
めには、過去の「成功体験」に過度に囚われることのない、新しい視点と発
想が必要だと考えます。
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■「植田議員の経済政策」について、読者からのご意見
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●耳障りのよいことだけいわれても…
この主張の前提としての経済状況の認識が大きく誤っています。「高度経
済成長期」...つまり過去の経済状況ならば、その認識,方針は正しいかもし
れませんが、現状の経済状況の上にたった方策とはとても思えません。また、
具体的な施策として何?と疑問を持たざるをえません。
耳障りがよいからか、やれ「保障の充実」、「公正」という言葉をだされ
ますが、なんか上っ面のことだけいわれているようで…。原資(税金)と再分
配の仕組みが本当に公正に機能しているか、なんてことは考えられているの
か、はなはだ疑問。
●消費税をなくしてほしい
植田さん、GDPの6割を占める個人消費を伸ばすためにまず消費税を免税に
してください。その次に将来不安をなくすためには社会保障を充実してくだ
さい。そして解雇制限の法律をつくり現状の雇用不安をなくしてください。
民主党の地方組織が無駄な関空2期工事を進める立場をとっているのをやめさ
せてください。
あなた方は野党ですから努力しても公約が実現できないのはやむを得ませ
んが党内の意見や地方組織が公約とまったく相容れない行動をとるのはやめ
てください。
消費税は格差を広げない公平・公正な税制とはまったくかけ離れたもので
す。
世界第二位の軍事費にも目を向けてください。4〜5万人いる駐留米兵一
人当たり1500万円もの出費の対米援助も考え直してください。
「右肩上がりの経済成長は」ないといわれていますが、私はそうは考えてい
ません。
人類も経済もまだまだ成長しつづけるでしょうし、成長しなければなりませ
ん。
そのためにもゆがんだ構造の改革は必要です。これは決してゆがみを増大
させている「小泉改革」の応援ではありません。
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編集後記 弘中百合子(ロゼッタストーン)
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私ごとですが、現在、公開ダイエットに挑戦しています。体についている
脂肪は、不良債権に似ています。ただやみくもに体重を減らすだけでは、必
要な筋肉が落ちて脂肪率がアップし、ぷよぷよの体になってしまうのです。
また無理して一気に減らすと、リバウンドが起き、あっという間に元に戻っ
てしまいます。
ダイエットを成功させ、リバウンドを防ぐには、やはり生活習慣を変える
ことが大切。体重と脂肪率の変化、その日に食べたものなどを毎日記録して
傾向をつかむと、励みになります。
政府や銀行も、「不良債権ダイエットグラフ」を作って、不良債権の額や
不良債権率を、毎月目立つところで公開してくれるといいのになあと思いま
す。減っていることが目に見えないと、ダイエットも挫折してしまいますか
ら。
「未来総理」の政策へのご意見、「こんな経済政策をしてほしい」という
ご要望など、どうぞ、お寄せください。
掲載を希望されない方、実名をご紹介してもかまわない方は、ひとことお
書き添えいただけると助かります。また、ご意見を紹介してもよい場合は、
年齢、職業なども書いておいていただくと、参考になります。ご協力、よろ
しくお願いいたします。
ご意見、ご質問は
souri@rosetta.jp までお気軽にどうぞ。
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次号予告
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次号もテーマは「経済政策」です。発行は5月5日です。
細野豪志議員(民主党)が登場します。
※登場する議員は、変更する場合もあります。ご了承ください。
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未来総理メンバーの紹介
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「未来総理」に参加してくださったのは、次の19名の方々です。(敬称略)
◇衆議院
石破 茂(自民党・鳥取) 上田 勇(公明党・比例南関東)
植田至紀(社民党・比例近畿) 大村秀章(自民党・愛知)
近藤昭一(民主党・愛知) 鈴木康友(民主党・静岡)
達増拓也(自由党・岩手) 樽床伸二(民主党・大阪)
野田佳彦(民主党・千葉) 春名直章(共産党・比例四国)
細野豪志(民主党・静岡) 丸谷佳織(公明党・比例北海道)
山井和則(民主党・比例近畿) 山村 健(無所属・比例東海)
◇参議院
荒木清寛(公明党・比例) 有村治子(自民党・比例)
小池 晃(共産党・比例) 福島瑞穂(社民党・比例)
宮本岳志(共産党・大阪)
詳しいプロフィールを知りたい方、顔写真を見たい方は、ロゼッタストーン
WEBページで公開しています。⇒ http://www.rosetta.jp/
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発行人・編集人:弘中百合子
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