━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2003年4月21日発行 ━
●━━ 若手国会議員メルマガ『未来総理』 第33号 ━━━━━━━━●
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先週から、気になる「経済政策」について、「未来総理」たちの意見を聞
いています。前回の大村秀章議員(自民党)に続いて、今回は社民党の植田
至紀議員の意見をご紹介します。
なにをどうすれば景気がよくなるのか、まったく見当がつかないくらい、
日本の景気は冷え込んだままの状態が続いています。特に、地方では、景気
の悪化がより深刻なようです。
未来総理たちに妙案はあるのでしょうか?
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目次
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◎「経済政策」
▼植田至紀(社民党・衆議院議員・比例近畿・37歳・当選1回)
◎「大村議員の経済政策」について、読者からのご意見
◎編集後記
◎次号予告
◎未来総理メンバーの紹介
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■「デフレ不況を脱却するための4つの基本政策」
植田至紀(うえだむねのり・衆議院議員・社民党・比例近畿)
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最近は地元の支援者の皆さんとも経済政策についてお話しすることがとみ
に増えましたが、いつも次のような説明をさせていただいてます。
景気が悪いっていうのは、一言でいえば、儲からないということですね。
儲からないのはなぜか? それは売れないからですね。
ではなぜ売れないのか? それはみんなが買わないからですね。
ではなぜ買わないのか? それは買えないからです。
ではなぜ買えないのか? それは私たちのくらしに不安がありすぎるため、
買うことを控えているからです。
ちなみにこのことが、GDP(国内総生産)の6割を占める個人消費の伸
び悩みが景気回復を妨げていると呼ばれる現象なのです。
その結果経済はどうなっているのでしょうか? モノが売れないのですか
ら、値段を下げなければ売れません。でもその分儲けが減ります。その程度
ならいいけれど、最悪の結果首切り、倒産となるケースも少なくありません。
そうすれば、失業者が増えるわけですから、収入のない人が多額の消費など
できません。その悪循環で、モノが売れなくなりさらに値段を下げなければ
ならなくなる、この悪循環をデフレと呼ぶのです。
といった具合です。
ごく、あたりまえのことを述べているに過ぎません。「そんなことわかっ
てるよ」「バカにしてるのか」と読者のお叱りを受けるかも知れませんが、
このあたりまえのことをまったくわかっていないのが、他ならぬ小泉「構造
改革」なのです。
個人消費を伸ばすことが、景気回復の重要なポイントなのですが、そのた
めには消費を妨げている国民の生活不安を解消すること、つまり雇用や老後
などの将来不安の解消が課題となります。
そこで必要な政策はなにか? 柱立てを簡単に提示させていただきます。
(1)直接雇用に結びつく雇用政策の展開
福祉、教育、環境保全など国民のニーズが高くかつ公共部門が責任を果た
さなければならない分野で新たな雇用創出を図るとともに、職業相談、職業
能力開発・職業訓練と雇用が結びつく体制整備などをはじめ、これまで公共
事業の波及効果に頼っていた雇用創出から、直接雇用政策への転換を進めま
す。
(2)中小企業・地場産業にピントをあわせた地域経済の再生
不良債権の処理を急げば急ぐほど、貸しはがし、貸し渋りが横行します。
むしろ金融庁は貸しはがし、貸し渋りを厳しくチェックすべきです。また、
中小企業の多くは本業はうまくいっているのに、バブル時代の借金返済に青
息吐息の状況で資金繰りが大変なのです。ですから公的金融機関の融資メ
ニューとりわけ無担保融資の枠を拡充することや、金融機関の融資姿勢を担
保主義から、地域への貢献度や将来性に着目した方向に転換するだけでもか
なり状況は好転します。
(3)格差を広げない公平・公正な税制改革
安易な増税も安易な減税も経済を混乱させ、結果として国民負担に跳ね返っ
てきます。まず不公平税制を改革すべきです。薄く広く税収を確保するとい
うのは一見正しいように見えますが、中低所得者層が不利益を被り、その結
果憲法が保障する最低限度の生活を営む権利を侵害することにもなります。
(4)国民のニーズに対応できる社会保障制度改革
まず論じなければならないのは、超高齢社会に必要な社会保障のあり方で
す。改革の具体的内容を明らかにしたうえで、国民負担のあり方を論議すべ
きで、まず負担増ありきの制度改悪は国民の生活不安を深刻化させるだけで
す。
以上の政策展開が、デフレ不況を脱却するための基本に据えられなければ
ならないと考えています。
ちなみに、小泉「構造改革」の誤りは、換言すれば不況期にあるにも関わ
らず、緊縮財政を続け、需要不足を解消しないばかりか、供給構造の「改革」
に偏していることに尽きます。供給構造改革は経済が安定しているときにや
るべきもので、不況期にやると供給過剰を生みデフレが深刻になるばかりで
す。
例えば、小泉内閣の政策を特徴づけているのが不良債権処理ですが、私自
身不良債権処理自体を否定はしませんが、不良債権があるから景気が悪いの
ではなく、景気が悪いから不良債権が新たに生まれてくるのです。ですから
日本銀行が量的緩和を持続させているにもかかわらずその成果が現れてこな
いのは、不良債権の処理が遅れているからでは決してなく、そもそも資金需
要がないからなのです。
むしろ不良債権処理の加速は、バブル崩壊後の企業が必死で過剰債務を処
理してきた努力に冷や水を浴びせるようなものとも言えます。いま必要なの
は適切な需要喚起策なのです。
こう述べると、まるで自民党の抵抗勢力の主張と変わらないじゃないかと
いう反応が返ってきますが、もちろん違います。従来型の公共事業を繰り返
すだけでは借金が増えるだけなのですから。だからといって緊縮財政ならい
いのかというものではありません。需要を喚起する適切な公共投資、先に述
べたように国民生活の再建に的を絞った政策の総動員、財政出動こそが緊急
対策として求められるのです。
小泉「構造改革」は、さも無駄な予算を削るために抵抗勢力と対決してい
るポーズをとりながら、医療費3割負担に象徴的なように実は国民生活を圧
迫しています。国民生活を切り捨てて経済の再生などあり得ないという自明
の理を踏まえた政策こそが必要なのです。
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■「大村議員の経済政策」について、読者からのご意見
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●大衆から絞れるだけ絞れという考えが経済不振の原因
政治家や評論家の方はそれぞれ立派なことをいわれます。御用学者もそう
です。大新聞社の記者もそうです。しかし、皆様特権階級にいて勝手に自分
の利益になるようなことを述べているだけですから、どれもうまくいきませ
ん。数年前の高所得者の税率下げの大合唱にはあきれ果てました。どうです、
成功したら減税には全く触れません。そして大衆増税・負担増を図ります。
つまりその特権階級が自分の特権の享受を続けようとしていることが経済
不振の根本的原因なのです。最近も所得税の定率減税をやめると政府税調と
小泉首相が合意したと発表されています。要するに大衆から絞れるだけ絞れ
という考えがすべての経済不振の原因であると思います。税を逃れるために
毎年ある時期に外国へ居住場所を変えたりITを口で進めて自らも株で大損
をし、さら自分の損を取り戻すために株は絶対儲かるとのたまい国民に株を
買わせようとする大臣、このような為政者の下ですから、国民は馬鹿の様で
も無言で抵抗しているのです。大村さんにはこの声なき声を良くご考慮願い
ます。
●法人税、所得税を減税して、社会保障を切り崩していくやり方は限界
「日本政治の力量がまさに問われている」は同感ですが後は全部おかしい
と思います。何処に「不況の痛みを緩和しながら」の状況があるのでしょう。
セーフネットが雇用保険の削減とはまともではありません。法人税、所得税
を減税して社会保障を切り崩していくやり方は限界です。
●大手銀行への資本注入より、新規に銀行を立ち上げては?
大手銀行に注入するのではなく、新規に銀行を立ち上げ、ここに資金を投
入するべきと考えます。既存銀行に注入しても、不良債権処理に使われるの
みで、新規産業に資金がまわる気がしません。また、現在保有している不良
債権は、基本的にバブル時の無計画融資のツケであり、これは、銀行自身の
再編・淘汰という形で、(銀行として)責任を取らなければならない事だと思
います。(この際、預金者・預金についてのみ、国家として保証すれば良いと
思います)
また、新規に立ち上げる銀行について、思いきって若い人間を起用すれば、
既存銀行の若返りより、革新的なビジネスモデルを発見・実行してくれる可
能性が高まると思います。
●成長期から安定期に変わったことをふまえての構造改革を
その場しのぎ的な資金投入の継続により、現時点で既に、国家の借金額は、
(それこそ返済に困るほどに)極めて膨大です。このような状況にも関らず、
なお現在でも、歳入不足を更なる国債の追加発行に頼っている状況で、国家
の経済的信用は、既に無くなりつつあります(実際、個人向け国債は、売れ残っ
ているそうで…)。もう一段程度なら、短期的施策としての資金投入は、何と
か有り得るとしても、中長期的にはむしろ、「借金返済」こそが、健全な国
家経営の為の重要施策になると思います。
日本は既に、経済大国となっており、これ以上の安定的右肩上がり成長は、
有り得ないと思います。従って今後、かつての成長期のような指標に基いて
政策を立案することは、危険だと思います。
いま、必要な構造改革とは、成長期に適切な構造から、安定期に適切な構
造への構造改革だと思います。(バブル崩壊以後、この発想無く政策を組み続
けた為に、借入残高が膨らんだものと思います)
大村議員の政策も、成長期に適合する政策であり、「成長期→安定期」の
発想が欠落している、と考えます。日本の経済政策は、明治維新以後、基本
的に成長傾向で推移してきたと思います。しかし経済大国となった今、日本
には、安定期にふさわしい、今までとは根本的に別の政策・構造が必要であ
ると考えます。
●東アジア+ASEAN諸国による自由貿易圏について
アジア圏にEU相当の結びつきがあることは、非常に好ましいと思います。
ただし、「円」を基軸通貨とする等、「日本主導」を前面に打ち出したり、
「日本」をごり押しすることは、良くないと思います。「アジア圏の結びつ
きに、参加させてもらう」くらいの謙虚な姿勢が必要だと思います。(でない
と、戦前の「大東亜共栄圏構想」同様、軍を盾にさんざんごり押した挙句、
アジア諸国からかえって反感を買うような結果となってしまいます。また、
過去にこのような負の遺産があるため、当面、日本はアジアにおいて政治的
に主導権を握ることは不可能だと思います)
例えば基軸通貨については、「ユーロ」相当の新通貨を、アジア共同体で
発行できると良いと思います。
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編集後記 弘中百合子(ロゼッタストーン)
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絶対につぶれることがないだろうと思っていた企業が倒産したり、大手銀
行が次々に合併して名前が変わったり……。私たちは、時代の変わり目に生
きているのだと思います。
植田議員のいうような「需要を喚起する適切な公共投資」は、いつ、どの
ような形で必要なのでしょうか。それとも、いまはまだ、我慢のしどきなの
でしょうか。
未来総理と読者、一緒に知恵を出し合ってもらうために、みなさまから寄
せられた声も、なるべく多く、メルマガでご紹介していこうと思います。
「未来総理」の政策へのご意見、「こんな経済政策をしてほしい」というご
要望など、どうぞ、お寄せください。
掲載を希望されない方、実名をご紹介してもかまわない方は、ひとことお
書き添えいただけると助かります。また、ご意見を紹介してもよい場合は、
年齢、職業なども書いておいていただくと、参考になります。ご協力、よろ
しくお願いいたします。
ご意見、ご質問は
souri@rosetta.jp までお気軽にどうぞ。
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次号予告
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次号もテーマは「経済政策」に移ります。発行は4月21日です。
上田勇議員(公明党)・細野豪志議員(民主党)・春名直章議員(共産党)
が登場します。
※登場する議員は、変更する場合もあります。ご了承ください。
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未来総理メンバーの紹介
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「未来総理」に参加してくださったのは、次の19名の方々です。(敬称略)
◇衆議院
石破 茂(自民党・鳥取) 上田 勇(公明党・比例南関東)
植田至紀(社民党・比例近畿) 大村秀章(自民党・愛知)
近藤昭一(民主党・愛知) 鈴木康友(民主党・静岡)
達増拓也(自由党・岩手) 樽床伸二(民主党・大阪)
野田佳彦(民主党・千葉) 春名直章(共産党・比例四国)
細野豪志(民主党・静岡) 丸谷佳織(公明党・比例北海道)
山井和則(民主党・比例近畿) 山村 健(無所属・比例東海)
◇参議院
荒木清寛(公明党・比例) 有村治子(自民党・比例)
小池 晃(共産党・比例) 福島瑞穂(社民党・比例)
宮本岳志(共産党・大阪)
詳しいプロフィールを知りたい方、顔写真を見たい方は、ロゼッタストーン
WEBページで公開しています。⇒ http://www.rosetta.jp/
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