━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2003年3月24日発行 ━
●━━ 若手国会議員メルマガ『未来総理』 第29号 ━━━━━━━━●
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アメリカのイラク攻撃は、いっそう激しさを増しています。一方で、イラ
ク側も本格的な抵抗を始めてきたようです。戦争のニュースは、見ているだ
けで胸が痛みます。何もしなくても平和だった時代から、ひとりひとりが平
和について真剣に考えなければいけない時代になりました。今回も「未来総
理」たちの防衛論をご紹介します。
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★★★季刊ロゼッタストーン第13号 4月9日発売!★★★
●大特集「ハンディキャップに負けないで」
●未来総理にきく(1)「日本の防衛に有事法制は必要か?」
・石破茂防衛庁長官インタビュー
・特別寄稿
上田勇議員(公明党)/細野豪志議員(民主党)/
達増拓也議員(自由党)/福島瑞穂議員(社民党)/
春名直章議員(共産党)
●未来総理にきく(2)「日本の政治はハンディのある人に優しいか?」
・山井和則議員(民主党)インタビュー
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目次
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◎「防衛論」
▼達増拓也(自由党・衆議院議員・岩手・38歳・当選2回)
▼丸谷佳織(公明党・衆議院議員・比例北海道・37歳・当選2回)
▼鈴木康友(民主党・衆議院議員・静岡・45歳・当選1回)
◎編集後記
◎次号予告
◎未来総理メンバーの紹介
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■「いちばん根本的に守るべきものは“自由”です」
達増拓也(たっそたくや・衆議院議員・自由党・岩手)
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防衛論。何を守るのか。守るべきは、憲法価値。すなわち、国民主権、基
本的人権、そして平和。より根本的には、守るべきものは、「自由」。
「守るべきものは自由」と言い切るのは、リベラルですが、ラディカルで
す。「命よりも自由が大事」という考えだからです。人の命は地球より重い
かもしれませんが、自由は宇宙より大事。自由意志こそ宇宙進化の最先端に
して、新しい宇宙を生み出す特異点だからです。
アメリカ独立戦争の時、パトリック・ヘンリーは「我に自由を与えよ!し
からずんば死を!」と叫びました。デモクラシーは誕生の時から、死と隣り
合わせです。内外から迫る圧制との戦い。古代ギリシャや共和制ローマのデ
モクラシーも、市民による兵役の義務と不可分でした。
リベラルはラディカル、そしてトラディショナル。「デモクラシーとは死
ぬことと見つけたり」・・・これは、「武士道とは死ぬことと見つけたり」
(『葉隠』)のもじりですが、私は、デモクラシーというものは、本質的に
武士道と死生観を共にするものであると考えます。
『武士道』を書いた新渡戸稲造は、デモクラシーは「平民道」と訳すのが
いいと主張しました。明治時代の自由民権運動には、サムライ・デモクラシー
の迫力が感じられます。「板垣死すとも、自由は死なず!」
この覚悟があれば、国民の自由を守るための制度や戦略をどう構築してい
くかは、技術的な問題と言っていいでしょう。例えば、北朝鮮の兵器や工作
活動によって日本国民の生命、財産、自由が脅かされないようにするのは日
本政府の責任です。
アメリカの力を借りなくても対応できなければダメだと思いますが、同時
に、できるだけ国連の枠組みを使い、武力行使がやむを得ない場合も、日本
国民もブルーヘルメットをかぶって(国連軍に参加して)北朝鮮に乗り込む
形にするような工夫をすべきです。劣化ウラン弾など武士道精神に反する兵
器は決して使用してはならないこと、言うまでもありません。
ただし、日本には北朝鮮が持とうとしている量の500倍のプルトニウム
があり、その気になれば千発の強力核弾頭をすぐに作れます。ミサイルも、
テポドンよりはるかに高性能(失敗もあったが)のH-2ロケットがすでに実
用化されています。この潜在的能力が、北朝鮮に対してものすごい抑止力と
なっています。
「自由を守るためには命をかけるぞ!」という覚悟を多くの日本国民が持
てば、日本の潜在的能力の脅威は(抑止力は)一段と高まります。無刀流、
活人剣の境地です。兵法の目的は相手を撃滅することではなく、相手の心を
掴むことです。平和憲法下の平和兵法を練るべきです。武士道に則って。
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■「集団的自衛権を行使するか否か、議論をする時では?」
丸谷佳織(まるやかおり・衆議院議員・公明党・比例北海道)
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3月20日この原稿を書いている日、イラクに武力行使がなされました。
感情的にならないように、出来るだけ理路整然と書こうと努力していますが、
果たしてどうでしょう?
まず言えることは、このような武力攻撃という最悪の事態を迎え、感情的
な行動に走ったりパニックにならないためにも、有事法制という法規律が必
要であるということです。
反戦・平和は誰しもが望む共通の願いであり、世界各国が一斉に武力を排
除できるのなら、世界平和は簡単に実現できるでしょう。しかしながら現実
は大量破壊兵器を保有する国、独裁者の下で武力こそを外交力としている国
が存在する中、日本の防衛を冷静に議論し確立しておくことは国の大きな責
務の一つです。
私の考えの基本から述べさせていただきます。憲法9条の精神を厳守する
ことと、防衛体制を整えることは矛盾しません。核を保有しないという国是
も厳守すべきです。
日米安保を基本とするという政府方針も支持します。そこで、日本の防衛
と他国を含む地域的防衛の2つを考えることとします。日本の防衛は自衛権
によって、有事法制の他不審船などに対応できるよう法制化を図るべきです。
国会審議も今国会で行うなど速やかな対応が、国会の責務だと思っています。
日本の防衛で不足と感じる部分は、情報収集能力及び分析能力、権限を持
つ強いリーダーシップ下の緊急時の決定力と国民への説明責任を果たす能力
です。これらは全て克服できる課題で、機構改革と適する人材の登用からす
ぐに始めるべきです。
地域的なことで身近な議論は、どの外務大臣の答弁でも必ず出てくるよう
に、「北東アジアには依然として不確定、不安定要素が存在する」というこ
とで、北朝鮮のミサイル・核開発についてどのように対応すべきか?という
議論でしょう。
日米韓の緊密な協力体制の下、北の脅威に対応することが現実の選択肢で
あり、国連という場を通じて兵器の拡散を防ぐ外交努力も必要です。極端な
議論として金正日体制が崩壊すれば、不確定・不安定要素はなくなるのか?
内政干渉ではないか?という人もいるでしょう。(実際にイラクへの武力行
使の議論の際にそのような意見がでました)。
その議論は間違いで、間違った共産主義であれ社会主義の国であれ、大量
破壊兵器の保有やそれらの拡散という危険性を破棄すればそれで良いのだと
思います。その行為が自主的になされるか、他国や国連の圧力によって可能
になるのかの違いだけです。
また、北東アジアという地域で、非核地帯条約が締結できればそれに越し
たことはないのですが、現実的には不拡散条約を締結するように外交努力を
するべきです。
地域的防衛について具体的な例になりすぎてしまったようなので総論に戻
れば、集団的自衛権を行使するか否かは議論をする時が来たのではないか?
ということです。
日本全体の傾向性として「国連中心主義」と言うとなぜか安心できるよう
な、そんな雰囲気を感じます。本当に国連中心主義なら、正規国連軍への参
加はどうするのか、PKO任務は現在のままで良いのか等議論を深めるべき
です。
私の個人的な考えでは、近い将来ではないものの集団的自衛権は行使する
ことも必要ではないかと思っています。武力行使に参加すること・国連軍に
参加することは、まだ確信を持って結論に至っていません。
地域的な軍事的脅威に対して、武力行使以外の面で参加すること(現在の
枠を超えて)は今後検討すべきだと思います。当然慎重論もでてくるでしょ
うが、出口の決まった議論ではない真の議論をすることが大事だと思います。
平和は望むものだけではなく、構築すべきもの。20世紀の悲惨な経験か
ら、今も続いている中東地域の戦争に学ぶ叡智が、私達には必要です。
我が国として国連の機能強化・改革に全力を注ぎつつ、国際社会のダブル
スタンダードを埋める努力もするべきだと思います。無責任な平和論者では、
平和の構築に力を出せないとも思います。(やっぱりまとまりませんでした
か?ごめんなさい)
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■「北朝鮮への中途半端な対応は、百害あって一利なし」
鈴木康友(すずきやすとも・衆議院議員・民主党・静岡)
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●イラク問題
とうとうイラクへの武力攻撃が始まりました。質量ともに圧倒的な米英軍
が怒涛の進撃をしています。このメールが届く頃には、バグダッド陥落など
という事態になるかもしれません。
アメリカはついに禁じ手を使いました。国連決議も国際的なコンセンサス
もないまま、ブッシュドクトリンというアメリカの理屈だけを振りかざし先
制攻撃を仕掛けました。これは明らかに国際法違反です。
ブッシュ大統領は、攻撃に先立ちフセイン政権打倒という真の目的も明確
にしました。大量破壊兵器の破棄という目的だけであれば、国際社会の圧力
によって実効性があがりつつあった査察をより強化、継続し、もう少し成り
行きを見守るべきでした。
ここ1、2ヶ月、事態の推移を見守ったとしても、その間にイラクから大
量破壊兵器が拡散し、国際社会に大きな脅威となる可能性は極めて低いはず
です。それよりも国連での合意なくして軍事行動を起こし、その機能を破綻
させることの方が、その後の国際社会に与える影響は重大であるといわざる
をえません。
●日本の対応
国際的な合意を得ぬまま、ある国が他国へ武力攻撃を仕掛け、その国の政
権を打倒するということは、たとえ相手国が独裁政権であったとしても許さ
れることではありません。国際法違反の疑いのある米国の行動に、小泉総理
はすかさず支持を表明しました。
しかもそれまでは態度をあいまいにし、新たな国連決議なき武力行使に対
する日本の態度について、「その場の雰囲気で考える」などとうそぶいてお
いて、一方で国連の場ではいち早くアメリカ支持の訴えをし、経済援助を背
景にODA相手国に支持工作をはかるなど、姑息な行動をしてきたのです。
国際社会の秩序が破壊されるかもしれないという重大時に、国民に説明責
任を果すことなく、盲目的に米国の行動を追認する政府の姿勢は容認できま
せん。
もちろん北朝鮮問題などを抱え、日米関係が極めて重要な2国間関係である
ことは、十分理解しているつもりです。しかし国連中心主義、国際協調主義
を外交の基本姿勢においてきた日本としては、少なくとも国連決議を得るま
で米国の軍事行動を抑えることができなかったのか残念でなりません。
●北朝鮮問題、有事法制
日本にとって、中長距離ミサイルを保持し、核開発を明言した北朝鮮の存
在は安全保障上の脅威です。この国に対しては中途半端な対応は、百害あっ
て一利なしです。その点昨年9月の対北朝鮮小泉外交は、極めて中途半端だっ
たといわざるをえません。今後米国、韓国のみならず中国、ロシアなど関係
諸国との綿密な連携の中で対処していく必要があると思います。
一方で不測の事態に対する備えも十分にしておかなければなりません。日
本が今後強化しなければならないのは、ミサイルへの対応とテロ、ゲリラ対
策です。通常兵器による正面攻撃であれば、今の北朝鮮は自衛隊の敵ではあ
りません。近代戦の勝敗は米英のイラク攻撃でも明白なように、装備の質と
量で決まってしまいます。その点現在の自衛隊はかなりの戦闘力を有してい
ると思います。
問題はミサイルなどへの対応とテロ、ゲリラに対する備えです。ミサイル
防衛システムはその有効性を含めて研究の価値はあると思います。一方で、
テロ対策などに十分配慮した有事法制の整備は、喫緊の課題です。冷戦終焉
後、大規模な軍隊が日本に侵攻するという可能性はほとんどなくなりました。
しかし一方で、テロ、ゲリラなどの起こる危険性は格段に高まったといえま
す。
地下鉄サリン事件を経験し、9.11のテロでビルが崩れ落ちる様子を目の当
たりにした私たちは、映画やゲームのバーチャル空間ではなく、現実世界で
起こる破壊活動の恐怖を思い知ったはずです。こんなぶっそうな世の中は嫌
だと目や耳をふさいでいても脅威はなくなりません。現実を直視して国の安
全を考える時代が到来しました。
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編集後記 弘中百合子(ロゼッタストーン)
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これまでの戦争はどこか「対岸の火事」的な雰囲気がありましたが、今回
のイラク攻撃に関しては、日本国民の間でもかなり関心が高いようです。
思えば、ほんの半年前、「日朝平壌宣言」で、なんとなく北朝鮮との雪ど
けムードが感じられました。拉致被害者の一部も帰国し、事態はいい方向に
向かっているのだと当時は信じていました。「イラクの次は北朝鮮か!?」な
んて声を聞くと、この半年間での状況の変化に改めて驚きます。
なんでこんなことになっちゃったんだろう……と、ため息がでます。いま
はただ、戦争が早く終わるように、祈るのみです。
ご意見、ご質問は
souri@rosetta.jp までお気軽にどうぞ。
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次号予告
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次号のテーマも「防衛論」。発行は3月31日です。
小池晃議員(共産党)、近藤昭一議員(民主党)が登場します。
※登場する議員の顔ぶれは、変更する場合もあります。ご了承ください。
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未来総理メンバーの紹介
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「未来総理」に参加してくださったのは、次の19名の方々です。(敬称略)
◇衆議院
石破 茂(自民党・鳥取) 上田 勇(公明党・比例南関東)
植田至紀(社民党・比例近畿) 大村秀章(自民党・愛知)
近藤昭一(民主党・愛知) 鈴木康友(民主党・静岡)
達増拓也(自由党・岩手) 樽床伸二(民主党・大阪)
野田佳彦(民主党・千葉) 春名直章(共産党・比例四国)
細野豪志(民主党・静岡) 丸谷佳織(公明党・比例北海道)
山井和則(民主党・比例近畿) 山村 健(無所属・比例東海)
◇参議院
荒木清寛(公明党・比例) 有村治子(自民党・比例)
小池 晃(共産党・比例) 福島瑞穂(社民党・比例)
宮本岳志(共産党・大阪)
詳しいプロフィールを知りたい方、顔写真を見たい方は、ロゼッタストーン
WEBページで公開しています。⇒ http://www.rosetta.jp/
各議員のホームページにもリンクしています。
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