第4回 包み紙ビリビリに、返品&交換の嵐……
これってアリ? の海外プレゼント事情
こんにちは!
新しい年が始まって、はや半月。年末年始の特番でにぎわっていた新聞のテレビ欄にも、ようやく落ち着きが戻ってきました。基本的にすべて「再放送」のため、いつもは季節関係ナシの海外ドラマでも、この時期だけは特別にクリスマスやニューイヤー関連のエピソードが放送され、大盛り上がりでしたよ。
今回は、そんな中で見つけた、「そーいえば気になる」出来事をご紹介。
クリスマスや新年に、家族や友人同士でプレゼント交換をするシーンがいくつもあったのですが、どれも日本人にとっては不可解な行動ばかり。 ドラマで描かれている、アメリカ人のプレゼント事情を早速追ってみました!
その1 包装紙は勢いよくビリビリ破るのがお約束
「アリス、君のために選んだよ」―。
愛するボブから、こんなセリフとともに渡されたプレゼントの包み、アナタならどうしますか?
日本人の場合、包みの目立たない場所についているシールかテープを爪で“カキカキ”引っ掻いてキレイにはがし、破れないようそうっと包装紙をめくって中身を取り出す……のが一般的。
ところがアリスは、「キャー、うれしい!」と大声で叫びながら、ものすごい勢いで包装紙をビリビリ破ったあげく、ぐしゃぐしゃ、ポイッというありさまなのです。その間、ボブも周囲もなぜかニコニコ。日本だと、「こんなガサツな子に育てた覚えはありません」と母親からお叱りがきそうなシーンですが……。
そう、あちらではこのガサツさこそが、プレゼントを受け取る側の“当たり前のマナー”なんです。
感謝の気持ちを相手に伝えるため、包みはできるだけ早く、豪快に開けて中身を取り出し、さらに大げさに振舞うのが正しいプレゼントの受け取り方。どんなにキレイに包装されていようが、知ったこっちゃありません。
反対に、のろのろと手間取っていたり、別の場所でこっそり開けるのはマナー違反。
「アナタからの贈り物はうれしくない」という意味にとられてしまうのだそう。
美しい柄の包装紙やリボンもプレゼントのひとつと考え、大事にとっておき再利用する習慣が多い日本では、ちょっとビックリするこのマナー。 文化の違いをつくづく感じさせられます。
その2 読めなくて当たり前!? のメッセージ
日本ではまだ照れくさくて……という人も多い「メッセージカード」。
アメリカではメッセージカードはプレゼントに欠かせないもので、しゃれっ気のない売店でもたいていスペースが作られています。
ドラマでもプレゼントに添えたカードを読むシーンは多いのですが、毎回飲みものを吹き出しそうになるほど衝撃を受けるのは、カードに書かれた字の汚さ!「ねぇちょっと、愛する人へのメッセージなのに、そんな汚い字でいいわけ?」と、今までに何度テレビ相手に突っ込んだことか。 例えれば、利き手と反対の手でペンを持ち、目をつぶって書いた……ような感じでしょうか。「下手」なのではなく、とにかく「汚い」に尽きるのです(笑)
カードの字を見た限りでは、これを書いたのが男性か女性か、ましてや大人か子供かの判断はほとんどつきません。大げさな話じゃありませんよ、実際にドラマの中でもカードの字が読めず笑ってごまかしたり、「この書類、なんて書いてあるの?」なんて担当者に問い合わせするシーンはしょっちゅう出てきます。 要は、読む側を意識して文字を書かないお国柄というわけ。
でもいいんです。ここはアメリカ。そもそも日本と違って「字をキレイに書く」ということに、ほとんどこだわりがないのです。
一応、小学校低学年に「習字(ペン字)」のクラスはあるようですが、それも年々減ってきているのが現状、さらに小学生でさえも課題はパソコンでプリントアウトしたものを提出するのがフツー……ということからも、教育的にも「字」にそれほど比重を置いていないのは明らかです。手書き文字を書いて読む機会が少ないから字への思い入れも少ないのでしょう。
それに比べると、日本は「手書き」がとても重要視されています。なんたって手書きの字は文章以上に秘めた感情を伝えることもできる最高のツールですから。
いつもは難解なボブの字も、今回は「Merry X'mas」だったためセーフ!
いや、その前にアリスは字のキレイ汚いを気にすることもなく、カードを眺めたのでした。
その3 クリスマス後は「返品」ラッシュでデパートが大行列
さてクリスマスの翌日、アリスが並んでいるのは、とあるデパートの「返品・交換コーナー」。手にはなんと、昨晩ボブからプレゼントされたブローチの箱が! あんなに喜んでいたはずなのに、いったい何が……??
実は、これもアメリカではよくある光景。
アメリカでは、返品・交換システムが日常化していて、たとえ大切な人からのプレゼントでも、気に入らない、使わないと思えば、さほど罪悪感を抱くこともなくさっさと返品し、返金や交換してもらうのがフツーなのです。年末は何かと物入りなので、不用品をすぐ処分したいという人が多いんでしょうね。
アメリカ人のシビアさにはビックリですが、さらに驚かされるのは、未使用のプレゼント品だけでなく、使用済みの商品も返品OKな店が多いこと!毛玉のついたセーターや、使用感たっぷりの電化製品なども、「気が変わった」「似合わない」「使いにくい」などのもっともらしい(?)理由とレシートがあれば、あっという間に現金か最新商品に変身してしまうのです。
あきらかに欠陥品など、誰もが納得する理由がないと返品不可が多い日本ではおよそ考えられないけれど、あちらでは法的にもしっかりした制度が設けられているそう。さらに、返品を断ったゆえにいわれの無い因縁をつけられ、裁判で数千、数億ドル奪われるよりはマシと考える店側の思惑も大きいようです。
ちなみに、返品された品々は「アウトレット」で販売されるので、店側もそこまで大きな損害を被らないというしくみ。うまくできていますね。
以前に比べ、返品の条件が厳しくなったとも言われますが、まだまだ「返品天国」のアメリカ。ドラマにもよく返品シーンが登場しますので、返品する側、される側のセリフにも注目してみてください。
2011.1.19 掲載
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