第3回 アメリカの学校のナゾ
知ってそうで知らない、アメリカの制度にクローズアップ!(後半)
こんにちは! 年末年始のテレビ放送スケジュールが揃い、今から「どれを観て、どれをあきらめる…?」に頭を悩ませている今日この頃。電車の中で3色ペン片手に必死の形相で番組表をチェックしている怪しい人物がいたら、それは私です。
さて今回は、アメリカ系のドラマや映画を観るにあたり“知っておきたいジョーシキ”編の後半。日本と比べてナゾ(?)も多い、「アメリカの学校」についてお伝えしたいと思います。
その1 「10歳なのに大学生?のナゾ」
小学生の頃、海外ドラマデビューしたての私が何より驚いたのがこのシチュエーション。あどけない声と半ズボンの10歳児がなぜか高校や大学に通い、スクールライフを満喫…という日本ではありえない光景が、アメリカでは現実にあると聞いて本当にビックリしたものです。もちろんこれは極端な例だけれど、優秀な生徒の可能性を広げるために「飛び級制度」の盛んなアメリカでは1〜2学年を飛び級するのは珍しくないそう。
ただし私が見た限りでは、ちびっ子エリートたちが好意的に描かれているドラマ作品は少ないよう。年齢を盾に逮捕を免れる冷酷な犯罪者とか、クラスメイトとなじめず(そりゃそうだ)いじめ相手に頭脳戦で復讐をもくろむ生徒……みたいな設定はよく見かけます。これってもしかして、みんなやっかんでるから?(笑)
その2 「年と合わない学年のナゾ」
飛び級とはまた別の話になりますが、日本では特別な事情がない限り、義務教育の間は「●年生」と聞くだけで年齢が分かるもの。例えば中学2年生なら13歳か14歳といったぐあいで、4月2日から翌年4月1日生まれまでを同じ学年とすると法律で定まってもいます。ところがアメリカには、そんな決まりはナッシング! 学区ごとに設定が異なるケースがほとんどなのです。たとえば1月1日生まれから12月31日生まれを同じ学年とするところから、9月1日〜翌年8月31日までとする、などさまざま。だから転校したとたんに、ひとつ上や下の学年に変わってしまう…なんてこともあるわけです。先輩後輩の区別など、学年を重んじる日本人にとっては、非常に混乱しそうなお話。
ちなみに学校制度も地域によって変わり、日本のように小学6年-中学3年-高校3年と全国的な統一もありません。5-3-4制や6-2-4制が多く、高校までは義務教育です。そのため、日本のように小学●年生という呼び方はあまりせず、1年〜12年生と通しの学年で呼ぶことが多いんだとか。これで、「ハイスクール11年生」なんていう字幕を見ても、「おお〜? いったい何年留年してるわけ?」と驚かずにすむかも。
その3 「受験生や浪人生がいない……のナゾ」
全国で4000校以上と、日本の数倍もあるアメリカの大学。にも関わらず、お受験がテーマの映画やドラマは、皆無といっていいほど。それもそのはず、実はアメリカの大学には日本のような「入試」システムが存在しないのです。
じゃあ、何を基準に合否が決まるのかというと、ズバリ書類選考。要は誰もが推薦入学だったんです。在学中に何度か行われる統一試験の結果も大切だけれど、それよりも重要視されるのは「高校生活の総合実績」だそう。高校の成績表と推薦書はもちろん、クラブやボランティアなどの課外活動の記録がモノをいうってわけ。志望理由を綴ったエッセイのほかに、入学審査の担当者に自らアポをとってインタビュー(面接)を申し込むのも当たり前のようで、自分の売り込みも必須要素。人間性が問われる分、日本よりもある意味大変かもしれません。しかもコネや親の寄付額も選考基準のひとつというあたりも、いかにもアメリカらしい気がします。
ところで希望の大学に入れなかった場合はというと、誰にでも門戸が開かれている「コミュニティカレッジ」という州や市が運営する2年生の学校にひとまず入学し、一定の単位を得たところで4年制大学に編入を目指すというパターンが一般的。ほかにも、ボランティア活動やインターン、留学、旅行などを経てから改めて大学にチャレンジする「Gap Year」と呼ばれる人も多く、日本の浪人生にありがちな悲惨なイメージは全くないのが面白いところです。そのあたりは、「大学で学んだ」事実が大切で、入学や卒業年齢にあまりこだわらないアメリカの懐の大きさを感じさせられます。
『Glee』や『ゴシップ・ガール』など、アメリカでも人気の学園ドラマ。こんな背景が分かれば、もっとハマッてしまいそう。どちらも次シーズンの放送が待ち遠しい限り。見逃さないよう、番組表チェックは今日も欠かせません!
2010.12.13 掲載
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