第5回 親子で同じ寝室はセクハラ!?
ドラマで知るアメリカの子育てルール
こんにちは!
まだまだ寒さが厳しい今日この頃ですが、先日思い立って部屋の模様替えを決行!カーテンやベッドリネンをパステル系に替えたとたん、グンと春めいてスッキリした印象になりました。心なしか仕事もはかどるような?気分が変わる模様替え、おススメです!先ほどパステル……と書いたように、年甲斐もなくロマンチック系インテリア好みの私ですが、何といっても参考になるのは海外ドラマに出てくるさまざまな“子供部屋”。色使いも質感も、柄のセンスも何から何まで日本とは違い、もう、叫びたいくらいに「カワイイ〜」がいっぱい詰まっているのです(個人的に好きなのは『The OC』のサマーの部屋)。駆け足の映画と違い、何十話にわたって登場人物の生活ぶりをじっくり見ることができるのも海外ドラマの魅力。ストーリーを追うのはもちろんですが、インテリアチェックやファッションチェックも楽しみのひとつです。みなさんもぜひ、ドラマで好みのお部屋を見つけてください。
ちょっぴり前置きが長くなってしまいましたが、今回はこの「子供部屋」から見えてきた、アメリカ流子育ての“そーいえば気になるナゾ”を検証します!
ナゾその1 「生まれてすぐの赤ちゃんも、パパママとは寝室が別」
「あの湿疹、心配だわ。明日エミリーを病院に連れて行きましょう」。夜、こんな風に夫婦が寝室で言葉を交わしたあと、ベッドランプを消すのはドラマではしょっちゅう見かける定番シーン。でもちょっと待って! 昼間抱っこしていた2人の赤ちゃん・エミリーがどこにもいないのです。よく見ると、ベビーベッドも要常備のおむつセットもなし。生後1か月も経っていないというのに、エミリーはいったいどこへ……?
……と、日本人ならものすご〜く心配してしまいそうなシチュエーションも、アメリカではいたってフツー。そう、たいていの赤ちゃんはマイ寝室を持っており、生まれたその日から親と離れてひとりで寝るのが一般的なのです。じゃあ、赤ちゃんが泣いたら?おむつ替えは?何か事故があったら?というギモンもノープロブレム。両親のベッドの脇には、赤ちゃんのベビーベッドと結んだベビーモニターやトランシーバーが置かれてあり、何か異常を感じたらすぐに駆けつけるというシステムになっているのです。
そう聞いてもまだ沸いてくるのは、「なぜ赤ちゃんと離れて寝るの?」というギモン。親なら赤ちゃんの吐息を感じたいし、赤ちゃんも親のそばで安心して寝たいはず……、日本流子育ての体験者ならそう思うことでしょう。そこが、日本とアメリカの大きな違いなんですね。アメリカは何においても“自己主張”が求められる国。赤ちゃんの頃からそれをしっかり教え込むことが、親の責任でもあるのです。だから、あえて離れて寝ることで、「何かあったら泣いて主張」→「呼べば親がやってくる」→「呼ばないと来ない」→「行動しなければ何も得られない」という暗黙の社会性を身につけさせているのだとか。
なるほど、アメリカ人の“自分アピール力”の高さの理由はこんなところにあったのですね。'50〜'60年代のアメリカが舞台のドラマ『MAD MEN』でも乳児とは別室で寝るシーンが出てくることから、古くからの習慣、考え方だと分かります。ただ、親子の寝室が離れているゆえに、赤ちゃんがさらわれたのに気づかなかった……という展開の犯罪ドラマも多し。まさに一長一短、悩みどころと言えそうです。
ナゾその2 「子供と同じ寝室は性的虐待の疑いもあり!?」
たった今、夫婦と子供で寝室を分けるのはわが子の自立のため……と書きましたが、実はもうひとつ理由があるんです。それは、ずばり「夫婦生活安泰」のため!日本では出産直後の女性は何よりも「母」としての務めが優先されるのに対し、アメリカでは「母」であることと同時に、いやそれ以上に「妻」もしくは「ひとりの女性」であることが求められているのです。もちろん本人もそう希望しています。だから出産後子供の世話だけに時間をとられ、夫とのラブな生活をなおざりにしようものなら、即離婚なんていうケースもざら。いくら大切なわが子でも、夫婦のラブな時間をぶち壊されてはたまらないのです。実際、両親の寝室は子供部屋とは離れた場所にあり、内側からカギがかけられる造りの家が多いそう。ここからも子供との絆と夫婦の絆は別モノという考えが分かります。
さらに、子供と同じベッドで寝るのは性的虐待やセクハラと認識する親も多いのだとか。いくら生まれたての赤ちゃんといえども、子供に親の性行為を見せるのはわいせつ行為と解釈されるわけですね(実際に通報されたケースもあるそう)。住宅事情が違うとはいえ、この徹底ぶりには驚かされます。さあて、日本はどうでしょうか。
ナゾその3 「12歳以下の子供をひとりにすると犯罪!?」
ズバリ、答えはYES。アメリカでは、12歳以下の子供を大人の監視の無い所には置いてはならないという法律(児童法)があります。家だけでなく、車の中やショッピングモール、旅行先のホテルの部屋さえもその対象。州によって基準は異なるようですが、例えば旅先のホテルで両親がタバコを吸いにちょっと外へ、というのももちろんNG。従業員に通報されて御用、というケースも多いそう。日本に比べ通報システムがしっかり構築されていることもあって、不信に思ったらすぐ通報する人も圧倒的に多いのです。というより、知っていて通報しないと罪に問われる場合もあるから、みな必死です。そういえば、日本の赤ちゃんに生まれつきある"蒙古斑"を見て虐待の痕だと思い込み、通報するナースも多いんだとか。
ところで、そんな厳しい法律がありながらも2人っきりのディナーを楽しんだり、深夜までパーティーに参加したりと、かな〜り楽しんでいる印象があるアメリカ人の夫婦。その間子供達はというと、シッターさんと一緒に過ごしているんです。こちらではシッターさんは、子育てに欠かせない存在。時給10ドル〜とお手軽なこともあって、週何回もお願いする家庭も多いそう。
ですが、ここで気になるのはそのシッターさんの素性。会社経由で派遣されるシッターさんは高いため、ネット求人や口コミで探すケースが一般的。そのため資格や経歴を細かく問わずに決めてしまうケースもよくあるそう。それってとっても危険だと思いませんか?ドラマでもよくあるんですよ。いい人そうに見えるシッターさんが、実は復讐のためにその家に入り込んだ……というパターン(笑)。異常なほど神経質だったり、まったく構わなかったり……。そのギャップの激しさにつくづく、アメリカっぽさを感じます。
2011.2.23 掲載
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