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第140回 伝統歌舞伎を担って

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市川海老蔵

2月13日、市川海老蔵さんは十三代目市川團十郎白猿(はくえん)襲名をひかえて記者会見に臨んだ。歌舞伎に興味ある欧米の特派員に加えて、熱心な海老蔵ファンのアソシエイト会員たちが会場に詰めかけた。海老蔵さんは、来年の5、6、7月の東京・歌舞伎座を皮切りに各地で襲名披露する。同時に5歳の長男である堀越勸玄(かんげん)さんも八代目市川新之助を襲名する。

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海老蔵ファンも多数参加

約1時間の記者会見は司会レオ・ルイス氏(英国フィナンシャル・タイムズ特派員)からの質問に続き、一問一答の形で行われた。

* * * * *

質問:日本人口の高齢化に従って歌舞伎の観客が減っている。観客層を広げるために、どういう取り組みをしているか?
海老蔵:日本の高齢化に従って、高齢者に愛され、かつ若い人に繋がる仕事をしなければならない。自分は六本木歌舞伎、自主公演「ABKAI(えびかい)」の公演を続けている。歌舞伎の海外公演にも取り組んでいる。

質問:生まれた時から歌舞伎の世界に入る息子の勸玄くんへのアドバイスは?
海老蔵:(自分は)3歳のころ父に歌舞伎役者になるかと聞かれ「はい」と答えた。息子の勸玄はもっと明解にやりたがっている。例えば幡随院長兵衛の長松のセリフを覚えてきたと思ったら、私の分のセリフまで覚えて、その意味を聞いてくる。しかしながら、強制ではなく、前向きに教育できる環境を維持したい。

質問:歌舞伎は(休演が設定されてなく)拘束期間が長く、俳優の人生は会社の所有物であるかのようだと、批判されることがある。
海老蔵:島国の日本では25日間連続の興行など抵抗なく行われている。これは俳優側の問題ではなく、経営側が認識を改め、体制を変えていくしかない。海外からの意見の影響を受けて、変化が起きてきている。アーチストも不満がある場合は、違う世界に旅立って経験を積まなくてはならない。日本の芸能界にはお互いに越えなければならない壁がある。

質問:歌舞伎役者の家系に生まれて、将来が決まっているのは安心であったか?
海老蔵:成功が約束されているわけではないので、むしろ不安であった。持って生まれた宿命と認識し、時間をかけて課題に取り組むことが出来た。

質問:襲名公演3カ月の演目は何を考えているか? 海老蔵から團十郎になっても高野聖などで玉三郎さんとの共演は可能か?
海老蔵:5、6月は市川團十郎としての演目を予定。7月になるとオリンピックの期間と重なるので演目を変える。泉鏡花の高野聖なども、玉三郎兄さんと機会があればぜひしたい。

質問:はじめて歌舞伎を見る人へ、歌舞伎の楽しみ方は?
海老蔵:日本のイメージには富士山、芸者、忍者などがあり、歌舞伎でその人たちの人情の機微を扱った作品がある。言葉の壁があるものの、まず歌舞伎では色彩を楽しんでほしい。次に音楽表現方法、さらに荒事など、パフォーマンスを楽しんでほしい。是非とも歌舞伎一八番を見に来てください。

質問:プレスクラブの特別企画委員会では5月の公演に50席を既に予約している。この会場を眺めると、50席では収まりそうにないので、その時は海老蔵さん、よろしくお願いいたします。
海老蔵:誠に深く感謝いたします。ありがとうございます。

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襲名時の演目について質問する筆者

2019.2.25 掲載


著者プロフィール
渡辺 晴子(わたなべ はるこ) : HKW、シカゴ・サン・タイムズ、アジア新聞財団(東京支局長)を経て、現在HKW代表 メディア・リポート特派員。30年来の(社)日本外国特派員協会会員で、副会長、理事、監事、選挙管理委員長を歴任し、現在は特別企画委員長、永世会員。同協会の取材活動、文化事業を企画している。また上智大学講師、ユネスコ「女性とメディア」開発コンサルタントとして内外のジャーナリストを育成。
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