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第11回 「ふしぎなナイフ」
「ふしぎなナイフ」(福音館書店)
中村牧江/林健造・作
福田隆義・絵
定価:765円(税込)
私的おすすめ年齢 1歳〜
家庭で「ナイフ」を見て触ったら
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おかあさん、
ナイフが、ほどけてるよ!
最近、世の中では、
「脳を活性化させる」というゲームやクイズなどが、よくとりあげられております。
しかし、「活性化」って、どういう意味なんでしょう? まったくもって、わかりません。
もちろん、その手のモノで自分のノーミソが元気になるとか、まったく思っちゃあおりません。
ただ、編集やライターの仕事をしているので、
「発想を豊かにする」
ということならわかります。
「お前は頭が固い」
「物事は横から、斜めから見るもんだ」
「もっと違う発想で考えられないのか」
などと、小言を言われたことはありませんか?
そんなときに、
「発想を豊かにするとはこういうことか!」
と、わからせてくれるのが、この本です。
表紙にあるように、
どこのご家庭にもあるようなナイフが、1本あります。
「ふしぎなナイフ」といいます。
ページをめくることに、
「ふしぎなナイフ」は、変化します。
まず最初は、「まがる」。
Uの字に曲がる。これはまだ、想定の範囲内です。
つぎは、「ねじれる」。
ひと曲がり、ふた曲がり、刃の部分がねじれたナイフ。これも……、まだ想定の範囲内でしょう。
しかし、だんだんと思いもよらなかった変化をするようになります。
ふしぎなナイフが「われる」。
なんとまあ! 刃の部分が割れています!
そして、「とける」。もう、想定の範囲外です!!
ふしぎなナイフが「きれる」では、
刃の部分が千切りに!
……ナイフは切る、ではなく、切れています。
もうここからは、本を読んでのお楽しみ。
わたしは「ほどける」が一番好きです。
思いもよらないこと、発想を豊かにするとは、まさにこういうことではないでしょうか。
「もっと、どんなふうになるかな?」
と、子どもと一緒に考えても楽しい。
「じゃあ、イスもほどけるかな!」
と、子どもは楽しく発想して、会話を転がしてくれます。
自宅のナイフを手に取りながら、ぜひ親子で読みたい1冊。それから、「頭が固い」人、「脳を活性化させたい人」にも、オススメです。 |
2006.8.22 掲載
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