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第7回 「けんか山」
「けんか山」(草土文化刊)
北彰介・文 前川かずお・絵
定価:1260円(税込)
私的おすすめ年齢 3歳〜
「天にかみさまがいる」というお話のセオリーがわかるようになったら
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息子「けっぱれ、けっぱれ、おかあさん♪」
ハハ「勝った〜、勝った〜勝ったすけ♪」
これも、図書館で
「あと1冊借りれるな〜」
と適当に借りた本でした。
青森県の民話。
しかも、文章は方言バリバリ。
そして、主人公は山です。
方言って、子どもによくわかんないんじゃないか〜?
説明するの面倒くさい〜!
などと思っていたのですが、
私は、方言の魅力を再認識したのでした!
青森県を代表する山が登場する絵本です。
神様が、天地創造のあと?だと思いますが、
「なんぼさみしいけしきだな。
ひとつやまでも作ってにぎやかに
してやるべか」
などといい、
そこらにあった石っころを
ざざーっと海にぶちまけた、というところから始まります。
ガギッガギッ ガギガギ コボーッ
と、最初に顔を出したのが、八甲田山。
おお!あの兵隊さんがたくさん死んだ……
とは、子どもは思うわけありません。
ポカポカ、小さい山ができたあと、
北のほうに出てくるのが恐山。
八甲田山は、
「おらが一番乗りだから、おめえらみんなけらいだど」
なんていうのですが、そこに恐山が名乗りを上げる。
「おらはこうさんしねえ。おまえよりもっと高くなってみせらあ」
と言って、
息を吸い込み、ふうっと吐き出しながら、少しずつ大きくなる。
ズズーン
この、「大きくなり方」がポイントです。
結局、恐山は八甲田山より大きくなれず、
「よくもでっけえくちをきいたな」
と恐山にげんこつをくらわす。
そのときできたのが、いま恐山の頭にある湖、なのだそうな。
次に出てくるのが、岩木山。
これは「あまっこ」だそうです。
さわー
と大きくなって、八甲田山とせいくらべをするんですね。
頭から煙や火を出して、
周りに迷惑をかけながらけんかをするふたつの山。
最後は、
「つまんねえけんかはやめろやめろ」
と神様が、ふたつの山の頭をひねりとる。
だからいまの八甲田山は頭が8つに、
岩木山が三つにわかれているのだ、という話。
息子は、まず、方言に反応しました!
「けっぱれけっぱれ、恐山!」
「ごほんごほん、けむてえけむてえ」
「勝った、勝った、勝ったすけ」
青森弁って、かわいい。
運動会に、
「けっぱれけっぱれって応援しようか?」
と言ったら、やめて〜と息子。
なんとなくわかるもんなんだよね。
がんばれ、って意味が。
説明しなきゃって思った私が過保護母だった。
最近、おふろで「けんか山」ごっこが流行ってます。
ひざを山に見立てて、
ガギッガギッ ガギガギ コボーッ
と八甲田山が出てきました〜!
そして北のほうに、
息を吸って吐き出して〜
ズズーン
恐山。
さわ〜
岩木山!
おらのほうがたかいべ!
と言いながら、息子と二人、
風呂からひざの出し合いっこをしています。
最後に息子に聞いてみた。
「どの山がすき?」
やっぱり強い八甲田山? なんて思ってたら、
「ちいさい山たち」
だって。
そうだね。強くなくたって、みんなすてきだよね。 |
2006.3.20 掲載
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