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第6回  「ももたろう」

ももたろう

「ももたろう」 三起商行(ミキハウス)刊
絵・湯村輝彦 文・川崎洋
定価:1575円(税込)
私的おすすめ年齢 2歳〜
ストーリー絵本がわかるようになったら


ももたろう、舟をこぐ!
じゅばっしゅう、じゅばっしゅう……。
おかあさんも、ちゃんと舟(ソファ)に乗ってなきゃ!


昔話の定番といえばこれ。ももたろう。
図書館へ行くと、まああることあること。
いろんなももたろうが、どっさりあります。
そんななかでも、他と一線を画しているのが、
このミキハウス版のももたろうです。

ミキハウスの本、大好きなんですよ。
他の昔話本と違う、アカヌケ感がいい!
なんたってももたろう、
絵はヘタウマイラストの元祖、湯村輝彦さん!
文の川崎さんと言う方は知らなかったのだけど、
文章のリズム感が軽快で、
湯村イラストにぴったりマッチしてます。

「ももたろうどん、どこいくの?」
「おにがしまに、おにをこらしめに」
「こしにさげたの、なんだい」
「ばさまがこさえた、にっぽんいちのきびだんご!」
「ひとつおくれ、おともするから」
「うん」

という、定番のやりとりが、
ももたろうの魅力。
息子も「ももたろうごっこ」、夢中になってやってました。
2〜3歳くらいに、日本の子どもが通る道なのでしょう。
犬、サル、キジの役を、よくやってあげたものです。
ビー玉やつみきなどで、
きびだんごも作って袋に入れ、
腰に下げてやるとえらく喜びます。

さて…。

かつて、戦意高揚に利用されたと言われる「ももたろう」ですが、
現代版では、いろいろと配慮もなされてます。

鬼たいじ、ではなく、鬼をこらしめに。
なぜなら、鬼が「はたけの野菜をとっていった」り、
「こどものおもちゃをとりあげた」りしたため。

犬、サル、キジは、家来ではなく「なかま」になる、などなど。

もうわるいことはしないとあやまった鬼たちは、
その後にんげんと仲良くなった、となります。

気を使いすぎているとか、いろいろご意見ありますが、
21世紀のももたろうは、これでいいんじゃないでしょうか。

かつての、有無を言わせず、
異形のものを「退治」にいくってのも、
今では違和感を感じます。
おはなしの筋を変えすぎずに、
うまく時代に合わせたバランス感が絶妙なのです!

斬新な絵と、軽快な言葉の流れ、
そしてところどころにかくれている、隠し絵的な遊びなど、
子どもの感性をゆさぶるにはぴったりの1冊です。

絵本で遊ぶ応用編としては、
犬、サル、キジのやりとりだけでなく、
この本1冊、通して演劇みたいに演じてみる、
なんて遊び方もよくしていました。

ソファを船に見立てたりして、
息子がももたろう役、私がその他の全部の役。
本を広げて、せりふで最初から最後まで演じるのです。
「おはなしごっこ」といって、いろんな本でやりました。
楽しいので、ぜひやってみてください!

突然、子どもがおもしろいアレンジをしたりするのを見ていて、
「想像力」が高まるのだなあ、と思いました。
それって、今の時代に一番必要なことのように思えます。

2006.3.6 掲載

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