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第5回 「そんごくう」
おはなしめいろせかいのたび「そんごくう」(フレーベル館刊)
杉山亮・作 和歌山静子・絵
定価:1000円(税別)
私的おすすめ年齢 4歳〜
自分でひらがなが読めるようになったら
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「にょいぼうをふりまわして、
せんぷうきのかわりもできますだって〜!(ゲラゲラ)」
調べてみたら、「西遊記」って、16世紀、
中国が明の時代に書かれたお話だそうな。
何百年も前のお話でも、おもしろいものはおもしろい。
そうつくづく思いながら、やはりたまたま見つけた絵本なのでした。
息子が、戦い好きというのは、前にも書いたとおり。
それは仮面ライダーだったり、ポケモンだったり、
桃太郎だったり、孫悟空だったりしたわけでした。
ちょうど、テレビで、
香取慎吾ちゃん版「西遊記」が始まるちょっと前でした。
テレビにも夢中! でも、この絵本にも夢中!となった息子。
一緒にいろいろ図書館で借りたけど、
これだけ何度も何度も自分で読んでいるのです!
「おはなしめいろ」と銘打っているとおり、
見開きの半分は文字のめいろになっています。
それをスタートの文字から正しく進めてゴールまで行けば、
お話が進んでいくという仕掛け。
ほかにも、「さんびきのこぶた」など、
いくつかシリーズであるようです。
めいろは、正解の道を探すのが目的。
でも、この本で一番おもしろいのは、
正解じゃない「間違った道」の部分なんですよ。
作者の杉山亮さんのギャグセンスのすばらしいことったら!
たとえば、
「さるのそんごくうは、いしからうまれました。なんにでもばけられます」
というのが正しい道なのですが、間違いの道に進むと、
「さるのおしりはまっかっか」
などと、子どもをゲタゲタ笑わせる文章がてんこもりなのです!
「にょいぼうをふりまわして、てきをやっつけます」(そんごくうのページ)
では、
「にょいぼうをふりまわして、バトンの練習もしています」
となる。
「はっかいはぶたのばけものです。
たべるのがだいすきでひとのいえのたべものを〜」(はっかいのページ)
は、
「はっかいはぶたのばけものです。
たべるのがだいすきで、おおぐいコンテストでゆうしょうしました」
だの、
「はっかいはななかいのうえです」
「はっかいはぶたにくうりばです」
だのと、もう、わざと間違えたい! という気持ちでいっぱいになります!
最近、息子はおふろでたらい(いまだにあるんですね〜)をひっくり返し、
「きんとうん!」
とか、おふろのかきまぜる棒を持って、
「にょいぼう!」
などと叫んでいます。
もちろん、毛を抜いて
「分身の術!」
とかも。
もう、頭の中では、自分は孫悟空なのでしょう。
「現実と空想の世界がごっちゃになったための犯罪」
などと、世の中ではいろいろ見聞きしますが、
空想はそもそも、すてきなこと。
空想の世界に没頭して楽しめるっていうのは、
心がゆたかになるんじゃないかな〜と、
親ばかな気持ちで、いつも笑わせてもらっています。 |
2006.2.10 掲載
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