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ドイツB級グルメ探偵団

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ドイツ料理と聞いて思い浮かべるのは・・・ジャガイモ、ソーセージ、ビール。
でも、それだけではない。知られざるB級グルメ大国ドイツの"うまいもん"を徹底調査!

驚愕の真実 Part.5
「ドイツ人だってタコを食べる」


FIFA ワールドカップ 2010で、ドイツのオーバーハウゼンの水族館のタコのパウル君(2歳)が、8試合の勝敗を予言し、すべてを的中させた。ドイツのタコだから、ドイツ代表だの勝利だけを予言するかと思いきや、ドイツ対スペインの準決勝では、ドイツの敗北を予言したため、熱狂的サポーターから「タコサラダにしてしまえ!」と野次が飛んだが……。ここで、タコを食べる習慣がある日本人なら、ある疑問が浮かぶだろう。「ドイツ人もタコを食べるのか?」と。結論を先に述べると、答えは「Ja!(食べる)」。とはいえ、そもそもドイツにタコを食べる習慣はない。それは日本にナタデココを食べる習慣がなかったように、ないのだ。伝統的ドイツ料理を味わえるレストランでメニューを開いても、そこにタコ(Oktopus)の文字はない。


1960年代に起こったタコ大好き民族大移動

ドイツ人は肉を食べているイメージがあるが、じつは魚も大好き。ニシン、ヒラメ、タラなどの海水魚はもちろん、ウナギ、ニジマス、コイ、サンショウウオ(!?)などの淡水魚もためらいなく食べる。しかし、タコを食べ始めたのは、せいぜい50年前のこと。1960年代にイタリア人、スペイン人、ギリシア人、トルコ人などタコを食べる"タコ先進国"の人々がドイツへ移住し、やがて彼らはレストランを経営し、ドイツにタコ食文化を広めたのだ。かつて、戦前生まれのドイツ人は「農家の人達は、自分達が知らないものを食べない(Was der Bauer nicht kennt das isst er nicht)」という格言を胸にタコを一切口にしなかったが、戦後生まれの現代ドイツ人にそんな呪縛は通用しない。


ぶっちゃけ、タコが好きじゃない

予言ダコ・パウル君は、あやうく「タコサラダ」にされそうになったが、ここで言うサラダとはトルコ料理の「アフタポット サラダ(ahtapot salatasi)」のこと(写真1、2)。また、ドイツ人は「タコ」を聞くと、スペイン料理の「パエリア」や日本料理の「スシ」を思い浮かべる。ただし、ここで注意書きをしておこう。ドイツ人はタコを美味しいとは思っていない。パエリアに入っているから、スシランチに入っているから、なんとなく食べているだけなのだ。

▲(写真1、2) ドイツでタコと言えば、トルコ料理の「アフタポットサラダ」。タコにトマト、オリーブの実、パセリをからませ、オリーブ油、バルサミコ酢、レモン、塩コショウで味つけ。
▲(写真3、4)
ドイツでイカと言えば、「カラマリス」と呼ばれるイカフライ。カラマリという種類の小イカに小麦粉を薄くふり、溶き卵にくぐらせて油で揚げる。熱々に塩とレモンを絞れば、もう、ビールがグビグビ止まらないっ!

ぶっちゃけ、イカは好き

しかし、タコはお口に合わなくても、イカはドイツ人の大好物である。イカ食文化もイタリア人、スペイン人、ギリシア人によってドイツに広まった。なかでも、「イカフライ(Calamaris)」が大ヒットし、ビールとの相性が抜群ということも手伝って、確固としたドイツ市民権を獲得している(写真3、4)。
  ということで、タコ・イカ食文化がドイツにもしっかりと浸透している事がおわかりいただけただろうか?「タコは欧米で"デビルフィッシュ"と呼ばれているから、ドイツ人は食べない!」なんて昭和時代にインプットした常識は捨ててしまおう。

2010.7.27 掲載

著者プロフィール
三笠加奈子(みかさかなこ) : 映画、映像配信、Webサービスの記事を書き続けるライター。ドイツが好きで、好きで、大学時代に南ドイツにあるアウグスブルク大学へ交換留学。帰国後、「ドイツとはもう縁がなくなった」と勝手に思い込んでドイツとは距離を置くが、やっぱり大好きなので、2年前からドイツ語の勉強を再スタート。大好きなドイツ料理は、シュー生地のサクサクとしたかたい食感がクセになるドイツ独自のシュークリーム「Windbeutel(ヴィントボイテル)」。
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