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第113回『オンネリとアンネリのふゆ』

バラの木夫人から買った小さな家で暮らすオンネリ(アーバ・メリカント)とアンネリ(リリャ・レフト)。クリスマスの近づくある日、二人のもとに“プティッチャネン”という、こびとの一族の家族が、バラの木夫人を訪ねてやって来る。一家は家を失い、さらに家族を捕まえようとする悪い人間に追われて困っているという。話を聞いた二人は、バラの木夫人の居場所がわかるまで、彼らをドールハウスにかくまうことにするが……。

1960年代に発表され、フィンランドで長く愛され続けるマリヤッタ・クレンニエミの児童文学「オンネリとアンネリ」を実写映画化したシリーズ第2弾。

本作は本国フィンランドで12週連続トップ10入り。3週連続第1位となった前作「オンネリとアンネリのおうち」を超える大ヒットとなっています。

ぼくは原作を読んで興味を持ち、本作を見ることにしたのですが、実に素晴らしい!

原作とは異なる点もいろいろあったものの、映画版ならではの魅力があります。
具体的に3つ挙げてみましょう!

まず、1つ1つの場面が非常に美しいこと。
実際のフィンランドの冬景色そのものではないですが、クリスマスを前にしたトキメキやワクワクがカラフルな画面からあふれてきます。

次に、登場人物に、明確な悪者がいないこと。良き人の心にも、ときどき魔が差したり、出来心が起きる。それも人間ですからね。悪人とは違う。劇中で残虐なシーンも多く見られる今日において貴重な作品ですね。人としてホっとしますし、嬉しさもあります。

最後に、子どもたちでも楽しめる、わかりやすい物語の中に人生のさまざまな要素が含まれていることです。異文化理解、多様性、人間愛…どこの国にも共通するような大事なテーマが感じ取れます。

小さな子どもの二人暮らしという、ほとんどありえない設定の中に、極めてリアルな現実がある。傑作としか言いようがないですね。

クリスマス時期に限らず、寒い冬にぜひ見てほしい、心温まる作品です。


『オンネリとアンネリのふゆ』
2018年11月24日より公開中
■公式サイト
https://www.onnelianneli.com/index4.html

2018.12.28 掲載

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