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第109回『ファントム・スレッド』

1950年代のロンドン。オートクチュールの天才仕立て屋、レイノルズ・ウッドコック(ダニエル・デイ=ルイス)は、英国ファッション界の中心的存在として社交界から脚光を浴びていた。自身のドレスに見合う“完璧な身体”を求めていた彼はある日、カフェのウェイトレスとして働くアルマ(ビッキー・クリープス)を見初め、ミューズとしてファッションの世界へと迎え入れる。平凡だった彼女はどんどん洗練されていくが…。

第90回アカデミー賞で作品賞ほか6部門にノミネートされ、衣装デザイン賞を受賞した話題作。また、3度のアカデミー主演男優賞を受賞している名優ダニエル・デイ=ルイスの引退作としても注目を集めています。

ぼくは、『眺めのいい部屋』でデイ=ルイスの名演(怪演?)に衝撃を受けて以来、彼のファンですので、引退は寂しい限りですが、これぞ引退作にふさわしい傑作!

ストーリー的には、裕福な男性が身分の低い女性と出会い、磨き上げていくという「マイ・フェア・レディ」や「プリティ・ウーマン」に通じるところがあるものの、見た後の後味は全く違います。いい意味で予想を大きく裏切られました。

一言、この上なく美しい。
それは、何度でも繰り返し見たくなる映像美。
それは、アブノーマルの極みのようで、至上の純愛のような二人の関係。

エゴとエゴのぶつかり合いは恋愛のスパイスとはいえ、ちょっと尋常ではありません。いろんな意味で常軌を逸した間柄ゆえの美しさ、とでも言えばよいでしょうか。ラブロマンスのように甘く、ホラーのように恐ろしく、とにかく普通じゃない。

普通じゃなく美しい作品です。


『ファントム・スレッド』
2018年5月26日より公開中
■公式サイト
http://www.nbcuni.co.jp/movie/sp/phantomthread/

2018.9.5 掲載

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