まず、これは、一人でも多くの人に見てほしい作品です。
これほどの物語は、そうそうありません。
「事実は小説よりも奇なり」という言葉が、この上なく当てはまる映画です。
だからといって、派手なわけでも、目立つものでもない。むしろ、地味。地道。でも、穏やかな明るさに満ちている。
究極のシンプルだからこそ、見る者、一人一人の心に何かが喚起されるんですよね。
幸せとは何か?
家族とは何か?
平和とは何か?
赦すこと、償うこと。
説教や訓示めいたことが語られるわけでもないのに、ふと、あなたの中に、いろいろなテーマが湧き上がるはずです。
また、本作は“ゴッちゃん”こと、後藤神父の人生が大きな幹ですが、そこから広がる世界も底知れません。
たとえば、ゴッちゃん神父の人生を通じて、日本の戦中、戦後、そして今を見る。たとえば、カンボジアからの里子の人生を通じて、ポルポト政権下のカンボジア、そして今を見る。遠く離れた2つの国の歴史と人とが交差する。
シンプルな作品の中に込められたものの奥深さに、ぼくはまだ気づけていないことも、たくさんあるはずです。
また、出演者の言葉1つ1つに重みがあります。決して饒舌でも、巧みでもないその言葉から、伝わるものの大きさ。
“フェイクニュース”に代表されるように、今までにないほど言葉が軽く扱われる今の時代、その在り方をも考えさせられます。
うーん、本作を見て思ったことを語り出したら、キリがないですね(笑)
カンボジアに興味があろうとなかろうと、関係ない。
本作の中に描かれているのは、自分には無関係の遠い国の話ではありません。ぼくら、誰もに関係あることです。
これを見たことで人生が変わる人も、きっといる。
いろいろな意味で、いろいろな視点で、ぜひとも見てほしい名作です!
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