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第105回『しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス』

カナダ東部の小さな町で、叔母と暮らすモード(サリー・ホーキンス)。ある日、買い物中のモードは家政婦募集の広告を貼り出したエベレット(イーサン・ホーク)を偶然見かけ、興味を抱く。そして、彼が暮らす町外れの小屋に押しかけ、「家政婦になりたい」と願い出る。子どもの頃から重度のリウマチを患っているモードと、孤児院育ちで学もないエベレット。2人の同居生活はトラブルの連続だったが、やがて2人はお互いを認め合い、結婚。そんなある日、エベレットの顧客の一人であるサンドラ(カリ・マチェット)が家を訪ね、モードに絵の制作を依頼するが……。

カナダを代表する女性画家モード・ルイスと、彼女を支えた夫の半生を描いた人間ドラマ。

正直、ぼくはアート映画の1つの感覚で興味を持って見たのですが、そんな考えをはるかに超える、素晴らしい作品でした!

まず、何と言っても、サリー・ホーキンスとイーサン・ホーク、オスカーノミネート実力派2人が演じる夫婦がスゴすぎる。
この上なくギクシャクした出会いから、お互いを認め、支え合うまで…不器用な二人が、それぞれの内的葛藤とも向き合いながら、夫婦となっていく姿に感動を覚えずにはいられません。

それも、この二人の役者の演技あってのもの。台詞はもちろん、その表情や立ち振る舞いから、二人の生き方や心情がこれ以上ないほど鮮明に伝わってきます。
圧巻ですね、ほんと!

そして、劇中に登場するモード・ルイス作品が、なんと魅力的なことでしょう!のどかな田舎の風景、動物、草花など、明るい色彩とシンプルなタッチで描かれた作品はどれも温かく、幸せ感いっぱい。思わず笑顔になってしまいますね。

技術や芸術的価値を求める絵画とは全く違う、心から生まれた絵。絵を楽しむ気持ちや深い愛情が伝わってきます。
まさにフォーク・アート!

自分でも気づかぬうちに、いろいろなものを求めてしまいがちな現代、裕福じゃなくとも、シンプルに幸せに生きた二人の人生は、大事なものを思い出させてくれる気がします。

何より、この作品を見てるだけで幸せになれる。
明日を生きるエネルギーになる!

モード・ルイスの絵に興味があっても、なくても、ぜひ見てほしい作品です。


『しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス』
2018年3月3日より公開中
■公式サイト
http://shiawase-enogu.jp/

2018.5.5 掲載

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