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第102回『ヒトラーに屈しなかった国王』

1940年4月9日、ノルウェーの首都オスロにナチスドイツが侵攻。ノルウェー軍も交戦するが、ドイツの圧倒的な軍事力によって主要都市が次々と陥落し、占拠されていく。ドイツ軍はノルウェーに対して「保護」という名の事実上の降伏を要求。しかも、その交渉は対政府ではなく、ノルウェー国王のホーコン7世(イェスパー・クリステンセン)との一対一の直接対話を迫る。周囲の猛反対の中、ドイツ公使(カール・マルコビクス)との謁見の場が設けられるが…。

ノルウェーで、2016年の国内映画興行成績第1位を記録し、ノルウェー・アカデミー賞(アマンダ賞)にて史上最多の8部門に受賞した話題作がいよいよ日本登場!

第2次世界大戦時、ナチスドイツの侵攻に激しく抵抗したノルウェー国王ホーコン7世の下した決断と運命の3日間を描いた歴史ドラマです。

ナチス関連の戦争映画となると、日本では対連合国やロシアが舞台となったものが主流で北欧でのことは、あまり知られていません。
学校の世界史の授業で、ノルウェー戦線の話を聞いた人もかなり少ないでしょうし、そもそもノルウェーがどこにあるのか知らない人もたくさんいます。

日本における北欧人気は、フィンランドやスウェーデン、デンマークの雑貨や家具、デザインなどが対象であって ノルウェーはその輪の中にいません。いろんな意味で、身近でない国といえます。

しかし、この映画は、日本の人たちの心に大いに響く作品、とぼくは感じています。

人として、何を大事にすべきなのか?
何をなくしてはいけないのか?

そんな根源的な在り方を考えさせてくれる作品ですね。

また、ノルウェーは、日本と同じく民主主義の国です。
イギリス経済紙の調査機関「エコノミスト・インテリジェンス・ユニット」において、民主主義度が世界1位だと報告されています(日本は20位)。

劇中に国王による、こんなセリフがあります。

「わたしはノルウェー史上初めて、国民から選ばれた王だ。この国は民主主義国家であるから、最も尊重すべきは国民の声である」だから、密室での密談によって、国の未来が決まるようなことはあってはならない、と。

これは民主主義の基本であり、理想ですが、現実はどうでしょうか。日本の今を見て、いかがでしょうか?

国民の声よりも、人気とりが政治の中心になりつつある今日、世界に一石を投じるものになるのではないかと思います。

めったに日本で見る機会のないノルウェー映画、しかも、珠玉の傑作です。ぜひご覧になることをおすすめします!


『ヒトラーに屈しなかった国王』
全国順次公開中
■公式サイト
http://kings-choice-jp.com

2018.1.25 掲載

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