この映画を見た理由は、タイトルに惹かれたからです。
正確にいうなら、宣伝チラシにとてつもない魅力を覚えました。
正直、レイモン・ドゥパルドン氏のことは、ほとんど知らなかったのですが、“旅する写真家”という言葉、さらにファインダーをのぞく彼の写真だけで十分すぎるほど興味をかきたてられましたね。その存在が、何よりの説得力!
そして、期待をはるかに上回るものを本作から味わわせていただきました。
特に印象に残ったところが3つあります。
まず、巨匠の目に映るフランス。
彼が写真に残しておきたいと感じるフランスとは一体どのようなものか?フランス好きの僕としては、気になるポイントの1つで、見れば見るほど、自分にない視点を感じずにはいられません。大きな刺激になりました。
次に、貴重な未発表映像の数々。
アラン・ドロン、ジャン=リュック・ゴダール、エリック・ロメールといった大物の姿、さらに、世界の紛争地帯や独裁政権、傭兵たち…。ネルソン・マンデラもインパクト大!一体誰が出てくるのか、という楽しみ方もできると思います。
最後に、レイモン氏が一体どんな旅をしてきたのか、という点です。世界各地が出てきますが、いわゆる観光旅行やバカンスとは全く異なるもの。“人生という名の旅”と呼ぶのがふさわしい気がします。
それと、作中で、ポツリと語った言葉が心に残ってます。
「私はもっといろいろな国を旅した方が良かったのかもしれない。この国(フランス)を撮るために…」といったようなもの。いろいろ考えさせられる深い言葉で、まさに旅する写真家ならでは!
「世界中を旅したフィルムのかけらで一本の映画をつくる」という彼の長年の夢が現実のものとなった本作、ぜひお楽しみください!2012年・第25回東京国際映画祭「WORLD CINEMA」部門、上映作品です。(映画祭上映時タイトル「レイモン・ドゥパルドンのフランス日記」)
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