“スペインのアカデミー賞”と言われるゴヤ賞で9部門を受賞した話題のダークファンタジーが、満を持して日本公開!
原作は、カーネギー賞、ケイト・グリーナウェイ賞を受賞したイギリスの作家パトリック・ネスによる同名の世界的ベストセラー。脚本もネス氏自身で、「永遠のこどもたち」のJ・A・バヨナ監督が実写映画化しました。厳しい現実に直面している孤独な少年が、突然現れた怪物によってどうなるのかが最大の見どころです。
困難な環境におかれた子どもが、架空の動物などの助けを得て、何とか試練に耐え、乗り越えたり、成長していく物語は、
絵本や児童文学で好まれるテーマの1つ。個人的には、ハンガリーの作家マレーク・ベロニカの『ラチとライオン』、イギリスの作家ジョン・バーニンガムの『アルド』などが思い出されます。
弱くて、逃げてばかりいた子どもが、ある日を境にして、だんだん強く、たくましく成長していく姿は、妙に心惹かれるんですよね。
結果がほぼ予想できてしまったとしても、ガッカリすることはなく、それどころか何度でも見たくなる。
人ががんばってる姿に触れることは、スポーツなどの現実の出来事であれ、小説や映画などの架空の世界であれ、大きな元気をもらえます。
本作の主人公の少年が直面している現実、乗り越えねばならないものは、それが大人であっても、かなり過酷なものです。両親の離婚に母親の病気、学校でのいじめ、気の合わない祖母との窮屈な暮らし…。もし自分が同じ境遇に置かれたら、一体どうするだろうか?何ができるだろうか?
少年と怪獣との出来事を見ながら、同時に自分に置き換えて考えてみるのも意義あることかな、と思います。
ちなみに、突如として出現した怪物の姿形には大きな意味があり、「怪物とは何か?」を読み解くのも、本作の醍醐味の1つになるはず。
子どもであれ、大人であれ、自らの置かれた立場によって、大いに感じるところのある作品です。作品を見終えた後の自分を楽しみに、ぜひご覧ください。
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