スウェーデンで80万部、全世界で250万部突破し、世界的ベストセラーとなったフレドリック・バックマンの同名小説を映画化。スウェーデンでは、なんと5人に1人が見たという大ヒットを記録した作品です。
主演のロルフ・ラスゴードはスウェーデンの国民的俳優で、本作でスウェーデンのアカデミー賞と言われるゴールデンビートル賞の主演男優賞と観客賞をダブル受賞しました。
人気の理由は何かと言われれば、いろいろ思いつきますが、あえて1つだけ挙げるならば…。
スウェーデンならではの文化や考え方が色濃く感じられる作品であると同時に、どの国でもありそうな話、ということだと思います。
人間として国を問わず通じる部分、とりわけ現代社会における人の生き方、あり方が深い共感を呼んでいる気がします。
そして、その共感する部分が人によって異なり、かつ幅を持つところが大きな魅力ですね。
また、主人公オーヴェの中に、自分自身を感じてしまうところもあるのかもしれません。
個人的には、オーヴェとのちょっとした交流を通じて、近所の人たちの人柄までもが見えてくるところに、非常に魅了されましたね。
人生には主役も脇役もない。
みんな生きている。
そんな当たり前のようなことを改めて実感した次第です。
思えば、昔はオーヴェのような口やかましい人が近所に必ず一人はいたような気がします。子供たちにはもちろん、大人にも説教するような人が。
周囲の人にとっては、メンドくさくて煙たい存在でしかないのですが、その人がいたからこそ、安全や規律が保たれていた部分があったように思います。
最近は、すっかり見なくなりましたね、そういう人。
電車の中で、うるさい若者に注意するオジサンもいなくなりました。
オーヴェの姿に、どこか懐かしさすら感じてしまう自分もいました。
生きるとは何だろうか。
幸せとは何だろうか。
寒い冬に、心温まる物語です。
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