ローマの高校で30年以上教鞭を執ってきた
作家マルコ・ロドリのエッセイ「赤と青」に感銘を受けた
ジュゼッペ・ピッチョーニ監督が映画化した作品。
それだけに、イタリアの学校や生徒が抱える問題が
ストレートに描き出されています。
授業中ふざけてばかりいる生徒、
素行不良で出席日数が足りない女子生徒、
親に見捨てられ転校を余儀なくされる男子生徒、
押しかけ同然で現れる昔の卒業生…
混乱する教育現場の様子は、
決してイタリア特有のものではなく、
どこの国にも共通するところです。
そんな問題に対して、
「教師は学校内の教育だけすればいい」
という考えの女性校長、
「生徒にやる気を起こさせる!」と燃える新米教師、
ヤル気を失い、他の教員とも交流を持たずに
孤立するベテラン教師という、
タイプも経験もまったく異なる3人が接していきます。
教師と生徒が、それぞれの考えの下で
いかに対処していくのかが、大きな見どころですね。
扱うテーマとしては、重いものでありますが、
それぞれが苦悩を抱えていますが、
悲観的な雰囲気はなく、むしろ喜劇的な感じすらします。
教育ものにありがちな大げさな感じがなく、
ありのままシンプルに捉えられているのが
個人的には好感が持てます。
そして、混迷の中にも、
“希望”が見えるのが何よりいいですね!
教師と生徒、人と人との関係。
何かと悪いことばかりが囁かれる教育にも
まだまだ可能性があるし、
人の真心だって、捨てたものじゃない。
未来があります。
人を育てることや、教育に関係している人はもちろん、
世の中に疲れたり、絶望したりしている人にも
ぜひ見てほしい作品です。
|