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第77回   ダニエル・シュミット−思考する猫

2006年に没後も、なお映画史に燦然と輝くダニエル・シュミット監督。彼の人生に重要な役割を果たした人々へのインタビュー、並びに映画の名場面や豊富な映像資料によって、ダニエル・シュミットの世界を描き出したドキュメンタリー作品。


正直、今まで、ダニエル・シュミット監督の作品を
1つも見たことがありません。でも、非常に楽しめました。

それどころか、作品を1つ1つ、じっくり見てみたくなりました。
なぜなら、ダニエル・シュミットという人間が
何とも魅力的だからです。

明確な芯を持ちながらも、つかみどころがない感じは、
タイトルの「思考する猫」そのもの。

作品に使われる言語も、
ドイツ語、フランス語、イタリア語、英語、そして日本語。

スイスという複数の公用語を持つ国で生まれ育ったことも
大いに影響していると思いますが、
言語も含めて、そのとき最も必要なものを
然るべき形に仕上げていく。

一体何が飛び出すか、わからない。まさに変幻自在!

国境や言語どころか、現実と虚構の壁すら
彼の前には存在しない気がします。
次元を超えた存在ですね。


名言も次々出てきます。

「芸術家には、もろさやはかなさこそが一番大事なのだ」
「普通の人が見ようとしない細部を強調することだ」
「私たちみんなが子どもの部分を守るべきだ」

画面から目が離せません!


また、監督や作品について語る一人として、
親交の深かった映画評論家の蓮實重彦氏が登場。

思い出話はもちろん、他の出演者とは一味違う
鋭い見識を披露し、本作に一層の深みを与えています。

監督のファンはもちろん、
全く知らない人たちにも、ぜひオススメしたい作品です。


なお、この「ダニエル・シュミット−思考する猫」を軸とした
ダニエル・シュミット映画祭が企画されています。

日程は以下になりますので、ぜひ足を運んでみてください!


『ダニエル・シュミット−思考する猫』
2014年7月19日(土)−8月1日(金)(14日間)
会場:オーディトリウム渋谷にて公開。
※下記「ダニエル・シュミット映画祭2014」の一環として上映。
■公式サイト: http://www.athenee.net/culturalcenter/program/sc/chat.html
(アテネ・フランセ文化センター)
「ダニエル・シュミット映画祭2014」
2014年7月5日(土)〜8月15日(金)

  • 「ダニエル・シュミット レトロスペクティヴ」
    (第1期:7/12〜18 第2期:8/2〜8)
  • 「ダニエル・シュミット 思考する猫」(7/19〜8/1)
  • 「ダニエル・シュミットの悪夢 彼が愛した人と映画」(8/9〜15)
「ダニエル・シュミット レトロスペクティヴ」
第1期:2014年7月12日(土)−7月18日(金)(7日間)
第2期:2014年8月2日(土)−8月8日(金)(7日間)
※「ダニエル・シュミット映画祭」第1弾として、監督の11作品を上映します。

特集上映
「ダニエル・シュミットの悪夢−彼が愛した人と映画」
2014年8月9日(土)-8月15日(金)(7日間)
※「ダニエル・シュミット映画祭」を締め括る企画として、シュミット監督の人生に大きな影響を与えた4人の映画作家、ファスビンダー、シュレーター、ヴィスコンティ、プラウンハイムの作品と、彼が愛してやまなかった8本の映画を特集します。

2014.7.15 掲載

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