正直、今まで、ダニエル・シュミット監督の作品を
1つも見たことがありません。でも、非常に楽しめました。
それどころか、作品を1つ1つ、じっくり見てみたくなりました。
なぜなら、ダニエル・シュミットという人間が
何とも魅力的だからです。
明確な芯を持ちながらも、つかみどころがない感じは、
タイトルの「思考する猫」そのもの。
作品に使われる言語も、
ドイツ語、フランス語、イタリア語、英語、そして日本語。
スイスという複数の公用語を持つ国で生まれ育ったことも
大いに影響していると思いますが、
言語も含めて、そのとき最も必要なものを
然るべき形に仕上げていく。
一体何が飛び出すか、わからない。まさに変幻自在!
国境や言語どころか、現実と虚構の壁すら
彼の前には存在しない気がします。
次元を超えた存在ですね。
名言も次々出てきます。
「芸術家には、もろさやはかなさこそが一番大事なのだ」
「普通の人が見ようとしない細部を強調することだ」
「私たちみんなが子どもの部分を守るべきだ」
画面から目が離せません!
また、監督や作品について語る一人として、
親交の深かった映画評論家の蓮實重彦氏が登場。
思い出話はもちろん、他の出演者とは一味違う
鋭い見識を披露し、本作に一層の深みを与えています。
監督のファンはもちろん、
全く知らない人たちにも、ぜひオススメしたい作品です。
なお、この「ダニエル・シュミット−思考する猫」を軸とした
ダニエル・シュミット映画祭が企画されています。
日程は以下になりますので、ぜひ足を運んでみてください!
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