一夜にして、社会が、価値観が180度変わる。
善と教えられてきたことが、悪に変わる。
このような場面に遭遇した時、
自分はどうなるだろうか?
ナチスに関連する映画は、
これまで数えきれないほど出ていますが、
ナチスの家族のその後を追ったものは珍しいと思います。
自分が今まで信じてきたものが
全てウソとわかったとき、
一体何を、どう信じればよいのか。
両親がいなくなり、
自らの礎となっていた教えすらも崩れ、
しかも、幼い弟や妹を守り、
引っぱっていかねばならない主人公。
その何ともいえない胸中が、
画面から滲み出てきます。
そして、これは
ナチスドイツについての物語であると同時に、
日本の物語である、といっても過言ではありません。
この日本においても、戦中、戦後において
価値観がガラリと転換したわけですから…。
日々の些細な問題であれ、大きな出来事であれ、
物事は、さまざまな角度から見ることで
実像に近づいていきます。
本作は、セリフ以上に、登場人物の表情や動きが
多くを語るところが、大きなポイントですね。
一瞬たりとも目が離せません!
ちなみに、主人公たちがいる黒い森から
ハンブルクまでの900Kmをぼくは移動したことがあります。
もちろん、列車に乗ってですが、長かったですね〜それは。
最高時速320Kmの超特急ICEで6〜7時間くらいかかりました。
歩いて目指そうなんて、とても考えられません。
その距離の長さも、主人公の絶望の深さ、重さを
物語っているような気がします。
第二次大戦のことはもちろん、
自分の生き方についても考えさせられる、
何とも感じるところの多い作品ですね。
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