第二次世界大戦下における
ナチスのユダヤ人狩り=ホロコーストについては、
多かれ少なかれ、誰でも聞いたことがあると思います。
その残虐さゆえか、ホロコーストを扱った映画は数知れず、
中には、『シンドラーのリスト』のオスカー・シンドラーや、
“日本のシンドラー”と呼ばれる
元リトアニア領事代理の杉原千畝のような、
ユダヤ人を救済した人物たちの魂の逸話も存在しています。
本作も真実の物語であり、
分類としては、いわゆる美談に属すものです。
一応(笑)。
というのも、主人公のソハのユダヤ人救済は
人間愛や生命の尊厳などに基づくものではなく、
金欲しさゆえの行動。
いわば“副業”としてのゼニ勘定で、
英雄とは正反対の姑息さであります。
ただ、誤算だったのは、
儲かる副業と思ったユダヤ人匿いが
予想以上に大変だったこと!
それどころか、
自身や家族の生命の危機と、
常に背中合わせになってしまった。
それなのに、たいして儲からない(笑)。
そうした窮地続きの中、姑息なソハにも
人としてどうあるべきかを、自らに問う瞬間がやってきます。
大きな見どころの1つですね。
それと、ユダヤ人たちが逃亡生活を送る地下水道。
強烈の一言です。
逃亡以前に、
そこに身を置くこと自体に恐怖を覚えるほどです。
映画が進むごとに、だんだん自分も
地下水道で暮らしているかのような感覚になってきます。
住めば都、といいますが、果たしてどうなのでしょうか。
「生きる」ということの意味を
大いに考えさせられました。
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