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第62回   ソハの地下水道

ソハの地下水道
1943年、ポーランド。下水修理と空き巣稼業で妻子を養う中年男のソハ(ロベルト・ヴィエンツキェヴィチ)は、ドイツ軍のユダヤ人狩りから逃れようと地下水道に入ってきたユダヤ人たちを発見。狡猾なソハはドイツ軍に売り渡して報奨金を得るよりも、ユダヤ人たちを地下に匿い、見返りとして永続的に金をもらうことを思いつく。しかし、ユダヤ人たちは面倒見きれないほど人数が多く、食料の調達すらも容易でない。その上、執拗なユダヤ人狩りを行うドイツ軍の追跡の手が忍び寄り・・・。


第二次世界大戦下における
ナチスのユダヤ人狩り=ホロコーストについては、
多かれ少なかれ、誰でも聞いたことがあると思います。

その残虐さゆえか、ホロコーストを扱った映画は数知れず、
中には、『シンドラーのリスト』のオスカー・シンドラーや、

“日本のシンドラー”と呼ばれる
元リトアニア領事代理の杉原千畝のような、
ユダヤ人を救済した人物たちの魂の逸話も存在しています。

本作も真実の物語であり、
分類としては、いわゆる美談に属すものです。

一応(笑)。

というのも、主人公のソハのユダヤ人救済は
人間愛や生命の尊厳などに基づくものではなく、
金欲しさゆえの行動。

いわば“副業”としてのゼニ勘定で、
英雄とは正反対の姑息さであります。

ただ、誤算だったのは、
儲かる副業と思ったユダヤ人匿いが
予想以上に大変だったこと!

それどころか、
自身や家族の生命の危機と、
常に背中合わせになってしまった。

それなのに、たいして儲からない(笑)。

そうした窮地続きの中、姑息なソハにも
人としてどうあるべきかを、自らに問う瞬間がやってきます。

大きな見どころの1つですね。


それと、ユダヤ人たちが逃亡生活を送る地下水道。

強烈の一言です。

逃亡以前に、
そこに身を置くこと自体に恐怖を覚えるほどです。

映画が進むごとに、だんだん自分も
地下水道で暮らしているかのような感覚になってきます。

住めば都、といいますが、果たしてどうなのでしょうか。


「生きる」ということの意味を
大いに考えさせられました。


『ソハの地下水道』
第84回アカデミー賞・最優秀外国語映画賞、ノミネート作品
2012年9月22日より公開中
■公式サイト: http://www.sohachika.com/pc/

2012.10.6 掲載

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