タイトルからピンときた方も多いかと思いますが、
原作は、ドイツの文豪ゲーテの古典的名作「ファウスト」です。
悪魔と契約して魂を売り渡す代わりに、
地上の快楽を手に入れたというファウスト伝説。
ミステリアスで幻想的であるゆえ、
これまで何度も映画化されてきました。
しかし、本作はいろいろな意味で
これまでのものとは全く別の作品と
考えた方がよいかもしれません。
物語上の特に大きな違いが、
“悪魔・メフィストフェレス”が
高利貸しミュラーとして描かれている点です。
現代の悪魔といえば、高利貸し
という発想からの設定でしょうか。
ミュラーは高利貸しであるとともに、
毒を飲んでも死なない、
人間とは違う存在、として描かれています。
つまりは、高利貸しを営む悪魔、という感じですね。
見ていただければわかりますが、
これが何とも不気味!!(笑)
描かれた世界は、ファンタジーのようであり、
ゴシックホラーのようであり、絵画のようであり、全てが芸術。
悪魔との駆け引きの中で
急速に変わっていく運命の行方に吸い込まれます。
まぶたに焼き付いて離れない幻想世界は、
夢の中にまで出てきそうな気がするほどです。
あまり夜に見ない方がいいかもしれません(笑)
荘厳な音楽も心に残ります。
ファウストは“生きる意味”を
見つけることができるのでしょうか?
監督は『太陽』『エルミタージュ幻想』の
アレクサンドル・ソクーロフ、
撮影は『ハリー・ポッター』『ダーク・シャドウ』の
ブリュノ・ボルネオル。
この強力タッグが紡ぎ出す
摩訶不思議な幻想世界をぜひお楽しみください!
|