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第59回   【試写会】キリマンジャロの雪

キリマンジャロの雪
南フランスの港町マルセイユ。労働組合の委員長ミシェル(ジャン=ピエール・ダルッサン)は公正なリストラを行うためクジ引きで退職者20人を選び、その結果、自らも失業する事に。そんな夫の態度を誇りに思う妻のマリ=クレール(アリアンヌ・アスカリッド)。二人の結婚30周年を祝うパーティーが行われ、子どもたちがアフリカ・キリマンジャロへの旅行をプレゼントする。しかしある晩、贈られた旅行費用とチケットを強盗に奪われる事件が発生。怒りと悲しみの淵に沈む日々の中、ミシェルは偶然、誰が犯人かを知ってしまう…


本作のタイトルを見た時、
文豪ヘミングウェイの短篇小説をもとに
アメリカで製作された作品(1952年)の
リバイバルかと思いましたが、全くの別モノです。

ヴィクトル・ユゴーの長篇詩≪哀れな人々≫から
着想された作品とのこと。

お互いを信じ、助け合うという、ユゴーが信じた人間の姿が、
時を経て、新たな物語となって心に響いてきます。

実際に、主人公たちと似たような立場になったら
自分はどのような態度をとるのか?
逆に、犯人と似たような状況になったらどうするのか?


キレイごとを語るだけなら誰でもできます。

でも、キレイごとを貫き、行動するには
たとえどんなに小さくとも、
人間としての揺るぎなき信念が必要です。

怒り、苦しみ、悲しみ…

どうにもやりきれない日常の先に見えてくる
人としてあるべき姿、やさしさ、魂の気高さ。

バレなければ何をしてもいいのか、と思うような
忌々しき出来事が多々起きる今日、
人間であることの素晴らしさを感じさせてくれる作品です。

人はこんなにステキな笑顔ができるものだろうか。
心がスーっと軽くなり、じんわりと温かみが残ります。


キリマンジャロの雪

『キリマンジャロの雪』
2012年6月9日より公開
■公式サイト: http://www.kilimanjaronoyuki.jp/

2012.6.21 掲載

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